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食べ放題の原価管理ガイド: 儲かるはずが赤字になる理由

食べ放題で利益を出す原価設計の方法。高原価メニューの管理、制限時間と回転率の関係、ドリンク戦略まで、実例で解説します。

更新 2026年2月18日
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目次

「食べ放題2,980円」。

お客さんには魅力的な数字です。来店動機も作りやすい。予約も入りやすい。

でも実際に原価を計算してみると、「あれ、全然残らない」となるお店は少なくありません。

食べ放題はうまく設計すれば利益が出るビジネスモデルですが、設計を間違えると固定費を回収できないまま食材だけが消えていく仕組みでもあります。

食べ放題の原価がどこで崩れるのか、どう設計すれば利益を守れるのか。順番に見ていきましょう。


先に結論

  • 食べ放題の利益は「平均注文内容」で決まる(たくさん食べる人より、何を食べるかが問題)
  • 高原価メニュー(上カルビ、刺身、エビ)の注文をコントロールするルール設計が核心
  • 制限時間と回転率はセット。30分の差で月の売上が数十万円変わる
  • 飲み放題は別料金化すると原価が読みやすくなる

食べ放題の原価はこう決まる

普通の飲食店は「メニューごとに原価が決まっている」ので計算しやすいですが、食べ放題はお客さんが何をどれだけ注文するかで原価が変動します。

だから「メニューの原価」ではなく「1人あたりの平均原価」で考えます。

1人あたり平均原価 = 高原価メニューの注文額 + 低原価メニュー + ドリンク + 副菜

例:焼肉食べ放題(2,980円・税抜)

実測で1組4人の注文を記録してみると:

メニュー1人平均原価
上カルビ200g240円
ハラミ150g135円
鶏もも100g50円
キャベツ・もやし適量20円
ライス1杯40円
タレ・調味料-15円
合計500円

原価率:500 ÷ 2,980 = 16.8%

「すごく儲かるじゃん」と思うかもしれません。でもこれは平均の話です。

実際には、上カルビばかり頼む人もいます。1人で上カルビ500g食べれば原価600円。肉好きの4人グループが来たら、テーブル原価が一気に跳ね上がります。

食べ放題の原価管理は「平均を設計すること」であり、極端な注文をルールで緩和することがポイントです。


原価が崩れる4つの原因

1. 高原価メニューの出数が管理されていない

焼肉食べ放題で「上カルビ」「特上ロース」を無制限にすると、原価が読めなくなります。

対策:

  • 高原価食材は1人2皿までなどの上限を設ける
  • 「最初のオーダーには含まない」ルールにする
  • グレード別コース(松竹梅)で高原価食材をプレミアムコースに分ける

2. 制限時間が長すぎて回転率が落ちる

120分食べ放題を設定すると、実際には準備・片付けも含めて1組で150分使います。ランチ営業4時間なら1.6回転。

90分制にすれば、片付け込みで110分。ランチで2.2回転。0.6回転の差で1日あたり数万円の売上差になります。

3. ドリンクが利益を圧迫している

食べ放題にソフトドリンク飲み放題をセットにしている店は多いですが、ドリンクバーの原液コストを計算していないケースがあります。

炭酸飲料は1杯あたり10〜15円ですが、生ビールは1杯80〜120円。飲み放題に生ビールを含めると、ドリンクだけで1人300〜500円の原価になることもあります。

4. 廃棄が多い

食べ放題は「余分に仕込んでおく」ことが前提のビジネスです。でも余分に仕込みすぎると、閉店後に大量の廃棄が出ます。

特に刺身、サラダ、デザート類は翌日に回せないので、仕込み量の精度がそのまま利益に直結します。


ルール設計が原価を決める

食べ放題で利益を守るのは「安い食材を使うこと」ではなく、ルール設計です。

注文ルール

ルール効果
1回の注文は3品まで過剰注文を防ぐ
残したら追加料金(300円/皿)廃棄抑制
高原価メニューは1人2皿まで原価の上振れ防止
ラストオーダーは終了20分前回転率確保

制限時間の設計

場面おすすめ時間理由
ランチ70〜90分回転重視。お客さんも急いでいる
ディナー平日90分仕事帰りで長居しない層が多い
ディナー週末120分家族・グループは時間が必要
宴会プラン120分これ以上長いと回転率が激減

