定食屋で一番ありがちな落とし穴は、主菜の原価は計算しているのに、副菜とご飯を「だいたい」で済ませていることです。
唐揚げ定食1,100円。唐揚げ120gの原価が260円。「まあ原価率24%くらいだな」と安心していませんか?
でも小鉢2品で120円、ご飯・味噌汁で90円、漬物で20円——全部足すと490円、原価率44.5%。想定より10ポイント以上高い。
しかもこの数字は「毎回きっちり同じ量を盛っている」前提。スタッフが変わると小鉢の盛りが1.5倍になったり、ご飯のおかわりが3杯になったり——「セット全体」で原価を管理しないと、定食屋は利益が残りません。
先に結論
- 定食の原価は「セット全体」で計算する。 主菜だけ見ても利益は読めない
- 小鉢の盛りブレが月に1.5〜3万円の差を生む。 小鉢を決めて8分目で統一
- ご飯おかわり無料なら、おかわり率を計測して定食価格に含める
- 原価率45%超えのメニューは即見直し。 量を減らすか、売値を上げる
定食1食の原価を分解する
例:鶏の唐揚げ定食(税抜売価1,100円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 唐揚げ(鶏もも) | 120g(4個) | 180円 |
| 揚げ油(吸油分) | 15g | 4円 |
| 衣(片栗粉・小麦粉) | - | 8円 |
| キャベツの千切り | 30g | 6円 |
| レモン | 1/8個 | 8円 |
| 小鉢①(ひじき煮) | 60g | 18円 |
| 小鉢②(おひたし) | 50g | 12円 |
| ご飯 | 200g | 38円 |
| 味噌汁 | 180ml | 25円 |
| 漬物 | 15g | 8円 |
| 合計 | 307円 |
原価率:307 ÷ 1,100 = 27.9%
正確に計算すると27.9%。先ほどの「490円、44.5%」は、実は副菜を多めに見積もりすぎていたケースです。正しい原価を知っているかどうかで、経営判断がまったく変わります。
主菜別の原価比較
定食屋は複数の主菜を日替わりで提供します。主菜によって原価率が大きく違うことを知っておく必要があります。
| 定食メニュー | 主菜原価 | セット原価 | 売価 | 原価率 |
|---|---|---|---|---|
| 唐揚げ定食 | 192円 | 307円 | 1,100円 | 27.9% |
| 焼き魚定食(鮭) | 160円 | 275円 | 1,000円 | 27.5% |
| 生姜焼き定食 | 220円 | 335円 | 1,100円 | 30.5% |
| 豚カツ定食 | 280円 | 395円 | 1,200円 | 32.9% |
| 刺身定食 | 350円 | 465円 | 1,400円 | 33.2% |
刺身定食は原価率33%で最も高いが、粗利額は935円で最大。 原価率だけで判断すると間違えます。粗利額の高いメニューが売れる構成を作るのが正解です。
小鉢の盛りブレを防ぐ
定食の利益を地味に削っているのが小鉢です。
盛りブレの影響
| 副菜 | 標準量 | ブレ量 | 原価差 | 月間差額(80食/日) |
|---|---|---|---|---|
| ひじき煮 | 60g | 90g | +9円 | +18,000円 |
| おひたし | 50g | 75g | +6円 | +12,000円 |
| 切り干し大根 | 40g | 60g | +5円 | +10,000円 |
小鉢1品で月1万〜1.8万円。2品なら最大3.6万円。 これが毎月続きます。
対策
- 小鉢のサイズを統一する。 「この器に8分目」がルール。計量不要で、器を決めればブレが小さくなる
- 作り置きの小鉢は「1バッチ何食分」で管理する。 ひじき煮を1kg仕込んだら約16食分。これが20食になっていたら、1食の量が多すぎる
- 小鉢のラインナップを絞る。 日替わり小鉢が10種類あるより、定番3種類をローテーションするほうが仕込み効率が良く、量も安定する
ご飯おかわりの原価管理
定食屋で「ご飯おかわり無料」は集客力がある。でもおかわり率を把握していないと、見えない赤字の原因になります。
| おかわり率 | 1食の実質ご飯原価 | 38円との差 | 月間追加コスト(80食/日) |
|---|---|---|---|
| 0% | 38円 | — | — |
| 20% | 46円 | +8円 | +16,000円 |
| 40% | 53円 | +15円 | +30,000円 |
| 60% | 61円 | +23円 | +46,000円 |
おかわり率40%なら月3万円。 年間36万円の「サービス」です。
やめる必要はないが、この金額を定食価格に含めているかどうかで利益が変わります。
対策: 1週間だけ、おかわりの回数をカウントする。「1日何杯おかわりが出たか」をメモするだけでいい。
今週やること
- 売上上位3メニューの定食原価を、副菜・ご飯・味噌汁まで含めて再計算する
- 小鉢の器を統一し、「8分目」のルールを決める
- ご飯おかわりの回数を1週間記録する
- 原価率35%を超えているメニューを特定する
- 日替わり小鉢を3種類に絞る
関連ガイド
出典
定食の構成品ごとに原価を登録すれば、メニュー別の利益が一覧で見えます。仕入れ値が変わったら自動で再計算。KitchenCost を使ってみてください。