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ピザ屋の原価計算|チーズ・生地・トッピング別の原価率と利益を出す価格設定

ピザ屋・ピッツェリアの原価を1枚単位で解説。チーズ・生地・トッピングの原価内訳、宅配ピザの収益構造、2026年の食材価格動向と利益を確保する価格設定まで。

更新 2026年2月18日
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目次

要点まとめ

  • チーズが最大の変動コスト。計量の徹底と月次の価格チェックで管理する
  • 野菜トッピングは利益の源泉。マッシュルーム・パプリカ・コーンのマークアップは8〜20倍
  • テイクアウトの利益率は宅配の約6倍。テイクアウト比率を上げる施策が最も効果的
  • デリバリーアプリ手数料は致命的。30%の手数料で利益が220円まで減る

ピザ1枚の材料費は300〜400円。販売価格が2,000円なら原価率は15〜20%——飲食業界でもトップクラスの低原価率です。

しかし、宅配ピザの場合はドライバーの人件費、バイクの燃料費、ピザ箱・包装資材、デリバリーアプリの手数料。これらを足すと、その2,000円のピザから手元に残る利益は想像以上に少なくなります。


ピザの原価構造が他の飲食店と違う理由

ピザには他の飲食メニューにない独特のコスト構造があります:

  1. チーズが原価の40〜50%を占める。 プレーンのチーズピザでは、モッツァレラだけで材料費の半分近く。チーズ価格が100円/kg上がるだけで、1枚あたりの原価が変わります。
  2. 生地はほぼタダ。 強力粉・水・イースト・塩・オリーブオイルで1枚50〜80円——材料費の中では最も安い部分です。
  3. トッピングの利益率が非常に高い。 野菜トッピングの原価は1枚あたり20〜50円なのに、追加料金は200〜400円。4〜10倍のマークアップです。
  4. 大量生産で効率が上がる。 ピザは1枚あたりの労働時間が短く、量をこなすほど人件費率が下がるビジネスです。

原価内訳:Lサイズ(直径30cm)マルゲリータ

2025〜2026年の業務用食材価格をもとに、Lサイズのマルゲリータピザ1枚の原価を計算します。

材料使用量単価1枚あたりの原価
強力粉200g約10円/100g(業務用25kg袋)20円
120ml0円
ドライイースト3g約2円/g6円
5g約0.06円/g0円
オリーブオイル10ml約2円/ml(業務用缶)20円
生地 小計46円
モッツァレラチーズ120g約1.5円/g(業務用シュレッド)180円
トマトソース80g約0.5円/g(業務用缶)40円
バジル3枚約10円/枚30円
合計(マルゲリータ)約296円

販売価格が1,800円の場合、材料費率は16.4%。非常に高い利益率ですが、これは材料費だけの話です。


ピザの種類別 原価比較

同じLサイズ(直径30cm)で、ピザの種類ごとの原価を比較します。

ピザの種類ベース原価トッピング原価合計原価販売価格例材料費率
マルゲリータ286円30円296円1,800円16.4%
チーズピザ286円0円286円1,500円19.1%
ペパロニ286円120円406円2,200円18.5%
ミートラバー(ソーセージ・ベーコン・ハム・ペパロニ)286円350円636円2,800円22.7%
野菜ピザ(パプリカ・マッシュルーム・オニオン・オリーブ)286円80円366円2,200円16.6%
テリヤキチキン286円250円536円2,500円21.4%
シーフード(エビ・イカ・ホタテ)286円400円686円3,000円22.9%
クワトロフォルマッジ(4種チーズ)286円300円586円2,800円20.9%

ポイント: チーズピザとマルゲリータは原価率が最も低い「稼ぎ頭」。シーフードやミートラバーはトッピング原価が高いが、販売単価も高いため1枚あたりの粗利額は大きくなります。


