ブログ

油そばの原価——スープなしで原価率20%台。なのに利益が出ない店がある理由

油そばはスープがない分、ラーメンより原価が低い——はずなのに、チャーシュー増し・卵追加・追い飯無料で利益が消えます。タレと香味油の配合管理、トッピングの価格設計、追い飯の損益分岐点をまとめました。

更新 2026年2月18日
油そば 原価油そば専門店ラーメン 原価計算トッピング 価格追い飯 原価飲食店経営
目次

「油そばってスープがないから、ラーメンより儲かるんでしょ?」

開業前の相談でよく聞く質問だ。たしかに、ラーメンのスープ仕込みにかかるコスト(1杯50〜100円)がまるまる浮く。原価率は20%台に収まることも珍しくない。

でも実際に油そば専門店を始めてみると、「思ったほど利益が残らない」という声が出てくる。

原因はたいてい3つ。チャーシュー増しの安売り、卵の無料トッピング、追い飯のサービス。 スープがない分のコスト優位を、トッピングで全部吐き出している。

先に結論

  • 油そばの原価率は20〜28%。 スープ不要の分だけラーメンより低い
  • 利益を削るのはトッピング。 チャーシュー増し・卵・追い飯の管理が最重要
  • タレと油は計量で固定する。 10mlの差で1杯5〜10円変わる
  • 追い飯は「無料」の損益を把握してから判断する。 米価高騰で1杯35〜50円かかる

油そば1杯の原価を分解する

並盛り油そば(税抜750円)

項目金額
中華麺(1玉・150g)35円
タレ(25ml)15円
香味油(15ml)12円
チャーシュー(2枚・50g)80円
メンマ(15g)10円
ねぎ5円
海苔(1枚)8円
酢・ラー油(卓上)3円
合計168円

原価率:168 ÷ 750 = 22.4%。ラーメンの平均原価率(30〜35%)と比べると圧倒的に低い。

同じ油そばのラーメン版(税抜800円)

項目金額
中華麺35円
スープ(1杯分)80円
チャーシュー(2枚)80円
メンマ10円
ねぎ5円
海苔8円
合計218円

原価率:218 ÷ 800 = 27.3%

油そばはラーメンより原価が50円安い。 この差がそのまま利益になるはず——なのだが。

トッピングで利益が消えるメカニズム

油そば専門店では「増し」や「追加」が当たり前の文化。でもこれが原価を押し上げる。

トッピング別の原価と推奨価格

トッピング原価推奨増し価格倍率
チャーシュー1枚増し40円120円3.0倍
味玉追加30円100円3.3倍
ねぎ増し8円50円6.3倍
メンマ増し15円80円5.3倍
海苔増し(3枚)24円80円3.3倍
麺大盛り(+100g)25円100円4.0倍
チーズ追加35円100円2.9倍

原価倍率2.5倍以下で提供すると、増し注文が多い客ほど原価率が上がる。 「チャーシュー増し50円」は原価40円に対して倍率1.25倍——これでは増しが入るたびに赤字に近づく。

増しトッピングの積み上げ効果

「全部増し」を注文する客を想定する:

項目原価客の追加支払い
チャーシュー増し40円120円
味玉追加30円100円
ねぎ増し8円50円
大盛り25円100円
合計103円370円

この場合の粗利は267円。増し分だけで267円の追加利益。 適正価格なら増し注文は歓迎すべきだ。

問題は「安売り」で増しを提供している店。原価倍率1.5倍以下だと増し分の粗利が薄くなり、客単価は上がるのに利益率は下がるという矛盾が生まれる。

タレと香味油——「目分量」を排除する

油そばの味はタレと油で決まる。計量しないと味がブレるだけでなく、原価もブレる。

タレの原価計算

材料1Lあたり
醤油ベース300円
みりん・酢150円
砂糖30円
鶏ガラエキス120円
合計600円/L
1杯25ml = 600円 × 0.025 = 15円
1杯35ml = 600円 × 0.035 = 21円
差額 = 6円 × 100杯/日 × 25日 = 15,000円/月

タレ10mlの差で月1.5万円。計量カップまたはポンプ(1プッシュ=25ml)で固定するのが確実。

追い飯の損益分岐点

油そばの残りのタレにご飯を入れる「追い飯」。お客さんの満足度は高いが、米価高騰で1杯35〜50円かかる時代になった。

追い飯の月間コスト試算

条件コスト
追い飯1杯の原価45円
1日の来客数80人
追い飯注文率35%
1日の追い飯コスト45円 × 28人 = 1,260円
月間(25日)31,500円

月3万円。年間だと約38万円

追い飯を無料で続けるなら、この金額を売価に織り込む。 750円の油そばに月3万円分の追い飯コストを乗せるなら、1杯あたり約16円の上乗せが必要。つまり750円→770円が損益分岐ライン。

「無料追い飯」を看板にするか、「追い飯+50円」で利益を確保するか。数字を見てから判断する。

今週やること

  • 油そば1杯の原価を分解する(麺・タレ・油・チャーシュー・トッピング)
  • タレと油をml単位で計量する仕組みを作る(ポンプまたは計量カップ)
  • 増しトッピングの価格を見直す(原価の2.5〜3倍になっているか確認)
  • 追い飯の月間コストを計算して、無料継続 or 有料化を判断する
  • チャーシューの枚数とg数を固定する

油そばはスープがない分、原価率が低い。でもその優位をトッピングで捨てたらもったいない。まずは「増しトッピングの原価倍率」を確認してみてほしい。


油そばのタレ・トッピング・追い飯の原価をレシピ単位で管理するなら。食材価格を更新するだけで、メニューごとの原価率がリアルタイムで変わります。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

油そばはラーメンより原価が低いですか?

スープ仕込みが不要な分、原価は下がります。ラーメンのスープ原価が50〜100円/杯なのに対し、油そばのタレ+油は25〜40円/杯。ただしチャーシューや卵などのトッピングで原価が上がるため、実際の差は1杯30〜50円程度です。トッピング管理を怠るとラーメンと原価が変わらなくなります。

追い飯は無料にして大丈夫ですか?

追い飯1杯のご飯原価は35〜50円(2025年の米価高騰後)。客の30%が追い飯を頼む場合、1日50杯の店で月1.5〜2万円のコスト増です。回転率が高い(1人20分以内で退店)なら無料でも回収できますが、回転が遅いなら50〜100円で有料化を検討してください。

トッピング増しの価格はどう決めますか?

原価の2.5〜3倍を目安にします。チャーシュー1枚の原価が40円なら、増し価格は100〜120円。卵の原価23円なら、味玉追加は80〜100円。原価倍率を下回ると、増しトッピングが多い客ほど赤字になるという逆転現象が起きます。

タレと油の配合管理はなぜ重要ですか?

油そばの味はタレと油で決まります。配合がブレると味が変わるだけでなく、原価もブレます。タレ20mlと30mlの差は1杯あたり5〜10円。1日100杯なら月1.5〜3万円の差です。計量カップかポンプで固定してください。

今すぐ原価を計算してみましょう

材料単価を入力するだけで、レシピ原価・利益率・販売価格を自動計算します。