ラストオーダーのタイミングも重要です。「残り20分でラストオーダー」とすると、実質的な食事時間は制限時間マイナス20分。この20分が片付けと次のお客さんの案内時間になります。


飲み放題は別料金にすべきか

結論から言うと、原価管理のしやすさでは別料金が有利です。

セットにした場合

食べ飲み放題 4,500円
→ 飲まない人にも4,500円を請求
→ 飲む人の原価を飲まない人の利益で相殺する設計

メリット:注文率が高い、宴会で選ばれやすい

デメリット:飲まない人に割高感、原価の変動が大きい

別料金にした場合

食べ放題 2,980円 + 飲み放題 1,500円
→ 飲み放題を頼んだ人だけに原価がかかる
→ 食べ放題の原価率が純粋に見える

メリット:原価が読みやすい、非飲酒者も来店しやすい

デメリット:飲み放題の注文率が下がる

どちらが正解かはお店の客層で決まりますが、原価が読めない状態が一番危険です。セットにするなら、飲み放題の原価を別で把握しておくことが最低限必要です。


メニュー構成のバランス

食べ放題で利益が出るのは、低原価メニューでお腹を満たしてもらい、高原価メニューの出数を抑える構成です。

原価別メニュー配分の目安

カテゴリ品数の目安役割
低原価(ご飯もの・麺・野菜)全体の40〜50%満足感を作る「土台」
中原価(鶏肉・豚肉・揚げ物)全体の30〜40%選択肢の幅を出す
高原価(牛肉上位・海鮮・刺身)全体の10〜20%「食べ放題で得した感」を演出

ポイントは高原価メニューの品数を少なくすることではなく、低原価メニューを魅力的にすることです。

サラダバーが充実している、ご飯ものが美味しい、デザートが豊富——こういう要素があると、高原価メニューの注文比率が自然に下がります。


実際に原価を計算してみる

しゃぶしゃぶ食べ放題(3,280円・税抜)

1人あたりの平均注文を測定した結果:

項目原価
豚バラ250g200円
牛肩ロース100g180円
野菜セット200g80円
豆腐・きのこ適量30円
うどん/ご飯1人前40円
ポン酢・ごまだれ-15円
ガス代-30円
合計575円

原価率:575 ÷ 3,280 = 17.5%

ただしこれは平均値です。牛肩ロースを300g食べる人がいれば、その人だけで原価は935円(原価率28.5%)になります。

大事なのは「平均原価率が目標内に収まっているか」を週単位で測定することです。1日単位だと宴会グループが来るだけで数字がブレます。


今週やること

  • 1週間、テーブルごとの注文内容を記録する(高原価メニューの出数を把握)
  • 高原価メニューに注文上限ルールがあるか確認する
  • 制限時間とラストオーダーのタイミングを見直す
  • 飲み放題の原価を食べ放題と分けて計算してみる
  • 低原価メニュー(サラダ、ご飯もの)の魅力を上げる方法を考える

関連ガイド


メニューごとの原価をまとめて管理したいなら、KitchenCost を試してみてください。食べ放題の各メニューをレシピ登録すれば、1人あたりの平均原価がすぐに見えるようになります。

よくある質問

食べ放題の原価率は何%が適正?

業態によりますが、焼肉食べ放題なら35〜45%、しゃぶしゃぶなら30〜40%、スイーツバイキングなら25〜35%が目安です。ただし原価率だけでなく、回転率とセットで考える必要があります。回転率が低いと、原価率が低くても利益が出ません。

食べ放題で一番原価が崩れるのはどこ?

高原価メニューの出数です。たとえば焼肉食べ放題で上カルビ(原価120円/100g)ばかり注文されると、1人あたりの原価が簡単に500円以上変わります。低原価の副菜やドリンクで全体を調整する設計が必要です。

制限時間は90分と120分、どちらがいい?

ランチは70〜90分、ディナーは90〜120分が一般的です。30分の差で回転率が0.5〜1回変わるので、売上への影響は大きいです。お客さんの満足度を下げずに回転を上げるなら、ラストオーダーの時間設計が鍵になります。

飲み放題はセットと別料金、どちらが得?

原価管理のしやすさでは別料金が圧倒的に有利です。セットにすると飲まない人にも飲み放題分の原価を被せる計算になり、価格が上がって集客に影響します。ただし宴会需要が多い居酒屋では、セットのほうが注文率が高く結果的に売上が伸びるケースもあります。

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