トッピング別 原価・利益率一覧

トッピングの追加原価と、追加料金のマークアップ倍率を一覧にします。

トッピング1枚あたり使用量原価追加料金(税込)マークアップ倍率
ペパロニ30g120円300円2.5倍
ソーセージ40g100円300円3.0倍
ベーコン30g130円350円2.7倍
ハム30g80円250円3.1倍
テリヤキチキン50g150円350円2.3倍
エビ40g200円400円2.0倍
マッシュルーム30g25円200円8.0倍
パプリカ30g15円200円13.3倍
オニオン30g10円200円20.0倍
ブラックオリーブ15g40円200円5.0倍
コーン20g15円200円13.3倍
ツナ30g60円250円4.2倍
アンチョビ15g80円300円3.8倍
モッツァレラ(追加)60g90円300円3.3倍
ゴルゴンゾーラ30g120円350円2.9倍

結論: 野菜トッピングは驚異的な利益率。マッシュルーム・パプリカ・コーンなどを使った「野菜ピザ」をメニューの目立つ位置に配置し、積極的に推しましょう。


日本のピザ市場と価格帯(2026年)

市場規模

日本のピザ宅配市場は約3,500億円規模(2025年、矢野経済研究所推計参考)。ドミノ・ピザ、ピザーラ、ピザハットの大手3社で市場の大部分を占めていますが、ナポリピッツァ専門店やテイクアウト専門のワンコインピザ店も急増しています。

業態別の価格帯

業態Lサイズ1枚の価格帯材料費率の目安特徴
大手チェーン(ドミノ等)1,500〜2,800円12〜18%大量仕入れの価格優位
ナポリピッツァ専門店1,600〜2,500円20〜30%高品質食材・窯焼き
テイクアウト専門(ワンコイン系)500〜1,000円25〜35%低人件費・低家賃で成立
デリバリー専門(ゴーストキッチン)1,800〜3,000円15〜22%配達手数料が上乗せ
イタリアンレストラン内1,200〜2,500円20〜30%他メニューとのセット売り

大手チェーンとの価格差

大手チェーンは大量仕入れにより、個人店とは大きな原価差があります。

コスト項目チェーン店個人店
モッツァレラチーズ(1kg)900〜1,200円1,300〜1,800円
強力粉(25kg)2,000〜2,500円2,800〜3,500円
ペパロニ(1kg)1,500〜2,000円2,500〜3,500円
ピザ箱(1枚)30〜50円50〜100円
1枚あたりの材料費180〜250円280〜450円

ドミノ・ピザが「1枚買うと2枚目無料」キャンペーンを打てるのは、この原価構造があるからです。個人店は価格で勝負するのではなく、品質・独自性・地域密着で差別化すべきです。


宅配ピザの収益構造 — なぜ2,000円超のピザが必要か

宅配ピザは材料費率が低い反面、配送コストが大きな利益圧迫要因になります。

宅配ピザ1件あたりのコスト構造

コスト項目金額(1件あたり)備考
材料費350円Lサイズ ミックスピザ
ピザ箱・包装材80円箱50円+ナプキン等30円
人件費(調理)250円1枚あたり10分@1,500円/時
人件費(配達)400円往復20分@1,200円/時
バイク燃料・保険100円1配達あたり
家賃・光熱費(配賦)200円
デリバリーアプリ手数料0〜700円UberEats等で30%の場合
合計コスト1,380〜2,080円
販売価格2,300円
利益220〜920円

自社配達(配達員を雇用)の場合は利益920円。UberEatsや出前館経由で30%手数料を支払う場合、利益は220円まで減少します。

これが宅配ピザが2,000円以上する本当の理由です。 材料費は300〜400円でも、配送と人件費を加えると、2,000円以下では利益がほとんど出ません。

テイクアウト vs 宅配 の利益比較

テイクアウト自社配達デリバリーアプリ経由
販売価格1,500円2,300円2,300円
材料費350円350円350円
配送コスト0円500円500円+手数料700円
その他コスト300円530円530円
利益850円920円220円
利益率57%40%10%

テイクアウトの利益率は宅配の約6倍。 ドミノ・ピザの「持ち帰り半額」は、配送コストを削減しつつ来店を促進する合理的な戦略です。


チーズ問題:最大の変動コスト

チーズはピザ原価の40〜50%を占めます。チーズ価格が変動すると、利益に直接影響します。

日本のモッツァレラチーズ価格動向

時期業務用シュレッドモッツァレラ(1kg)変動要因
2024年前半1,200〜1,500円国際乳製品相場の安定
2024年後半1,300〜1,600円円安進行による輸入コスト上昇
2025年1,400〜1,800円酪農飼料費の高止まり
2026年(見通し)1,500〜1,900円乳価引上げの影響継続

