ブログ

一人経営の飲食店で自分の時給を計算する方法

個人経営の飲食店オーナーが自分の実質時給を把握するための計算方法。自分の人件費も経費として認識することで、本当の利益が見えてきます。

更新 2026年2月18日
人件費時給計算個人経営自営業原価管理
目次

要点まとめ

  • 自分の人件費も経費として計算しないと、本当の利益が見えない
  • 労働時間は営業時間だけでなく仕込み、片付け、仕入れ、事務もすべて含める
  • 2025年度の全国平均最低賃金は1,121円。これを下回ったら経営の見直しが必要
  • プライムコスト(材料費+人件費)は60%以下が健全な状態

一人経営の飲食店で自分の時給を計算する方法

「従業員の給料はきちんと払っているのに、自分の給料は”残ったお金”で済ませていませんか?」

一人で飲食店を経営していると、自分の人件費を計算に入れないことが多いです。その結果、本当に儲かっているのか分からず、気づいたら燃え尽きてしまうこともあります。

この記事では、自分の人件費を正しく計算する方法を解説します。


なぜ自分の人件費を計算すべきか?

本当の利益が見えるようになる

よくある計算:
売上100万円 - 材料費35万円 - 家賃15万円 - その他10万円
= 利益40万円(結構儲かってる!)

正しい計算:
売上100万円 - 材料費35万円 - 家賃15万円 - その他10万円 - 自分の人件費30万円
= 利益10万円(あれ、思ったより少ない...)

40万円残ると思っていたのに、自分の労働価値を引くと10万円しか残りません。

経営判断の基準ができる

「アルバイトを雇うべきか、自分でやり続けるべきか?」この判断には、自分の時給を知る必要があります。

自分の時給が800円で、最低賃金(東京2025年度:1,226円)でバイトを雇うと?
→ 自分でやった方がいい

自分の時給が1,500円で、最低賃金でバイトを雇うと?
→ バイトを雇って、自分はより価値の高い仕事に集中すべき

燃え尽き症候群の予防

1日14時間働いて月30万円稼ぐより、1日8時間で月25万円稼ぐ方が持続可能かもしれません。時給で比較すれば、どちらが合理的か明確になります。


自分の時給を計算する方法

ステップ1:月の純収益を把握する

先月の純収益を計算します。このとき、自分の人件費はまだ引きません。

純収益 = 売上 - 材料費 - 家賃 - 光熱費 - その他経費

例:

売上:150万円
- 材料費:50万円(原価率33%)
- 家賃:18万円
- 光熱費:3万円
- その他(消耗品、通信費など):4万円
──────────────────
純収益:75万円

ステップ2:月の労働時間を計算する

お店のために働いた時間をすべて計算します。

項目時間
営業時間1日10時間 × 26日 = 260時間
仕込み・片付け1日2時間 × 26日 = 52時間
仕入れ週2回 × 2時間 × 4週 = 16時間
事務・管理週2時間 × 4週 = 8時間
合計336時間

多くの方が「営業時間」だけを計算しがちですが、仕込み、片付け、仕入れ、事務作業もすべて労働時間です。

ステップ3:時給を計算する

自分の時給 = 純収益 ÷ 労働時間
         = 75万円 ÷ 336時間
         = 2,232円

この例では、時給は約2,230円です。


時給の目安は?

比較基準

基準時給意味
全国平均最低賃金(2025年度)1,121円これを下回ると要注意
東京都最低賃金(2025年度)1,226円都市部の基準
飲食店正社員平均1,200〜1,500円一般的な飲食店スタッフ
経験者調理師1,500〜2,000円経験のある厨房スタッフ
店長クラス1,800〜2,500円管理職レベル

参考: 2025年度の最低賃金改定は過去最大の引き上げ幅(平均66円増)となりました。全都道府県で初めて1,000円を突破しています。出典:厚生労働省

業態別の現実的な目標

業態目標時給
一人カフェ1,500〜2,000円
一人居酒屋1,200〜1,800円
自宅パン屋1,800〜2,500円
キッチンカー2,000〜3,000円
弁当配達1,200〜1,500円

時給が低い場合の改善方法

1. 労働時間を減らす

非効率な時間を見つけて削減します。

Before: 1日12時間勤務
- 営業:8時間
- 仕込み・片付け:3時間
- その他:1時間

After: 1日10時間勤務
- 営業:8時間
- 仕込み・片付け:1.5時間(半製品活用)
- その他:0.5時間(業務効率化)

時間短縮の方法:

  • 半製品(ソース、出汁、生地)を作り置き
  • 食材配送サービスを活用
  • 会計・在庫管理アプリを使用

2. 売上を上げる

同じ時間でより多く売る方法:

方法効果
客単価を上げるセットメニュー、サイドメニュー提案
回転率を上げるメニュー絞り込み、調理時間短縮
テイクアウト強化追加売上チャネル確保

3. 原価を下げる

原価率35%→30%に下げると?

