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開業3年で7割が消える飲食店。原価管理を後回しにした店の末路

飲食業の3年以内廃業率は60〜70%。閉じた店の多くは、売上不足ではなく原価の把握不足で資金が尽きていた。開業初期にやるべき原価管理の最低ラインを整理。

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目次

飲食店を開業して3年以内に、6〜7割が廃業する。

この数字は業界では有名だ。 しかし、多くの開業者は「自分は大丈夫」と思っている。 料理には自信がある。立地も悪くない。お客さんも来ている。

それでも閉じる。

理由は、ほとんどの場合「売上がなかった」からではない。 原価を正確に把握していなかったからだ。

閉じた店に共通するパターン

元居酒屋店主がSNSで語っていた失敗談がある。

「毎日忙しくて、原価なんて計算する暇がなかった。月末に通帳を見て『あれ、増えてない』の繰り返し。気づいた時には支払いが回らなくなっていた」

これは珍しい話ではない。

開業したての店は、とにかく営業に追われる。 仕込み、接客、仕入れ、清掃——1人で全部やる店も多い。 原価計算は「落ち着いたらやろう」と後回しにされる。

しかし、飲食店が「落ち着く」日は来ない。 忙しければ後回しにされ、暇なら売上不安で手が付かない。

結果、原価を知らないまま半年、1年が過ぎる。

「感覚経営」が危険な理由

開業前に考えた価格設定を、そのまま何か月も使い続ける店は多い。

しかし、食材費は月単位で動く。 2025年の食料CPIは前年比+6.8%(総務省統計局、2026年1月23日公表)。 卵、油、乳製品、小麦——毎月のように値上げ通知が届く時代だ。

開業時に30%だった原価率が、半年後には35%になっていることは普通にある。 5ポイントのズレは、月商200万円の店なら毎月10万円の利益流出だ。

しかし「感覚経営」ではこのズレに気づけない。 なぜなら、売上は入ってきているからだ。 通帳の残高がじわじわ減っていることに気づくのは、たいてい3〜6か月後になる。

開業初期に最低限やるべき3つ

完璧な原価管理システムを作る必要はない。 開業直後でも、以下の3つだけ押さえれば致命的な失敗は防げる。

1. メニューの原価を1品ずつ積み上げる

「材料費はだいたいこのくらい」は原価計算ではない。

商品原価 = Σ(食材の単位原価 × 使用量) + 包材 + その他変動費
原価率 = 商品原価 ÷ 売価

全メニューが難しければ、まず売上の上位5品だけでいい。 その5品で全体売上の50〜70%を占めていることが多い。

2. 月の損益分岐点売上を知る

「いくら売れば赤字にならないか」を把握する。

損益分岐点売上 = 固定費 ÷ (1 - 変動費率)

固定費(家賃、保険、借入返済)と変動費率(原価率+人件費率+手数料など)を入れるだけだ。

例えば固定費150万円、変動費率60%なら:

1,500,000 ÷ (1 - 0.60) = 3,750,000円

月375万円を下回ったら赤字。 この数字を知っているか知らないかで、日々の営業判断がまったく変わる。

3. 月1回、仕入単価を見直す

仕入先からの請求書を月末にチェックする。 前月と比べて5%以上動いた食材があれば、その食材を使うメニューの原価を再計算する。

これだけで「気づいたら原価率が5ポイント上がっていた」という事態を防げる。

カフェ開業者が陥りやすい罠

カフェは特に危険だ。理由は3つある。

客単価が低い。 コーヒー1杯500円で2時間滞在されると、時間あたりの売上は250円。

原価率が低いから安心してしまう。 コーヒーの原価率は10%前後。「利益率が高い」と思いがちだが、回転が遅いので固定費の回収に時間がかかる。

開業資金が小さい分、運転資金も薄い。 赤字が3か月続くだけで資金が尽きるケースがある。

カフェこそ、開業前に損益分岐点を計算し、「1日何杯売れば赤字にならないか」を明確にしておく必要がある。

1年目を乗り切るためのチェックリスト

  • 主力メニュー5品の原価を食材から積み上げた
  • 各メニューの原価率を確認した(目標は30%以内が目安)
  • 月間の固定費を一覧にした
  • 損益分岐点売上を算出した
  • 損益分岐点から日次の目標売上・目標客数を出した
  • 月末に主要食材の棚卸しをする習慣を作った
  • 仕入単価の変動を月次でチェックする仕組みを作った

「計算する暇がない」は本当か

原価計算に何時間もかかると思っている人が多い。

しかし、上位5メニューの原価確認なら30分で終わる。 月末の簡易棚卸しも、主要食材だけなら15分だ。

月に合計1時間。

その1時間を使わなかった結果、半年後に数十万円の損失に気づく。 どちらが「暇がない」状態を悪化させるかは、明白だ。

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公的ソース(確認日: 2026-02-14)

よくある質問

飲食店の廃業率はどのくらい?

開業1年以内で約30%、3年以内で60〜70%、10年後の生存率は30%以下です。全業種で最も高い水準です。

原価管理を始めるタイミングは?

開業前のメニュー設計段階からです。「売れてから考える」では遅く、初月から赤字構造で営業していた、というケースが多発しています。

原価管理をしていなかった店はどうなった?

「忙しいのにお金が残らない」状態が続き、仕入れの支払いが遅れ始め、最終的に資金ショートで閉店するパターンが最も多く見られます。

個人経営でも原価管理はできる?

できます。全メニューを一度にやる必要はありません。売上上位5品の原価と損益分岐点さえ把握すれば、最低限の判断はできます。

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