チーズコストを管理する方法

対策効果具体的な方法
計量の徹底1枚あたり▲20〜30円スケールで毎回計量。目分量は110〜130gにバラつく
チーズブレンド▲10〜15%モッツァレラにゴーダやプロセスチーズをブレンド
仕入れ先の複数化▲5〜10%輸入チーズと国産チーズを価格に応じて切り替え
増量オプション利益追加「チーズ増量 +200円」をメニューに設定
月次価格チェックリスク回避チーズ相場を毎月確認し、仕入れ量を調整

ワンコインピザ店の収益モデル

近年、500〜1,000円でピザを提供する「ワンコインピザ店」が増えています。なぜこの価格で成立するのか?

コスト項目ワンコインピザ店通常の宅配ピザ店
家賃(月額)10〜20万円(駅前小スペース)30〜60万円(厨房+配達拠点)
スタッフ数1〜2名(ワンオペ可能)5〜10名(調理+配達)
ピザサイズ25〜28cm(やや小さめ)30〜36cm
チーズ使用量80〜100g120〜150g
1枚あたり材料費180〜250円300〜450円
販売価格500〜1,000円1,500〜3,000円
材料費率25〜36%15〜22%
1日の販売目標80〜120枚30〜50枚

ワンコインピザ店のポイント:

  • 材料費率は高いが、人件費と家賃を極限まで抑えて成立
  • 回転率(1日の販売数)で利益を出すモデル
  • 配達なし=配送コストゼロ
  • メニューを絞る(5〜8種類)ことで食材の種類を減らし、在庫ロスを最小化

ピザ屋のコストを下げる6つの方法

1. 生地を前日仕込みで標準化する

生地のバッチ生産を徹底し、毎回同じ重量の生地玉を作ることで:

  • 生地の材料費が安定する(計量の誤差がなくなる)
  • 発酵時間が均一になり、品質が安定する
  • 作業効率が上がり、人件費/枚が下がる

2. トッピングの計量を徹底する

目分量 vs 計量で1枚あたり20〜50円の差が出ます。1日50枚で年間36〜91万円の差

目分量計量(スケール使用)
チーズ100〜150g(バラつき)120g(固定)
ペパロニ25〜40g30g
年間の差(50枚/日)基準▲36〜91万円削減

3. 野菜ピザを積極的に推す

野菜トッピングのマークアップは8〜20倍。ミートやシーフードは2〜3倍。メニュー上で野菜ピザを目立つ位置に配置し、サイドメニューとのセットにすることで、高利益率の注文を増やせます。

4. サイドメニューで客単価を上げる

ピザ単体よりも、セット販売が利益率を押し上げます。

サイドメニュー原価販売価格利益率
フライドポテト40円350円89%
シーザーサラダ80円500円84%
ソフトドリンク20円250円92%
ジェラート(1スクープ)50円350円86%
ガーリックブレッド30円350円91%

「ピザ+サイド+ドリンク」セットで100〜200円引きにしても、セット全体の利益率はピザ単体より高くなります。

5. ピーク時間帯に合わせた生産量管理

宅配・テイクアウトのピーク(金曜夜・土日の昼夜)に合わせて生地の仕込み量を最適化:

推奨仕込み量 = 過去4週の同曜日平均注文数 × 1.1(安全係数)

平日は少なめ、週末は多めの生産計画で、生地の廃棄を最小限に。

6. テイクアウト比率を上げる

宅配の利益率10〜40%に対し、テイクアウトは50〜60%。テイクアウト限定の割引(10〜20%引き)を設定しても、宅配より利益が出ます。


ピザ屋の原価計算でよくある失敗

失敗影響対策
チーズの計量をしない1枚あたり20〜50円のブレ。年間50万円以上の損失スケール必須。全スタッフに計量ルールを徹底
宅配の配送コストを原価に含めない利益が出ていると思ったら赤字だった配送人件費・バイク維持費を1件あたりで計算する
デリバリーアプリの手数料を無視30%の手数料で実質原価率が2倍にアプリ経由は20〜30%高い価格を設定する
全商品同じマークアップチーズピザとシーフードピザでは原価構造が全く違うトッピング別に原価を計算し、個別に価格設定
ピザ箱・包装材をコストに含めない1件あたり50〜100円の見落とし包装資材を諸経費または1件あたりに計上
仕入れ価格を半年以上更新しないチーズ・小麦粉の相場変動で原価率がズレる月1回の仕入れ価格チェック。チーズは毎週

