お客さんは増えた。でも利益は減った。
2025年、飲食店の倒産は1,002件。過去30年で最多。初めて1,000件を超えた。
しかも倒産した店の88.4%が資本金1千万円未満の小規模事業者。潰れているのは大手チェーンではなく、街の小さな飲食店だ。
先に結論
- 倒産の最大要因は「値上げの遅れ」。 コストが上がったのに売値を変えられなかった
- FL比率60%超は赤信号。 食材費+人件費が売上の6割を超えると、固定費を払えない
- 生き残っている店は「週次」で数字を見ている。 月次では手遅れ
- 値上げは小幅×こまめが鉄則。 半年放置して大幅改定すると客離れしやすい
なぜ今、これほど多くの店が消えているのか
原因はひとつではない。ただ最大の要因は明確だ。
コストが上がったのに、売値を上げられなかった。
飲食店の96.0%が食材の値上がりに直面している。2025年4月だけで4,225品目の食品が値上がりした。さらに最低賃金は全国加重平均で1,121円に引き上げ。米は10kgあたり3,500円から7,000円に跳ね上がった。
ところが飲食業の価格転嫁率は32.3%。全業種平均の39.4%を下回っている。コストが100円上がっても、メニュー価格に反映できたのは32円だけ。残り68円はオーナーの利益から消えている。
値上げできない理由は「怖いから」だ。 客足が遠のくのでは。常連が離れるのでは。その恐怖が、じわじわと利益を削っていく。
倒産した店に共通する3つのパターン
パターン1:原価を「だいたい」で把握している
月末に仕入れ伝票をまとめて「今月はこのくらいだった」と確認するだけ。メニューごとの原価は計算していない。どのメニューが利益を生んでいて、どれが足を引っ張っているかがわからない。
利益率の低いメニューほど注文が多い——そんな構造に気づかないまま、何年も営業を続けてしまう。
パターン2:FL比率を管理していない
FL比率とは、Food(食材費)とLabor(人件費)を足した割合のこと。この数字が売上の60%を超えると、家賃や光熱費を払ったあとにほとんど利益が残らない。
2025年は食材費の高騰に加え、最低賃金引き上げで人件費も上がった。FL比率が知らないうちに65%、70%と膨らんでいた店は少なくないだろう。
でもFL比率という言葉自体を知らないオーナーも多い。 知らなければ管理のしようがない。
パターン3:値上げの判断が遅い
コストが上がり始めてから値上げを決断するまでに、半年〜1年かかる店が多い。その間に失った利益は取り戻せない。
さらにタイミングを逃すと、一度に大幅な値上げが必要になり、かえって客離れを招く。小幅な値上げをこまめにやるほうが、お客様の抵抗感は小さい。
生き残っている店がやっていること
同じコスト高騰のなかでも利益を出し続けている店は、何が違うのか。
「週次」で数字を見ている
月次決算では遅すぎる。生き残っている店は、少なくとも週に1回は売上・原価・粗利を確認している。異変に気づくのが早いから、手を打つのも早い。
「先週からキャベツが2割上がっている。回鍋肉のポーションを見直そう」——この判断を月末にするか翌週にするかで、1ヶ月の利益は数万円変わる。
メニューに「稼ぎ頭」と「集客役」を分けている
すべてのメニューで利益を出す必要はない。
原価率が高くてもお客さんを呼べる「看板メニュー」と、原価率が低くて利益を稼ぐ「サイドメニュー・ドリンク」を意識的に組み合わせている店は強い。
居酒屋で刺身盛りの原価率が50%でも、ハイボールとポテトフライで帳尻を合わせる。 この「メニューミックス」の設計ができていれば、全体の原価率を30〜35%にコントロールできる。
ただし、メニューごとの原価を正確に知っていることが前提だ。
ロスを「仕組み」で減らしている
フードロスを「意識」で減らそうとしても限界がある。生き残っている店は仕組みで対処している。
- 仕込み量を曜日・天気・イベントで変える
- 在庫のFIFO(先に入れた食材から先に使う)を徹底する
- 廃棄記録を毎日つけて、パターンを分析する
「感覚」ではなく「データ」で仕込み量を決められるかどうか。ここがロス率3%の店と10%の店の分かれ目になる。
「数字を見る時間がない」を解決するには
ここまで読んで、こう思った人もいるだろう。
「それが大事なのはわかる。でも営業しながら数字を管理する時間なんてない」
そのとおりだ。個人経営の飲食店は、仕入れ・仕込み・調理・接客・会計・清掃をオーナーひとりでこなしていることも珍しくない。原価管理のためにExcelを開く余裕はない。
だからこそ、管理を自動化できるかどうかが分かれ目になる。
KitchenCostのようなアプリなら、レシピと仕入れ価格を登録しておくだけで、メニューごとの原価率が自動計算される。食材の価格が変わったときに、影響を受けるメニューの原価率がリアルタイムで更新される。
「今月、うちの店でいちばん利益を出しているメニューは何か」
この問いに即答できるオーナーは、倒産リストに載ることはないだろう。
1,002件という数字は重い。でも裏を返せば、大多数の飲食店はまだ生き残っている。
違いは才能でもセンスでもない。自分の店の数字を、リアルタイムで把握しているかどうか。 ただ、それだけだ。
倒産リスクを減らすために週次で数字を把握するなら。KitchenCost を使ってみてください。