「売上は悪くないのに、なぜか手元にお金が残らない」
その原因のひとつ、電気代かもしれません。
マネーフォワードの調査によると、飲食店の水道光熱費は売上の5〜8%が相場です。月商200万円の店なら、月10〜16万円が光熱費に消えている計算。そのうち最も大きいのが電気代で、光熱費全体の50〜60%を占めます。
つまり、月の電気代が8〜10万円。年間で100万円前後。
「そんなもんだろう」と思うかもしれません。でも、ちょっとした工夫で月1〜3万円、年間12〜36万円を削減できるとしたら? しかも、お金をかけずに。
この記事では、飲食店の電気代を0円〜低コストで削減する方法を、すぐに実行できるものから順に整理します。
先に結論
- 飲食店の電気代は売上の3〜5%が目安。 それ以上なら見直し余地あり
- 0円でできることだけで月3,000〜5,000円は減らせる
- 電気代の3大食い虫は「冷蔵庫」「空調」「照明」。 この3つで全体の70〜80%
- LED化は照明の電気代を40〜60%カット。 補助金で初期費用も半減可能
- 冷蔵庫は「詰めすぎ」と「開けすぎ」をやめるだけで変わる
まず自分の店の電気代を「知る」
削減の前に、まず現状を把握してください。
確認すべき3つの数字
| 項目 | 確認方法 | 目安 |
|---|---|---|
| 月の電気代 | 電力会社の明細書 or マイページ | 月商の3〜5%なら合格圏 |
| 前年同月との比較 | 明細書に記載あり | 10%以上増えていたら要注意 |
| 電力単価(1kWhあたり) | 明細書に記載 | 2026年3月時点で25〜35円/kWh程度 |
業態別の目安
| 業態 | 水道光熱費の売上比率 | 月の電気代(月商200万円の場合) |
|---|---|---|
| カフェ・バー | 3〜5% | 4〜7万円 |
| 居酒屋 | 5〜7% | 6〜9万円 |
| 定食屋・レストラン | 5〜8% | 7〜10万円 |
| ラーメン店 | 7〜10% | 9〜13万円 |
| 焼肉店 | 7〜10% | 9〜13万円 |
ラーメン店や焼肉店が高いのは、長時間の加熱と大型冷蔵設備が理由です。
もし自分の店がこの目安を超えていたら、削れる余地があるということです。
電気代の「3大食い虫」を知る
飲食店で電気を一番使っているのは何か。だいたい以下の3つで**全体の70〜80%**を占めます。
| 設備 | 電気代に占める割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 冷蔵庫・冷凍庫 | 30〜40% | 24時間365日稼働。止められない |
| 空調(エアコン) | 20〜30% | 夏冬に急増。設定温度で大きく変わる |
| 照明 | 15〜25% | 営業時間中ずっと点灯。LED化で激変 |
逆に言えば、この3つを改善すれば電気代の大半に手を打てるということです。
今日からできる0円の省エネ対策
まずはお金をかけずにできることから。
冷蔵庫・冷凍庫(電気代の30〜40%)
業務用冷蔵庫は24時間動きっぱなしなので、少しの改善が大きな差になります。
| 対策 | 効果 | なぜ効くのか |
|---|---|---|
| 庫内を詰めすぎない | 冷却効率5〜10%改善 | 空気が循環しないと冷えにくくなり、コンプレッサーが頑張りすぎる |
| 扉の開閉回数を減らす | 年間数千円〜 | 開けるたびに冷気が逃げて、冷やし直すのに電気を使う |
| 扉を開けている時間を短くする | 同上 | 「何を取るか決めてから開ける」を習慣にする |
| 背面の放熱スペースを確保する | 冷却効率10%改善 | 壁にぴったりつけると放熱できず、余計な電力を使う。壁から10cm以上離す |
| コンデンサーのフィルター清掃 | 冷却効率15〜20%改善 | ホコリが詰まると冷却性能が落ちる。月1回の掃除で解決 |
| パッキン(ドアのゴム)の確認 | 隙間からの冷気漏れ防止 | 名刺を挟んで引っ張って落ちたら交換時期 |
フィルター清掃が最もコスパが高い。 月1回、5分で済む作業ですが、やっている店は驚くほど少ないです。
空調(電気代の20〜30%)
| 対策 | 効果 | 補足 |
|---|---|---|
| 設定温度を1度変える | 電気代約10%削減 | 夏28度→27度ではなく、27度→28度に。冬は20度で十分 |
| フィルターを2週間に1回清掃 | 冷暖房効率5〜15%改善 | フィルターが汚れると風量が落ちて、設定温度に達しにくくなる |
| 営業前に換気してから空調を入れる | 初動の電力消費を抑制 | 熱がこもった状態で空調を入れると、最大出力で動き続ける |
| 扇風機・サーキュレーターを併用 | 体感温度2〜3度下がる | 空気を循環させると冷房効率が上がる。3,000円程度の投資で済む |
夏場の「設定温度1度」は大きい。 エアコンは設定温度を1度上げるだけで約10%の電力削減になると言われています。月の電気代が10万円で空調が3万円分なら、1度で月3,000円、年間36,000円の差です。
照明(電気代の15〜25%)