ピザ屋の原価ベンチマーク(2026年 日本)

指標優良平均要改善
材料費率15〜20%21〜27%28%以上
人件費率22〜28%29〜35%36%以上
FLコスト(材料費+人件費)40〜48%49〜58%59%以上
テイクアウト比率40%以上20〜39%20%未満
廃棄率(生地)2〜3%4〜6%7%以上
1枚あたりのチーズ原価150〜180円180〜230円230円以上
営業利益率12〜18%7〜11%6%以下

原価計算アプリで管理を効率化する

ピザは種類とサイズの組み合わせで10〜30種類以上のバリエーションになります。すべてのピザの原価をExcelで管理するのは現実的ではありません。

原価計算アプリ**KitchenCost**を使えば:

  • モッツァレラ・強力粉・ペパロニなど各原材料の仕入れ価格を一括管理
  • マルゲリータ・ペパロニ・シーフードなど全商品の原価を自動計算
  • チーズの仕入れ値が上がったら、関連するすべてのピザの原価が即時更新
  • トッピングの追加・変更がワンタッチで反映
  • サイズ別(S/M/L)の原価もバッチサイズの変更で自動再計算

「先月のチーズ値上げで、うちのシーフードピザの原価率は何%になった?」——この質問に即座に答えられるのが、原価管理アプリの価値です。


まとめ

ピザは飲食業界でも屈指の高利益率ビジネス——ただし原価を1枚単位で管理できている場合に限ります

  1. チーズが最大の変動コスト。 計量の徹底と月次の価格チェックで管理する
  2. 野菜トッピングは利益の源泉。 マッシュルーム・パプリカ・コーンのマークアップは8〜20倍
  3. テイクアウトの利益率は宅配の約6倍。 テイクアウト比率を上げる施策が最も効果的
  4. デリバリーアプリ手数料は致命的。 30%の手数料で利益が220円まで減る
  5. サイドメニューで客単価を上げる。 ポテト・ドリンク・サラダの利益率は80〜90%
  6. 大手チェーンと価格で勝負しない。 品質・独自性・地域密着で差別化する
  7. 月次で原材料費をチェック、四半期で価格改定。 2026年のチーズ・小麦粉の価格変動に対応する

1枚あたりの正確な原価を把握すること——それがピザ屋の「儲かる経営」と「忙しいだけの経営」を分ける境界線です。


今すぐやること

  • チーズの使用量をスケールで計量し、1枚あたりのグラム数を固定する
  • 宅配・テイクアウト別の1件あたり利益を計算する
  • 野菜ピザをメニューの目立つ位置に配置する
  • テイクアウト限定割引を設定してテイクアウト比率を上げる

関連ガイド:

よくある質問

ピザ1枚の原価はいくらですか?

マルゲリータ(Mサイズ)の場合、生地80〜100円、トマトソース30〜40円、モッツァレラチーズ150〜200円で、合計260〜340円が目安です。チーズが原価の50%以上を占めるため、チーズの仕入れ価格と使用量が利益に直結します。

宅配ピザの原価率が低いって本当ですか?

ピザ自体の食材原価率は20〜30%と低めですが、宅配の場合は配送人件費やデリバリー手数料で実質コストが上がります。自社配達の場合はバイク・ガソリン代も含めて計算してください。

チーズの原価を抑えるにはどうすればいいですか?

業務用のシュレッドチーズをメインにし、モッツァレラは看板メニューのみに限定する方法が効果的です。チーズの使用量をg固定にするだけでも月の原価が安定します。2026年は乳製品価格が上昇傾向なので、定期的な見直しが必要です。

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