「これは原価? 経費? どっちに入れればいいの?」
確定申告の季節になると、毎年同じ悩みが出てくる。
飲食店なら食材費は原価、水道光熱費は経費——ここまではわかる。でもテイクアウト用の容器は? 調理に使うオリーブオイルの一部を自宅でも使っていたら? ハンドメイド作家が自宅で制作している場合の家賃は?
この仕分けをなんとなくで済ませていると、毎年数万〜数十万円を損している可能性がある。
先に結論
- 原価と経費を混同すると税額が変わる。 正しく仕分けるだけで手取りが増える
- 棚卸しをサボると税務調査で痛い目を見る。 修正申告+延滞税のリスク
- 家事按分を知らない人は年間数万円を損している
- 日々の原価記録があれば、確定申告は格段に楽になる
原価と経費は何が違うのか
まず基本。
売上原価:商品を作るために直接かかった費用。飲食店なら食材費。パン屋なら小麦粉やバター。ハンドメイドなら布やビーズ。売上と直接ひもづく。
経費(販管費):事業を運営するためにかかった費用。家賃、光熱費、通信費、広告費、交通費。売上と直接ひもづかないが、事業に必要なもの。
ここまではシンプル。問題はグレーゾーンの費用が多いことだ。
| 費用 | 原価?経費? |
|---|---|
| 食材費 | 原価 |
| テイクアウト容器 | 原価 |
| 調理用ガス代 | 経費(水道光熱費) |
| 調理器具(10万円未満) | 経費(消耗品費) |
| まかない用の食材 | 経費(福利厚生費) |
| メニュー撮影のカメラ | 経費(消耗品費 or 減価償却) |
| 自宅兼店舗の家賃 | 按分して経費 |
間違えやすいのは、**「原価に入れるべきものを経費にしてしまう」パターンと、「経費にできるものを計上し忘れている」**パターン。
よくある間違い① 棚卸しをしていない
個人経営の飲食店やパン屋で最も多いミスがこれ。
売上原価は「仕入れた金額」ではない。正確には、
売上原価 = 期首在庫 + 仕入額 − 期末在庫
つまり年末に残っている食材や材料の金額を差し引く必要がある。
年間の仕入れが500万円で、12月31日時点で倉庫に30万円分の食材が残っていたとする。
- 棚卸しをしない場合の売上原価:500万円
- 棚卸しをした場合の売上原価:470万円
「利益が増えて税金が増えるなら、やらないほうが得じゃないか」と思うかもしれない。でも棚卸しをしていないと税務調査で指摘されるリスクがある。 過去分をまとめて修正されると、修正申告+延滞税という最悪のパターンになる。
毎年きちんと棚卸しをしておくほうが、長期的には安全だ。
よくある間違い② 家事按分を知らない
自宅の一部を仕事場にしている個人事業主は多い。ハンドメイド作家、自宅パン教室、フードデリバリーの調理。
この場合、家賃や光熱費の一部を経費にできる。これが「家事按分(かじあんぶん)」だ。
家賃10万円のマンションで、1部屋(全体の30%)を作業場として使っていれば、月3万円を経費に計上できる。年間36万円。所得税率20%の人なら年間7.2万円の節税になる。
光熱費も同じ。オーブンを毎日使うパン教室なら、ガス代の50%を按分しても不自然ではない。
「面倒だからやっていない」「按分できるなんて知らなかった」という個人事業主は、驚くほど多い。
よくある間違い③ 減価償却の勘違い
10万円以上の設備を買ったとき、全額をその年の経費にしていないだろうか。
原則として10万円以上のものは「資産」として計上し、耐用年数に応じて少しずつ経費にする(減価償却)。
ただし青色申告をしている個人事業主には少額減価償却資産の特例がある。30万円未満のものは一括で経費にできる(年間合計300万円まで)。
この特例を知らずに減価償却している人もいれば、逆に30万円以上のものを一括経費にしてしまっている人もいる。
よくある間違い④ レシートを「だいたい」で処理
- もらい忘れた
- 感熱紙で消えてしまった
- 何を買ったか思い出せないレシートが束になっている
経費として認められるには「事業に関わる費用だと客観的に証明できること」が条件。レシートがなければ、本来経費にできる支出が認められず、余計な税金を払うことになる。
年間で数千〜数万円分の「計上できたはずの経費」が消えているケースは珍しくない。
今週やること
- 家事按分の対象がないか確認する。 自宅の一部を仕事場に使っているなら、家賃・光熱費・通信費の按分ができる可能性がある
- 30万円未満の設備購入がないか確認する。 青色申告なら少額減価償却資産の特例で一括経費にできる
- 日々の仕入れ・使用量の記録を始める。 1年分を2〜3月にまとめて処理しようとするから辛くなる。日常的に記録していれば確定申告の作業は格段に楽になる。KitchenCostのようなアプリでメニューごとの原価を管理しておけば、売上原価の数字がそのまま使えるし、在庫データがあれば棚卸しの計算も一瞬で終わる
確定申告は「やらなきゃいけない面倒な作業」に見えるが、見方を変えれば自分の商売が儲かっているかを年に一度真剣に振り返る機会でもある。
その振り返りの精度は、日々の記録の精度で決まる。
確定申告で原価と経費の整理を迷わず進めるなら。KitchenCost を使ってみてください。