売上150万円の場合:
- 原価率35%:材料費52.5万円
- 原価率30%:材料費45万円
- 差額:7.5万円/月 → 時給+223円

原価を下げる方法:

  • レシピの標準化(材料の無駄を防ぐ)
  • ロス率の計算(廃棄食材の把握)
  • 仕入れ先の比較検討

実例:一人カフェ

状況

  • 月商:120万円
  • 月〜土営業(月26日)
  • 営業時間:9時〜19時(10時間)

経費計算

項目金額比率
材料費30万円25%
家賃15万円12.5%
光熱費2.5万円2%
その他2.5万円2%
合計50万円42%

純収益

120万円 - 50万円 = 70万円

労働時間

営業:10時間 × 26日 = 260時間
仕込み・片付け:1.5時間 × 26日 = 39時間
その他:週3時間 × 4週 = 12時間
──────────────────
合計:311時間

自分の時給

70万円 ÷ 311時間 = 2,251円

このカフェオーナーの時給は約2,250円です。


プライムコストに自分の人件費を含める

**プライムコスト(材料費+人件費)**に自分の人件費も含めると、正確な収益構造が見えます。

プライムコストの計算

材料費:30万円(25%)
自分の人件費:30万円(25%)← 目標として設定
──────────────────────
プライムコスト:60万円(50%)

プライムコストが60%以下なら安定的な経営と言えます。

日経レストランの調査によると、個人飲食店で黒字の経営者の平均年収は631万円、世帯年収は895万円です。一方、赤字店の経営者年収は300万円台以下のケースも多くあります。出典:飲食店ドットコム

適正な自分の人件費の設定

売上の25〜35%を自分の人件費として設定

売上120万円のカフェなら:
- 適正な自分の人件費:30〜42万円
- 残りは予備費または再投資

アルバイト採用 vs 自分でやる

判断基準

自分の時給 > アルバイト時給の1.5倍のとき、採用を検討しましょう。

アルバイト時給:1,100円
基準:1,100円 × 1.5 = 1,650円

自分の時給が1,650円以上 → アルバイト採用を検討
自分の時給が1,650円未満 → 自分でやる

なぜ1.5倍?

アルバイトを雇うと追加コストが発生します:

  • 教育時間
  • 管理時間
  • ミスによるロス
  • 社会保険(該当する場合)

単純な時給比較では判断できません。


飲食業界の現実

2024年度上期の飲食業界の平均月給は、東京都で約29.3万円、大阪府で約28.1万円です。これは正社員の数字で、個人経営者は状況によって大きく異なります。

飲食店経営者の平均年収は約627万円とされていますが、赤字店舗の経営者は300万円台やそれ以下のケースも多く、年収200万円台でアルバイトや副業をしながら経営しているケースもあります。

自分の時給を計算して最低賃金を下回っているなら、ビジネスモデルの根本的な見直しが必要です。

出典: 飲食店ドットコム 2024年度上期給与調査


まとめ

時給計算の公式

自分の時給 = (売上 - 材料費 - 家賃 - 光熱費 - その他) ÷ 総労働時間

重要ポイント

  1. 自分の人件費も経費 — これを引いて初めて本当の利益が見える
  2. 労働時間は営業時間だけではない — 仕込み、片付け、仕入れ、事務もすべて含める
  3. 2025年度の全国平均最低賃金は1,121円 — これを下回ったら再検討が必要
  4. 時給を上げるには — 労働時間削減 / 売上増加 / 原価削減
  5. プライムコストに自分の人件費を含める — 60%以下が健全な状態

一人経営の原価と利益をレシピ単位で見える化したいなら、KitchenCostを無料でお試しください。

関連ガイド


今すぐやること

  • 先月の純収益を計算する(売上 - 材料費 - 家賃 - 光熱費 - その他)
  • 先月の総労働時間を計算する(営業+仕込み+片付け+仕入れ+事務)
  • 自分の時給を計算する(純収益 ÷ 総労働時間)
  • 最低賃金(1,121円)と比較して改善点を見つける

参考資料

よくある質問

個人経営の飲食店オーナーの実質時給はいくらですか?

個人飲食店オーナーの平均年収は約300万円。月200時間以上働いている方が60%以上なので、実質時給は1,000〜1,200円前後。2025年の最低賃金1,121円と同水準かそれ以下というケースが多いです。

自分の人件費は原価計算に入れるべきですか?

はい。自分の労働時間を時給換算して原価に含めないと、利益が出ているように見えて実は赤字、という状態になります。最低でも最低賃金(1,121円)で計算し、プライムコストに含めてください。

一人経営で利益を増やすにはどうすればいいですか?

まず自分の時給を把握し、時給が低い作業(仕込み、清掃など)を効率化するか外注することを検討します。原価管理の自動化も効果的で、レシピ登録のあとは食材価格の更新だけで原価率が自動計算されるアプリを使えば、管理にかける時間を大幅に減らせます。

今すぐ原価を計算してみましょう

材料単価を入力するだけで、レシピ原価・利益率・販売価格を自動計算します。