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「材料費×3倍」で値段を決めていませんか? ハンドメイド作家が赤字に気づかない理由

minneで月20個売れているのに通帳の数字が増えない。原因はほぼ値付けにあります。販売手数料、制作時間、梱包費まで含めた「本当の原価」の出し方と、利益が残る価格の計算式をまとめました。

更新 2026年2月18日
ハンドメイド価格設定原価管理時間単価販売手数料利益改善
目次

minneで月に20個売れている。Creemaでも注文が入るようになった。でも通帳の数字はなぜか増えていない。

「忙しいのに儲からない」——ハンドメイド作家の多くが経験する壁だ。

原因のほとんどは、値段のつけ方にある。

先に結論

  • 「材料費×3倍」の値付けでは、時給300円以下になるケースが多い
  • 人件費・手数料・梱包費・送料・減価償却を足すと、本当の原価は材料費の6倍を超えることもある
  • 利益が残る価格は「逆算」で出す。 感覚ではなく計算式で
  • 値段を上げて離れるのは「価格だけで選んでいた層」。 ハンドメイドの購入者は「気に入ったから買う」人がほとんど

「材料費の3倍」——その計算、足りていない

「ハンドメイドの値段は材料費の3倍が目安」——ネットでよく見るアドバイスだ。

材料費500円なら販売価格1,500円。たしかにわかりやすい。

ただ、この公式には”抜け”がある。

1,500円で売った場合、手元にいくら残るか計算してみよう。

項目金額
販売価格1,500円
材料費−500円
販売手数料(10%)−150円
送料(自己負担の場合)−200円
梱包材−50円
手残り600円

600円。ここから制作にかかった時間の「時給」を引いてみる。

この作品を作るのに2時間かかったとしたら、時給は300円。最低賃金1,121円の3分の1以下。

趣味ならいい。でも仕事にしたいなら、この計算では生活できない。

原価に入れるべき「5つの見えないコスト」

ハンドメイドの原価は材料費だけではない。5つのコストを足して初めて「本当の原価」になる。

1. 自分の人件費

いちばん見落とされがちで、いちばん大きいコスト。

最低賃金は2025年時点で全国加重平均1,121円。時給1,000円で計算するなら、2時間の制作で2,000円。これが原価に乗る。

2. プラットフォーム手数料

minneは10.56%(税込)、Creemaは11%(税込)。BASEは決済手数料3.6%+サービス料3%。

1,500円の商品ならminneで約158円、Creemaで約165円が引かれる。

3. 送料

「送料込み」で設定している場合、これも原価に入る。ネコポスで210円、ゆうパケットで250円、宅急便で700円以上。

4. 梱包材・ラッピング

OPP袋、ギフトボックス、緩衝材、サンキューカード、テープ、リボン。1つ1つは小さくても、積み重なると1個あたり30〜100円。

5. 道具の減価償却

ミシンやレジンのUVライト、工具類は消耗品だ。10万円のミシンを5年使うとして年間2万円。月に20個制作するなら1個あたり約83円。


全部足すと、材料費500円の作品の本当の原価は3,000円を超えることもある。

「材料費の3倍」で1,500円をつけた時点で、すでに赤字なのだ。

利益が残る値付けの計算式

「じゃあいくらで売ればいいのか」——感覚ではなく、計算で出す。

販売価格 =(材料費 + 人件費 + 間接費)÷(1 − 手数料率 − 利益率)

たとえば、

  • 材料費:500円
  • 人件費(2時間 × 時給1,000円):2,000円
  • 間接費(梱包・送料・減価償却):300円
  • 手数料率:10%
  • 目標利益率:20%
販売価格 =(500 + 2,000 + 300)÷(1 − 0.10 − 0.20)
         = 2,800 ÷ 0.70
         = 4,000円

4,000円。「材料費の3倍」の1,500円とは2,500円の差がある。

この2,500円が「自分の時間と技術」の値段だ。 無料にしてしまうのは、自分を安売りしていることに他ならない。

「値段を上げたら売れなくなる」は本当か?

多くの作家がぶつかる不安だ。

結論から言えば、適正な値上げで離れるのは「価格だけで選んでいた層」。ハンドメイド作品を買う人の多くは、既製品にない「手仕事の価値」「作家のストーリー」「自分だけの一点もの」にお金を払っている。

minne・Creemaのユーザー購入単価は平均2,000〜4,000円。「安いから買う」のではなく「気に入ったから買う」人がほとんどだ。

値段を下げて数を売るより、適正価格で利益を確保するほうが、長く作家を続けられる。

今週やること

  • 人気作品1点の「本当の原価」を出す。 材料費+人件費+梱包費+送料+手数料+減価償却を全部書き出す
  • 制作時間を3回計る。 だいたいでOK。平均が出れば人件費の精度が上がる
  • 逆算式で適正価格を計算する。 今の販売価格と比べて、ギャップがあれば値付けの見直し時期かもしれない
  • 原価管理を仕組み化する。 KitchenCostは飲食店向けだが、「材料→完成品」の構造はハンドメイドとまったく同じ。材料単価を更新すれば全作品の原価が自動で再計算されるので、「今いちばん利益率の高い作品」が一目でわかる

ハンドメイドは「好きなことを仕事にする」ための手段のひとつだ。

でも「好き」だけでは続かない。自分の作品の本当の価値を数字で把握して、堂々と値段をつけてほしい。

あなたの時間と技術には、ちゃんと値段がつく。


ハンドメイド販売で赤字を防ぐ価格設計をするなら。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

材料費の3倍ルールではなぜ赤字になりますか?

材料費500円の作品を1,500円で売ると、手数料150円・送料200円・梱包材50円を引いて手残り600円。制作に2時間かかっていたら時給300円です。最低賃金の3分の1以下になります。

見えないコストは具体的に何を指しますか?

制作の人件費(時給×時間)、販売手数料(minneで10.56%)、梱包資材(1個30〜100円)、送料、撮影・出品作業の時間、道具の減価償却(10万円のミシン5年使用で1個あたり約83円)です。

利益が残る価格はどう計算しますか?

(材料費+人件費+間接費)÷(1−手数料率−利益率)で逆算します。材料費500円・人件費2,000円・間接費300円・手数料10%・利益率20%なら、販売価格は4,000円になります。

原価管理を習慣化するコツはありますか?

作品ごとに材料と分量を固定フォーマットで記録し、制作時間も3回計って平均を出すだけでOKです。KitchenCostのようなアプリなら材料単価を更新すれば全作品の原価が自動で変わります。

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