minneで月に20個売れている。Creemaでも注文が入るようになった。でも通帳の数字はなぜか増えていない。
「忙しいのに儲からない」——ハンドメイド作家の多くが経験する壁だ。
原因のほとんどは、値段のつけ方にある。
先に結論
- 「材料費×3倍」の値付けでは、時給300円以下になるケースが多い
- 人件費・手数料・梱包費・送料・減価償却を足すと、本当の原価は材料費の6倍を超えることもある
- 利益が残る価格は「逆算」で出す。 感覚ではなく計算式で
- 値段を上げて離れるのは「価格だけで選んでいた層」。 ハンドメイドの購入者は「気に入ったから買う」人がほとんど
「材料費の3倍」——その計算、足りていない
「ハンドメイドの値段は材料費の3倍が目安」——ネットでよく見るアドバイスだ。
材料費500円なら販売価格1,500円。たしかにわかりやすい。
ただ、この公式には”抜け”がある。
1,500円で売った場合、手元にいくら残るか計算してみよう。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 販売価格 | 1,500円 |
| 材料費 | −500円 |
| 販売手数料(10%) | −150円 |
| 送料(自己負担の場合) | −200円 |
| 梱包材 | −50円 |
| 手残り | 600円 |
600円。ここから制作にかかった時間の「時給」を引いてみる。
この作品を作るのに2時間かかったとしたら、時給は300円。最低賃金1,121円の3分の1以下。
趣味ならいい。でも仕事にしたいなら、この計算では生活できない。
原価に入れるべき「5つの見えないコスト」
ハンドメイドの原価は材料費だけではない。5つのコストを足して初めて「本当の原価」になる。
1. 自分の人件費
いちばん見落とされがちで、いちばん大きいコスト。
最低賃金は2025年時点で全国加重平均1,121円。時給1,000円で計算するなら、2時間の制作で2,000円。これが原価に乗る。
2. プラットフォーム手数料
minneは10.56%(税込)、Creemaは11%(税込)。BASEは決済手数料3.6%+サービス料3%。
1,500円の商品ならminneで約158円、Creemaで約165円が引かれる。
3. 送料
「送料込み」で設定している場合、これも原価に入る。ネコポスで210円、ゆうパケットで250円、宅急便で700円以上。
4. 梱包材・ラッピング
OPP袋、ギフトボックス、緩衝材、サンキューカード、テープ、リボン。1つ1つは小さくても、積み重なると1個あたり30〜100円。
5. 道具の減価償却
ミシンやレジンのUVライト、工具類は消耗品だ。10万円のミシンを5年使うとして年間2万円。月に20個制作するなら1個あたり約83円。
全部足すと、材料費500円の作品の本当の原価は3,000円を超えることもある。
「材料費の3倍」で1,500円をつけた時点で、すでに赤字なのだ。
利益が残る値付けの計算式
「じゃあいくらで売ればいいのか」——感覚ではなく、計算で出す。
販売価格 =(材料費 + 人件費 + 間接費)÷(1 − 手数料率 − 利益率)
たとえば、
- 材料費:500円
- 人件費(2時間 × 時給1,000円):2,000円
- 間接費(梱包・送料・減価償却):300円
- 手数料率:10%
- 目標利益率:20%
販売価格 =(500 + 2,000 + 300)÷(1 − 0.10 − 0.20)
= 2,800 ÷ 0.70
= 4,000円
4,000円。「材料費の3倍」の1,500円とは2,500円の差がある。
この2,500円が「自分の時間と技術」の値段だ。 無料にしてしまうのは、自分を安売りしていることに他ならない。
「値段を上げたら売れなくなる」は本当か?
多くの作家がぶつかる不安だ。
結論から言えば、適正な値上げで離れるのは「価格だけで選んでいた層」。ハンドメイド作品を買う人の多くは、既製品にない「手仕事の価値」「作家のストーリー」「自分だけの一点もの」にお金を払っている。
minne・Creemaのユーザー購入単価は平均2,000〜4,000円。「安いから買う」のではなく「気に入ったから買う」人がほとんどだ。
値段を下げて数を売るより、適正価格で利益を確保するほうが、長く作家を続けられる。
今週やること
- 人気作品1点の「本当の原価」を出す。 材料費+人件費+梱包費+送料+手数料+減価償却を全部書き出す
- 制作時間を3回計る。 だいたいでOK。平均が出れば人件費の精度が上がる
- 逆算式で適正価格を計算する。 今の販売価格と比べて、ギャップがあれば値付けの見直し時期かもしれない
- 原価管理を仕組み化する。 KitchenCostは飲食店向けだが、「材料→完成品」の構造はハンドメイドとまったく同じ。材料単価を更新すれば全作品の原価が自動で再計算されるので、「今いちばん利益率の高い作品」が一目でわかる
ハンドメイドは「好きなことを仕事にする」ための手段のひとつだ。
でも「好き」だけでは続かない。自分の作品の本当の価値を数字で把握して、堂々と値段をつけてほしい。
あなたの時間と技術には、ちゃんと値段がつく。
ハンドメイド販売で赤字を防ぐ価格設計をするなら。KitchenCost を使ってみてください。