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値上げが怖い飲食店オーナーへ——「客離れしない価格改定」の技術

食材費高騰で値上げしたいのに客離れが怖い。でもデータでは値上げした店の6割が「客数に大きな影響なし」と回答しています。客離れしない値上げの5つのルールと、判断に必要な数字の見方をまとめました。

更新 2026年2月18日
値上げ価格改定飲食店経営客離れ対策原価管理メニュー戦略
目次

「値上げしたいけど、お客さんが来なくなったらどうしよう」

2025年、この恐怖と戦っている飲食店オーナーは多いだろう。

食材費は上がり続けている。4月だけで4,225品目が一斉値上げ。最低賃金は全国加重平均で1,121円に引き上げ。米は10kgで7,000円。

コストは上がっているのにメニュー価格はそのまま。差額はすべてオーナーの利益から消えている。

先に結論

  • 値上げした店の6割は「客数に大きな影響なし」
  • 客離れの原因トップは「味やサービスへの不満」。 価格は4番目以降
  • 1回5〜10%、看板メニューは控えめに、サイドとドリンクで調整
  • 「数字がこうだから」で判断すれば、恐怖に振り回されない

値上げしても「客数が減らなかった」店は6割

ある飲食業界の調査によると、値上げを実施した飲食店のうち**約6割が「客数に大きな影響はなかった」**と回答している。

客離れを恐れて値上げをためらっている間にも、実際に値上げした店の過半数はお客さんを失っていない。

もちろんやり方次第だ。でも正しい方法で値上げすれば、客離れは最小限に抑えられることをデータが示している。

客が離れる本当の理由

お客さんが飲食店に来なくなる理由のトップ3は——

  1. 味やサービスへの不満
  2. 新しい店への浮気
  3. 生活圏の変化(引っ越し・転職など)

「価格」は実は4番目以降。

50〜100円の値上げで常連が離れることは、思っているほど多くない。 むしろ値上げせずに食材の質を落としたりポーションを減らしたりする「ステルス値上げ」のほうが、常連の信頼を損ねる。

客離れしない値上げの5つのルール

ルール1:一度に大きく上げない

500円→600円は「高くなった」と感じる。500円→530円は「まあそうだよね」で済む。

値上げ幅は1回あたり5〜10%。100円上げたいなら2回に分けて50円ずつ。半年〜1年の間隔をあければ、お客さんの抵抗感はぐっと小さくなる。

ルール2:全メニュー一律に上げない

お客さんがいちばんよく頼む「定番メニュー」は価格感度が高い。ここを大きく上げると「値上げした」という印象が強くなる。

定番メニューの値上げ幅は控えめに。サイドメニューやドリンクで調整する。

メニュー現在価格値上げ後値上げ幅
看板メニュー(ランチ定食)900円930円+30円(3.3%)
サイドメニュー(サラダ)350円400円+50円(14%)
ドリンク300円350円+50円(17%)

お客さんが気にするのは看板メニューの価格。サイドやドリンクの50円増は、ほとんど意識されない。

ルール3:理由を正直に伝える

「食材費の高騰により、やむを得ず価格を改定いたします」

この一文があるだけで受け止め方が大きく変わる。理由を言わずに値上げすると「金儲けか」と思われる。理由を伝えれば「大変なんだな」と共感してもらえる。

告知は値上げの1ヶ月前がベスト。店内掲示・SNS・LINE公式アカウントなど、常連に届く手段で。

ルール4:値上げと同時に「何か」を加える

価格だけが上がるとお客さんは「損をした」と感じる。でも値上げと同時に小さな改善を加えると印象が変わる。

  • 味噌汁を具沢山にする
  • 漬物を1品追加する
  • ご飯のおかわりを無料にする

原価にして数十円の追加で「値上げしたけど、むしろお得感が出た」と思ってもらえることがある。

ルール5:値上げの判断を「数字」で決める

「いつ値上げすべきか」を肌感覚で判断すると、恐怖が邪魔をしてどうしても遅れる。

判断基準を先に決めておこう。

  • 原価率が3ポイント以上、上がったとき
  • FL比率(食材費+人件費の割合)が売上の60%を超えたとき
  • 月の利益が前年同月比で20%以上減ったとき

この基準があれば、「怖いから」ではなく「数字がこうだから」で決断できる。

値上げの判断には「今の原価」が必要

ここで問題がある。

メニューごとの原価率を正確に把握しているオーナーは、実はそう多くない。

「うちの原価率はだいたい30%」——この「だいたい」が曲者だ。食材費が毎月変わる今、3ヶ月前の原価率で判断するのは、3ヶ月前の天気予報で今日の服を選ぶようなものだ。

KitchenCostのようなアプリなら、食材の仕入れ値を更新するだけで全メニューの原価率がリアルタイムで再計算される。

「先月から卵が15%上がった。影響を受けるメニューはこの3つ。原価率はそれぞれこう変わった」

この情報が手元にあれば、「何をいくら値上げすべきか」は恐怖ではなく数字に基づいて判断できる。


値上げは「お客さんへの裏切り」ではない。適正な価格で良い料理を出し続けるための経営判断だ。

値上げを恐れて利益を削り続け、最後に店を閉めることになったら——それこそがお客さんにとっての裏切りではないだろうか。

まずは自分の店の「今の原価」を知ることから始めよう。


客離れを抑えた価格改定を数字で判断するなら。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

値上げすると本当に客数は減りますか?

値上げした飲食店の約6割が「客数に大きな影響はなかった」と回答しています。お客さんが離れる理由のトップは味やサービスへの不満で、価格は4番目以降。50〜100円の値上げで常連が離れることは思っているほど多くありません。

1回の値上げ幅はどの程度が安全ですか?

1回あたり5〜10%が目安です。500円→600円は「高くなった」と感じますが、500円→530円は「まあそうだよね」で済みます。100円上げたいなら50円ずつ2回に分けるのがベスト。

値上げ理由はどう伝えるべきですか?

「食材費の高騰により、やむを得ず価格を改定いたします」の一文を店内掲示やSNSに載せるだけで、受け止め方が大きく変わります。値上げの1ヶ月前に告知するのがベスト。理由なしだと「金儲けか」と思われます。

価格改定前に確認すべき数字は何ですか?

メニュー別の最新原価率と粗利額です。原価率が3ポイント以上上がった商品、FL比率(食材費+人件費の割合)が60%を超えた場合は値上げのタイミングです。

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