麻婆豆腐は「豆腐が安いから儲かるメニュー」——そう思っていませんか?
たしかに豆腐300gの原価は60円程度。安い。でも1皿の原価を分解してみると、挽き肉が120円、油が25円、調味料が35円。豆腐は全体の25%にすぎません。
利益を決めているのは豆腐ではなく、挽き肉の量と油の量です。
ここが固定できていないと、「売上は悪くないのに、なぜか残らない」状態が続きます。
先に結論
- 麻婆豆腐の原価の中心は挽き肉。 60gで120円、70gで140円。10gの差で月4万円
- 油はお玉ではなく計量で固定する。 中華料理は油の使用量が多く、ブレが大きい
- 辛味・しびれの追加は有料にする。 花椒やラー油の無料追加は見えないコスト
- 定食のセット原価率は35%以内に設計する
麻婆豆腐1皿の原価を分解する
例:麻婆豆腐・単品(税抜売価880円)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| 絹豆腐 | 300g | 60円 |
| 豚挽き肉 | 60g | 120円 |
| サラダ油+ごま油 | 25ml | 12円 |
| 豆板醤 | 10g | 12円 |
| 甜面醤 | 8g | 8円 |
| 鶏ガラスープ | 100ml | 10円 |
| 花椒・唐辛子 | 3g | 5円 |
| 長ねぎ | 10g | 4円 |
| 片栗粉 | 5g | 2円 |
| にんにく・生姜 | 5g | 5円 |
| 合計 | 238円 |
原価率:238 ÷ 880 = 27.0%
一見、良い数字です。でもこの計算は「挽き肉を毎回きっちり60gで計量している」前提です。
挽き肉の量が利益を左右する
豚挽き肉の仕入れ価格を2,000円/kgとすると:
| 挽き肉量 | 1皿原価 | 60gとの差 | 月間差額(80皿/日) |
|---|---|---|---|
| 50g | 100円 | ▲20円 | ▲40,000円 |
| 60g | 120円 | — | — |
| 70g | 140円 | +20円 | +40,000円 |
| 80g | 160円 | +40円 | +80,000円 |
10g多いだけで月に4万円。 忙しい時間帯に「ちょっと多め」に入れる癖があると、70〜80gは簡単に超えます。
対策
- 仕込み段階で60gずつ計量してラップに包む。 調理時に「袋から出すだけ」にすれば量がブレない
- 挽き肉は凍結状態で小分けする。 解凍後の計量は水分で重量が変わるため、凍結時に計量するほうが正確
- 合い挽き肉にしない。 牛豚合い挽きは豚100%より原価が30〜50%高い。味の違いが少ない場合は豚100%で十分
油のコントロール
中華料理は油の使用量が多い。麻婆豆腐は炒め油+仕上げのごま油で、1皿25〜40mlになることもあります。
| 油量 | 1皿原価 | 25mlとの差 | 月間差額(80皿/日) |
|---|---|---|---|
| 20ml | 9円 | ▲3円 | ▲6,000円 |
| 25ml | 12円 | — | — |
| 35ml | 16円 | +4円 | +8,000円 |
| 50ml | 23円 | +11円 | +22,000円 |
仕上げにラー油をかける場合、お客様の「多めで」に応じていると50mlを超えることもあります。
対策: 炒め油は計量スプーンで固定。仕上げのラー油・ごま油は小さじ(5ml)単位で。「ラー油多め」は有料トッピング(+50円)にする。
豆腐の選び方と歩留まり
| 豆腐 | 仕入れ価格(400g) | 歩留まり | 実質単価(300g使用時) |
|---|---|---|---|
| 絹豆腐 | 80円 | 95% | 63円 |
| 木綿豆腐 | 90円 | 85%(水切り後) | 79円 |
| 充填豆腐 | 70円 | 98% | 54円 |
木綿豆腐は「食感が良い」ですが、水切りで重量が15%減ります。300g使うなら350g以上仕入れる必要がある。
充填豆腐はコスパが良いですが、崩れやすい。麻婆豆腐なら崩れてもOKという判断なら最もコスト効率が高いです。
定食セットの価格設計
麻婆豆腐専門店は定食セットが主力になります。
定食の原価(例)
| 項目 | 原価 |
|---|---|
| 麻婆豆腐 | 238円 |
| ご飯(200g) | 38円 |
| 味噌汁 | 25円 |
| 小鉢(ザーサイ) | 15円 |
| 漬物 | 10円 |
| 合計 | 326円 |
税抜売価950円なら原価率34.3%。1,000円なら32.6%。
定食の原価率は35%以内を目安に。 ご飯のおかわり無料をやっている場合は、おかわり率を考慮する必要があります。おかわり率30%なら、ご飯の実質原価は38円→49円に上がります。
辛さのレベル別トッピング
辛味・しびれの追加を無料にしている店は多いですが、花椒やラー油のコストは積み重なります。
| トッピング | 追加原価 | 推奨売価 |
|---|---|---|
| 激辛(唐辛子・ラー油増量) | 15円 | +100円 |
| しびれ増し(花椒追加) | 10円 | +80円 |
| 追加挽き肉 30g | 60円 | +150円 |
| 温泉卵 | 25円 | +100円 |
辛さレベルを「普通→辛口→激辛→鬼辛」のように段階化して、辛口以上を有料にすると、辛いもの好きのお客さんは喜んで注文します。利益も守れます。
今週やること
- 挽き肉を60gずつ計量して、小分けにする仕組みを作る
- 油の量を計量スプーンで固定する(炒め油15ml+仕上げ油10ml)
- 豆腐の歩留まり(水切り前後の重量差)を実測する
- 定食の原価率を再計算する(ご飯おかわり率込み)
- 辛味トッピングを有料化する(+80〜100円)
関連ガイド
出典
具材ごとの原価を登録すれば、辛さレベル別の原価率もすぐわかります。仕入れ値が変わったら全メニューが自動更新。KitchenCost を使ってみてください。