焼き芋は「さつまいもを焼くだけ」のシンプルな商売です。
でもこのシンプルさが落とし穴になることがあります。仕入れ値そのまま原価を出してしまう店が多いのです。
500gのさつまいもを500円/kgで仕入れたら原価250円——と計算しがちですが、焼くと水分が飛んで350gに縮みます。 実質の原価は250円÷350g = 0.71円/g。生の状態で計算した0.50円/gより40%高い。
先に結論
- 焼き芋の実質原価は仕入れ値の1.4倍。 焼成で30%の水分が飛ぶ
- 仕入れはサイズ選別が必要。 大小バラバラだと原価管理ができない
- 量り売りかサイズ別価格が基本。 1本○○円だと利益がブレる
- 光熱費と包材を忘れずに。 1本あたり15〜20円かかる
焼き芋1本の原価を分解する
例:紅はるか Mサイズ(税抜売価400円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| さつまいも(生) | 300g | 150円 |
| 焼成ロス(▲30%) | — | — |
| 焼き上がり | 210g | (実質単価0.71円/g) |
| 光熱費(石焼き60分の按分) | — | 10円 |
| 包材(紙袋+フィルム) | 1セット | 5円 |
| 合計 | 165円 |
原価率:165 ÷ 400 = 41.3%
焼き芋は原価率40〜50%が一般的。メニューの品数が少ないぶん、1本ずつの原価管理が利益に直結します。
焼成ロスの計算
さつまいもの焼成ロスは品種と焼き時間で変わります。
| 品種 | 焼成前→後の歩留まり | 甘さの特徴 |
|---|---|---|
| 紅はるか | 68〜72% | 強い甘み、ねっとり |
| シルクスイート | 70〜75% | なめらか、しっとり |
| 安納芋 | 65〜70% | 蜜が出る、水分多い |
| 紅あずま | 72〜76% | ほくほく、水分少なめ |
安納芋は蜜が出る分、焼成ロスが最も大きい。 仕入れ価格が高いうえにロスも多いので、原価率が50%を超えることもあります。プレミアム価格で出すか、数量限定にするのが安全です。
焼成ロスの実測方法
焼成前:500g(生の状態で計量)
焼成後:350g(焼き上がりで計量)
歩留まり = 350 ÷ 500 = 70%
実質単価 = 仕入れ価格 ÷ 歩留まり
最低でも5本分を計量して平均を出す。 芋の太さや焼き時間で変わるので、1本だけでは基準にならない。
仕入れのサイズ選別
焼き芋の仕入れで重要なのはサイズの選別です。
| サイズ | 生重量 | 仕入れ単価 | 焼き上がり | 売価目安 |
|---|---|---|---|---|
| S | 150〜200g | 安い(規格外) | 110〜140g | 250円 |
| M | 250〜350g | 標準 | 175〜245g | 400円 |
| L | 400〜500g | やや高い | 280〜350g | 550円 |
Sサイズの「規格外品」は仕入れ単価が安く、原価率を下げられる。 ワゴン販売やイベント向きです。Lサイズは1本あたりの粗利額が大きいので、店舗販売の主力にできます。
光熱費の按分
石焼き芋の場合、ガス代は無視できません。
| 焼成方法 | 1時間のガス代 | 1バッチの本数 | 1本あたり |
|---|---|---|---|
| 石焼き釜 | 150〜200円 | 15〜20本 | 8〜13円 |
| 電気オーブン | 80〜120円 | 10〜15本 | 6〜12円 |
| 壺焼き | 100〜150円 | 8〜12本 | 10〜19円 |
壺焼きは1本あたりのコストが最も高いが、「壺焼き」のブランド価値で売価を上乗せできます。
量り売りの価格設計
焼き芋はサイズがバラバラなので、「1本○○円」だと原価率がブレます。
量り売り方式(推奨)
焼き上がり100gあたり = 180〜200円
- Sサイズ(120g):220〜240円
- Mサイズ(200g):360〜400円
- Lサイズ(300g):540〜600円
量り売りにすれば、サイズが変わっても原価率が一定に保てます。計量は電子秤で焼き上がりを量るだけ。
サイズ別固定価格方式
量り売りが難しい場合は、S/M/Lの3段階で固定価格にします。ただし、サイズの基準を「生重量」ではなく「焼き上がり重量」で決めること。
破損ロスと廃棄管理
| ロスの種類 | 発生率 | 対策 |
|---|---|---|
| 焼き割れ(破損) | 3〜5% | 火力と時間を管理。急激な加熱を避ける |
| 売れ残り | 5〜10% | 仕込み量を時間帯別に調整 |
| 形状不良(曲がり等) | 2〜3% | カット販売やスイーツ(スイートポテト等)に転用 |
廃棄率10%で月に30,000〜50,000円。 仕込み量を時間帯別に分けるだけで大幅に減らせます。午前中に全量焼くのではなく、「14時までに7割、その後追加」の2回転制が効果的です。
今週やること
- 主力品種5本分の焼成前後の重量を計量し、歩留まりを出す
- 仕入れサイズの基準(S/M/L)を決める
- 量り売りの単価を設定する(焼き上がり100gあたり)
- 光熱費を1本あたりに按分して原価に含める
- 破損・売れ残りの転用メニュー(スイートポテト等)を決める
関連ガイド
出典
品種とサイズごとの原価を登録すれば、1本の利益がすぐ見えます。仕入れ値が変わったら全商品自動更新。KitchenCost を使ってみてください。