オムライスは、卵とケチャップライスとソース。材料はシンプルです。
でも「シンプルだから原価管理は楽」かというと、そうでもない。卵の個数、ライスの量、ソースの量——この3つが少しずつブレるだけで、月末に数万円の利益が消える。
デミグラスオムライス1食の原価は約320円。原価率30%で売るなら1,050〜1,100円。1食あたりの粗利は700〜780円。悪くない数字に見えますが、ここから家賃と人件費を引くと、1食のブレが30円あるだけで月の手残りが大きく変わります。
先に結論
- オムライスの原価は卵・ライス・ソースの3点で決まる。 どれかがブレると利益が消える
- 卵1個の差で月22,500円。 「ふわとろ」にしたいなら卵を増やすより生クリームを足す
- デミグラスソースは仕込み原価が重い。 1食85円、トマトソースなら50円
- サイズアップ・トッピング追加は必ず別価格に。 原価から逆算して設定する
オムライス1食の原価を分解する
例1:デミグラスオムライス(税抜1,100円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 卵(Mサイズ) | 2個 | 60円 |
| ケチャップライス | 220g | 70円 |
| 鶏もも肉 | 60g | 75円 |
| 玉ねぎ | 30g | 12円 |
| デミグラスソース | 120g | 85円 |
| バター・油・調味料 | 1食分 | 18円 |
| 合計 | 320円 |
原価率:320 ÷ 1,100 = 29.1%
粗利:780円。1日30食 × 25日で粗利585,000円/月。
例2:トマトソースオムライス(税抜950円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 卵 | 2個 | 60円 |
| ケチャップライス | 220g | 70円 |
| 鶏もも肉 | 60g | 75円 |
| 玉ねぎ | 30g | 12円 |
| トマトソース(自家製) | 100g | 50円 |
| バター・油・調味料 | 1食分 | 15円 |
| 合計 | 282円 |
原価率:282 ÷ 950 = 29.7%
トマトソースはデミグラスより35円安い。 トマト缶ベースで仕込めば、1食あたりのソース原価を大幅に下げられます。メニュー構成でデミグラスとトマトを両方置くなら、トマト系で利益を稼いでデミグラスは「看板メニュー」として位置づけるのが定石です。
利益が消える3つの原因
1. 卵の個数がブレる
オムライスの卵は2個が基準。でも「ふわとろに仕上がらなかった」と3個使うスタッフがいると、1食あたり30円増。
卵1個追加 × 30食/日 × 25日 = 22,500円/月
月22,500円。年間27万円。卵の数で調整するのではなく、テクニックで解決するのが正解です。
ふわとろに仕上げるコツ:
- 卵2個 + 生クリーム大さじ1(追加コスト約7円)
- フライパンを十分に熱してからバターを溶かす
- 箸で手早くかき混ぜて、半熟で返す
卵を1個増やす(+30円)より、生クリームを足す(+7円)ほうが安くて効果的です。
2. ライスの量が安定しない
ケチャップライスは「お皿に盛ったときの見た目」で量を調整しがちです。220gの基準が250gになると——
追加ライス30g = 約10円
30食/日 × 10円 × 25日 = 7,500円/月
米価がCPI前年比**+70.9%**まで上がった今、ライスのブレは見過ごせません。
対策:ライスカップで1食分を計量する。 炊き上がりの状態で220gを測って、そのカップを基準にする。忙しい時間帯でもブレが小さくなります。
3. ソースを多めにかけている
デミグラスソースの「ひと回し多め」は危険です。
ソース20g追加 ≒ 14円
30食/日 × 14円 × 25日 = 10,500円/月
月10,500円。ソースはレードルのサイズを固定して、「1杯=1食分」と決める。「お客さんが喜ぶから」という理由で多めにかけると、その分がまるごと利益減です。
ソースの仕込み原価を把握する
デミグラスソース(10食分バッチ)
| 材料 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 牛すじ or 端材 | 200g | 180円 |
| 玉ねぎ | 200g | 60円 |
| にんじん | 100g | 30円 |
| セロリ | 50g | 25円 |
| トマト缶 | 1缶 | 100円 |
| 赤ワイン | 100ml | 50円 |
| 小麦粉・バター(ルウ) | — | 40円 |
| 調味料・スパイス | — | 20円 |
| 合計(10食分) | 505円 |
1食あたり:505 ÷ 10 = 約50円
※ 市販のデミグラス缶を使う場合は1食65〜90円程度。自家製の方が安く、味の調整もできます。
トマトソース(10食分バッチ)
| 材料 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| トマト缶 | 2缶 | 200円 |
| 玉ねぎ | 150g | 45円 |
| にんにく | 10g | 15円 |
| オリーブオイル | 30ml | 25円 |
| 調味料 | — | 15円 |
| 合計(10食分) | 300円 |
1食あたり:300 ÷ 10 = 30円
トマトソースはデミグラスの6割の原価。メニューにトマト系を増やすと、全体の原価率が下がります。
トッピング・サイズアップの価格設計
「大盛り」「チーズ追加」を頼まれることは多いですが、必ず原価から逆算して別価格にする。
| 追加内容 | 追加原価 | 推奨追加価格 | 追加分の原価率 |
|---|---|---|---|
| 卵+1個 | 30円 | +100円 | 30% |
| ライス大盛り(+80g) | 25円 | +80円 | 31% |
| チーズ(20g) | 40円 | +130円 | 31% |
| ソース大盛り | 40円 | +80円 | 50% |
| ハンバーグ追加(100g) | 90円 | +280円 | 32% |
ソース大盛りは原価率50%。 追加価格を低く設定しがちですが、ソースは仕込みコストが高いので要注意です。
月次の利益シミュレーション
前提
- 営業日数:25日
- 1日の平均食数:30食
- 平均客単価:1,050円
月間売上 = 30食 × 1,050円 × 25日 = 787,500円
原価率29%の場合(管理が良い店):
原価 = 228,375円
粗利 = 559,125円
原価率35%の場合(卵・ライス・ソースがブレている店):
原価 = 275,625円
粗利 = 511,875円
差額 = 47,250円/月 = 年間567,000円
原価率6ポイントの差が、年間56万円の利益差。卵の個数とソースの量を固定するだけで、この差の大半は埋められます。
今週やること
- 卵の個数を「2個」に固定する(ふわとろは生クリームで対応)
- ライスをカップか秤で計量し、220gの基準を作る
- ソース用のレードルサイズを決めて「1杯=1食」にする
- デミグラスソースの仕込み原価をバッチ単位で計算する
- トッピング・サイズアップの追加価格を原価から逆算して設定する
関連ガイド
卵・ライス・ソースを登録すれば、オムライス1食の原価が自動で出ます。仕込みソースもレシピとして登録可能。KitchenCost を使ってみてください。