要点まとめ
- 売上の公式は席数 × 回転率 × 客単価。席数は固定なので、回転率か客単価を上げるしかない
- 客単価が低い業態(ラーメン、牛丼)は回転率重視、客単価が高い業態(焼肉、居酒屋)は顧客体験重視
- 回転率を上げるにはモバイルオーダー導入、メニュー絞り込み、調理時間短縮
- 客単価を上げるにはセットメニュー設計、おすすめのタイミング、プレミアムオプション
回転率 vs 客単価、どちらを上げれば売上が伸びる?
「お客さんが長居して、次のお客さんを入れられない」
「単価の安いメニューばかり注文されて、利益が残らない」
この2つの悩み、実は同じ問題です。売上の公式を理解すれば、答えが見えてきます。
売上の基本公式
飲食店の売上は、シンプルな公式で表せます。
売上 = 客数 × 客単価
客数は何で決まるかというと:
客数 = 席数 × 回転率
つまり、こうなります:
売上 = 席数 × 回転率 × 客単価
席数は固定なので、回転率か客単価のどちらかを上げなければ、売上は伸びません。
回転率とは?
回転率は、1日(または営業時間)の間に、各テーブルが何回お客様を受け入れたかを示す数字です。
回転率 = 来店組数 ÷ テーブル数
例
テーブル10卓の店で、1日30組が来店した場合:
回転率 = 30 ÷ 10 = 3回転
同じ店で50組が来店した場合:
回転率 = 50 ÷ 10 = 5回転
回転率が3回から5回に上がると、客数は67%増えることになります。
業界平均
業界データによると、フルサービスレストランの平均回転率は1営業時間あたり2.5〜3回転程度です。高級レストランの場合、ゆっくりとした食事体験を提供するため、1日を通して4〜8回転と低くなります。
業態によって戦略が異なる
回転率重視の業態
| 業態 | 特徴 | 目標回転率 |
|---|---|---|
| 立ち食いそば・牛丼 | 低単価、短時間 | 8〜12回転 |
| ラーメン店 | 一人客が多い | 6〜10回転 |
| ファストフード | テイクアウト比率高 | 10回転以上 |
| 定食屋 | ランチ集中型 | 5〜7回転 |
客単価重視の業態
| 業態 | 特徴 | 目標客単価 |
|---|---|---|
| 焼肉店 | ドリンク、追加注文 | 4,000〜6,000円 |
| 居酒屋 | 長時間滞在、追加注文 | 3,000〜5,000円 |
| レストラン | コース料理、体験重視 | 8,000円以上 |
| カフェ | デザート、ドリンク追加 | 1,500〜2,500円 |
参考までに、2022年度の調査では、日本のレストランでの夕食の平均支出額は約2,700円でした。居酒屋では2,000〜5,000円程度が一般的です。
基本原則
客単価が低い業態 → 回転率を上げる
客単価が高い業態 → 顧客体験に集中する
同じ売上を実現する2つの方法
目標売上:1日30万円
戦略A:回転率重視(ラーメン店)
席数:20席
客単価:1,000円
必要回転率:15回転
20 × 15 × 1,000 = 300,000円
戦略B:客単価重視(居酒屋)
席数:20席
客単価:3,750円
必要回転率:4回転
20 × 4 × 3,750 = 300,000円
同じ30万円でも:
- ラーメン店は300人を回す必要があり
- 居酒屋は80人で達成できます
ただし、居酒屋は客単価を維持するための工夫が必要です。
回転率を上げる方法
1. モバイルオーダー・タブレット注文の導入
従来の注文フロー:
着席 → メニュー確認 → 検討 → 店員を呼ぶ → 注文を受ける
(5〜10分)
モバイルオーダー導入後:
着席 → QRスキャン → すぐ注文
(1〜2分)
導入店舗では、スタッフの移動回数が半分以下になったという事例も報告されています。
2. メニューの絞り込み
メニューが多いと、お客様の迷う時間が長くなります。
メニュー30品以上 → 決定まで5分以上
メニュー5〜10品 → 決定まで1〜2分
特にランチ中心の店舗なら、メニューを絞ることが効果的です。
3. 調理時間の短縮
事前準備:
- ご飯:ランチ前に十分炊いておく
- 付け合わせ:朝のうちにセット
- タレ・出汁:前日に仕込む
下ごしらえ活用:
- 肉類を事前に火入れ
- 提供時間を大幅短縮
4. 効率的な席配置
2人席をベースにすると:
- 4人客は2卓をつなげる
- 1〜2人客はそのまま案内
席稼働率(実際に埋まっている席の割合)を高めることが、空間効率の鍵です。
5. 片付けの迅速化
スタッフ教育のポイント:
- 空いた皿はすぐ下げる
- 手ぶらで歩かない
- テーブルセットは2分以内に完了
客単価を上げる方法
1. セットメニューの設計
単品:唐揚げ定食 900円
セット:唐揚げ定食 + ドリンク + 小鉢 = 1,200円
客単価 +300円アップ
2. おすすめのタイミング
良いタイミング:
- 注文直後:「お飲み物はいかがですか?」
- メイン提供後:「デザートはいかがですか?」
- 宴会の中盤:「もう一品追加されますか?」
避けるべきタイミング:
- 会計時(遅すぎる)
- お客様が急いでいる時
3. プレミアムオプションの提供
通常:コーヒー 450円
プレミアム:スペシャルティコーヒー 650円
通常:カレーライス 850円
プレミアム:黒毛和牛カレー 1,400円
選択肢があれば、一部のお客様は上位メニューを選びます。
4. 居心地の良い空間づくり
長居したくなる雰囲気は、追加注文につながります。
- 快適な座席
- 適度な照明
- 心地よいBGM
時間帯別戦略:両方を狙う
ランチ(回転率重視)
- セットメニュー中心
- スピード提供
- カウンター席活用
- 目標:回転率 5〜6回転
ディナー(客単価重視)
- アラカルトを充実
- ドリンク・サイドをおすすめ
- くつろげる雰囲気
- 目標:客単価 30%アップ
週末(ハイブリッド)
- ランチ:家族連れ(客単価重視)
- ディナー:グループ・宴会(両方を意識)
自店に合った戦略を見つける
チェックリスト
平均滞在時間は?
- 30分以下 → 回転率戦略
- 1時間以上 → 客単価戦略
主な客層は?
- 会社員・一人客 → 回転率戦略
- 家族・グループ → 客単価戦略
メインの時間帯は?
- ランチ中心 → 回転率戦略
- ディナー中心 → 客単価戦略
現在の客単価は?
- 1,500円以下 → 回転率を上げる
- 3,000円以上 → 客単価を上げる
今すぐやること
- 先月の回転率を計算する(来店組数 ÷ テーブル数)
- 現在の客単価を確認する(売上 ÷ 客数)
- 自店の業態に合った戦略を選ぶ(回転率 or 客単価)
- ランチとディナーで戦略を分けて実行する
関連ガイド
まとめ
- 売上 = 席数 × 回転率 × 客単価
- 客単価が低い業態は回転率に集中
- 客単価が高い業態は顧客体験に集中
- 時間帯別に戦略を変えれば、両方を狙える
- 回転率はオペレーション改善で、客単価はメニュー構成で上げる
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