「原価率30%に収まっているから、うちの店は大丈夫。」
本当にそうでしょうか?
原価率30%を守っていても、1食あたりの利益がほとんど残っていないメニューはありませんか? 家賃も人件費もキャッシュレス手数料も、原価率の計算には入っていない。原価率30%でも、実際に手元に残る利益は想像より少ないかもしれません。
先に結論
- 原価率30%は「全業態の平均」であって、正解ではない。 業態によって適正値はまったく違う
- 原価率だけ見ていると「忙しいのに利益がない」状態に陥る。 1食の総コストで判断する
- 1食総コスト = 食材費 + 人件費 + 手数料 + 固定費配賦。 ここまで入れて初めて採算がわかる
- 据え置くメニューと改定するメニューを分ける設計が、客離れを防ぐ
原価率30%の「落とし穴」
売価1,000円、食材原価300円。原価率は30%。数字だけ見れば合格です。
でも、ここに他のコストを足すと——
食材費:300円
人件費:180円(1食あたり)
決済手数料:14円
固定費配賦(家賃等):120円
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1食総コスト:614円
粗利:386円
「原価率30%なのに、手元に残るのは売価の38.6%だけ。」
そしてこの粗利386円から、さらに水道光熱費、消耗品、返済が引かれます。
価格転嫁率53.5%の意味
中小企業庁の調査では、コスト上昇分を価格に反映できた割合は53.5%。つまり飲食店は、値上がりの半分弱を自分で吸収し続けています。
「値上げしたらお客さんが来なくなる」——その恐怖は理解できます。でも転嫁しないまま我慢し続けた先にあるのは、閉店です。
2025年の飲食店倒産は1,002件。過去30年で最多。
再設計の進め方
全品一律値上げではなく、3つに分けるのがコツです。
- 据え置き — 原価率が低く、粗利額も十分なメニュー。看板商品として守る
- 微調整 — 粗利がやや薄いが、20〜30円の調整で改善できるもの
- 重点改定 — 1食総コストが売価を上回りかけている赤字予備軍。優先的に改定する
今週やること
- 売上トップ10の1食総コスト(食材費+人件費+手数料+固定費配賦)を出す
- 原価率30%以下でも粗利が薄い商品がないか確認する
- 「据え置き」「微調整」「重点改定」の3区分に分ける
- 重点改定の対象だけ、告知文と改定日を決める
原価率30%は目安にはなります。でも**「目安を守ったから安心」は、一番危ない安心です。**
1食あたりの本当のコストを知ることから始めてみてください。
メニューごとの原価率と粗利額を一覧で確認するなら。KitchenCost を使ってみてください。