| 対策 | 効果 | 補足 |
|---|---|---|
| 不要な照明を消す | その分だけ削減 | バックヤード、トイレ、使っていない客席 |
| 点灯時間を見直す | 5〜10%削減 | 開店1時間前から全灯する必要があるか? |
| 窓際の席は日中消灯 | 自然光で十分な場合が多い | 天気がいい日は照明なしでも明るい |
照明の0円対策は「こまめに消す」に尽きます。ただし、本当に電気代を減らしたいなら、LED化が圧倒的に効果が大きい(後述)。
少しお金をかけてやる省エネ(投資回収あり)
LED照明への切り替え
これが飲食店の省エネで最もコスパが高い投資です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 照明の電気代削減率 | 40〜60% |
| LED電球の寿命 | 約40,000時間(蛍光灯の4〜5倍) |
| 初期投資の目安(15席の店) | 5〜15万円 |
| 投資回収期間 | 1〜2年 |
蛍光灯20本の店なら、LED化で照明の電気代が半分以下になります。月の照明電気代が1.5万円だった店なら、月7,000〜9,000円に。年間で7〜10万円の削減。
さらに——
- 蛍光灯は切れたら1本ずつ交換 → 交換の手間とコストが定期的にかかる
- LEDは10年以上持つ → 交換コストがほぼゼロに
冷蔵庫の買い替え
10年以上使っている業務用冷蔵庫は、最新機種に比べて消費電力が2〜3倍というケースがあります。
ホシザキの公式サイトによると、最新のインバーター冷蔵庫は旧型と比べて消費電力が約30〜50%削減されています。
ただし、業務用冷蔵庫は1台30〜80万円。簡単に買い替えられる金額ではありません。ここで使えるのが補助金です。
使える補助金(2025〜2026年度)
設備投資にはお金がかかりますが、補助金を使えば自己負担を半分以下にできる場合があります。
① 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(設備単位型)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 空調、照明、冷蔵庫など省エネ設備への更新 |
| 補助率 | 設備費の1/3〜1/2 |
| 特徴 | 1台から申請可能。 小さな飲食店でも使いやすい |
| 注意点 | 申請期間が決まっている。公募開始をチェック |
参考:経済産業省 省エネルギー投資促進支援事業
② 電気・ガス料金支援(2026年1月〜)
2026年1月から電気・ガス料金の補助が再開されています。1世帯(事業者含む)あたり月1,500〜2,500円程度の軽減。
これは自動的に電気料金から差し引かれるので、申請は不要です。
③ 自治体独自の補助金
多くの市区町村が独自の省エネ補助金を出しています。LED照明や高効率空調への補助金が多く、国の補助金と併用できる場合もあります。
「自分の市区町村名+省エネ補助金」で検索してみてください。知らないだけで使える補助金がある場合が多いです。
「電気代を減らしたい」の前に「電気代を知る」
ここまで読んで「何から手をつければいいかわからない」という方へ。
まずやるべきは「毎月の電気代を記録すること」です。
| 月 | 電気代 | 売上 | 比率 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | ?円 | ?円 | ?% | |
| 2月 | ||||
| 3月 |
3ヶ月分の電気代と売上を並べて書くだけ。これで「うちは高いのか普通なのか」がわかります。
売上に対して8%を超えていたら——削る余地は確実にあります。
光熱費も「原価」の一部です。食材の原価だけ管理して光熱費を放置していたら、利益の穴が開いたまま営業しているのと同じです。
KitchenCostを使ってレシピごとの原価を正確に把握したうえで、光熱費も含めた本当の利益を見えるようにしてみてください。「忙しいのにお金が残らない」の原因が、意外なところに見つかるかもしれません。
今週やることチェックリスト
- 過去3ヶ月分の電気代の明細を確認する
- 電気代が売上の何%か計算する
- 冷蔵庫のコンデンサーフィルターを清掃する(月1の習慣化)
- 空調のフィルターを清掃する
- 営業中に点いている照明を全部チェック。不要なものを消す
- 「市区町村名+省エネ補助金」で検索する
出典・参考:
- マネーフォワード クラウド「飲食店の水道光熱費はどれくらい?平均額・経費割合・削減方法を解説」
- テンポスフードメディア「飲食店の光熱費の平均と利益を残すためにできる経費削減」
- エネチェンジ「飲食店の光熱費、とことん削るコツ大解剖!」
- ホシザキ「業務用冷蔵庫・冷凍庫の電気代は高い?電気代節約のコツを解説」
- 経済産業省「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」
- 創業手帳「2025年最新!省エネ補助金を活用して電気代・ガス代のコストを削減しよう」
- NEXYZ.「LED照明で、手軽に電気代を下げましょう!【飲食店編】」