「もう続けられないかもしれない。」
そう思ったとき、頭に浮かぶのは「閉店」の2文字だと思います。でも、閉店にもお金がかかることを知っていますか?
2025年の飲食店倒産件数は過去最多の900件超。小規模事業者が約9割を占めています。ただ、倒産した店の中には「もっと早く売却を検討していれば」というケースが少なくありません。
先に結論
- 閉店コストは100〜500万円。 原状回復・リース残債・違約金で想像以上にかかる
- M&A(売却)なら手元にお金が残る可能性がある。 赤字でも立地や設備に価値があれば買い手はつく
- 後継者不在率は50.1%。 自分だけの問題ではなく、業界全体の構造的な課題
- 判断が遅れるほど選択肢が減る。 資金が底をつく前に動くのが鉄則
閉店にかかるお金
「やめるだけ」と思いがちですが、実際にはこれだけかかります。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 原状回復工事(スケルトン戻し) | 100〜300万円 |
| 設備リース残債 | 契約による(数十万〜100万円超) |
| テナント違約金 | 家賃3〜6ヶ月分 |
| 従業員への解雇手当 | 30日分の平均賃金 × 人数 |
| 在庫廃棄・処分費 | 数万〜数十万円 |
| 手続き費用(行政届出・会計処理) | 数万円〜 |
家賃20万円の店舗で試算すると、原状回復150万+違約金60万+リース残50万+雑費20万=約280万円。営業で使い切る前に知っておくべき数字です。
3つの選択肢を整理する
1. 廃業(自主閉店)
自分で閉める方法。最も多い選択肢ですが、出ていくお金が最も多い選択肢でもあります。
- 原状回復が必要(契約次第でスケルトン戻し)
- 設備は買い取り手がいなければ廃棄
- 手元に残るお金はほぼゼロ、場合によってはマイナス
2. 居抜き売却(造作譲渡)
内装・設備をそのまま次のオーナーに引き継ぐ方法。原状回復が不要になるケースが多く、コスト面で圧倒的に有利です。
- 東京10〜30坪の相場: 50〜300万円
- 厨房設備が新しいほど高値がつきやすい
- 立地が良ければ赤字店舗でも買い手がつく
3. M&A(事業売却)
店舗だけでなく、ブランド・レシピ・顧客リスト・スタッフごと引き継ぐ方法。中堅チェーンや異業種からの参入者が買い手になるパターンが増えています。
- 評価額の目安: 純資産 + 営業利益 × 2〜5年分
- 営業利益が年300万円ある店なら、設備価値を合わせて1,000万円以上の値がつくこともある
- 主なプラットフォーム: Batonz(8,152件の飲食案件)、TRANBI、飲食店.com M&A
後継者不在という現実
帝国データバンクの2025年調査によると、中小企業の50.1%が後継者不在。飲食店オーナーの平均年齢は60.7歳で過去最高を更新し、51.7%が60歳以上です。
つまり、自分の店を誰かに引き継ぐつもりでも、その「誰か」がいない可能性が高いということです。だからこそ、M&Aという選択肢が現実的になっています。
売却を考えるタイミング
「もう無理」と追い込まれてからでは、交渉力がありません。以下のサインが出たら、情報収集だけでも始めてください。
- 3ヶ月連続で営業利益がマイナス
- 運転資金が3ヶ月分を切った
- 体力的に厳しくなってきた
- 後継者がいない
- 値上げしても利益が改善しない
売却前に準備しておくこと
買い手が最初に見るのは「数字」です。
- 直近12ヶ月の月別損益を出せるようにしておく
- メニューごとの原価率を把握しておく(これがあると評価額が上がりやすい)
- 設備リストと購入年をまとめる
- 賃貸契約書の譲渡条項を確認する(大家の承認が必要な場合が多い)
今週やること
- 閉店した場合のコストをざっくり試算する
- Batonzなどの売却プラットフォームで近隣の相場を見る
- 直近12ヶ月の月別損益を1枚にまとめる
- テナント契約書の中途解約・譲渡条項を確認する
数字を把握している店は、閉めるにしても売るにしても判断が早くなります。まず自分の店の原価と利益を見える化するところから。
メニューごとの原価・利益を自動計算して、いつでも数字が出せる状態に。KitchenCost を試してみてください。