ブログ

町中華の原価ガイド——半チャーハンセット900円、原価540円。どこを直すか

町中華の利益は炒飯・餃子・ラーメンの組み合わせで決まります。油と卵の量ブレ、スープ原価の見えにくさ、セット割引のやりすぎ——原価が崩れる3つの原因と、個人経営の町中華が使える対策をまとめました。

更新 2026年2月18日
町中華原価計算中華料理メニュー価格セット飲食店 原価
目次

町中華のカウンターに座って、壁のメニューを見上げる。

半チャーハン+ラーメンセット 900円。餃子定食 850円。レバニラ定食 800円。

この価格帯を20年近く変えていない店も少なくありません。「うちはこの値段じゃないとお客さんが来ない」——その気持ちはわかります。

でも、いま食材の仕入れ値は20年前とはまったく違う。 2025年だけで食品20,609品目が値上げされました。米のCPIは前年比+70.9%。卵も油も軒並み上がっています。

売値が変わらず、仕入れだけ上がれば、利益は静かに消えていく。

先に結論

  • 町中華の原価管理は「単品」ではなく「セット単位」で見る。 セットが主力なら、セットの原価率が店全体の利益を決める
  • 炒飯は油と卵の量ブレが最大のリスク。 油10ml多いだけで月5,000円
  • ラーメンはスープ原価を分解する。 「スープ代=鍋まるごとの原価÷杯数」で計算
  • セット割引は10〜15%が上限。 それ以上の割引は粗利を食いすぎる

町中華の原価が崩れる3つの原因

1. 油と卵の量が日によって違う

炒飯を振るとき、油の量はどうやって決めていますか? お玉でザッとすくって——そのザッが問題です。

サラダ油の仕入れ価格を1Lあたり350円とすると:

油の量1皿あたり80皿/日の月間コスト
20ml7.0円14,000円
30ml10.5円21,000円
40ml14.0円28,000円

油が10ml多いだけで月に7,000円変わる。 ラードを使っていればもっと差が出ます。

卵も同様です。Lサイズ1個25円、2個使う店なら1皿50円。「Mでも味は変わらない」のであれば、Mサイズに切り替えるだけで1個あたり5円、月に10,000円の差になります。

対策: 油はお玉ではなく計量カップで決める。卵のサイズを仕入れ段階で固定する。

2. スープの原価を分解していない

ラーメンのスープは「鍋で煮込む」ので、1杯あたりの原価が見えにくい。「まあ安いだろう」と思っていると、意外な金額になっていることがあります。

例:醤油ラーメンのスープ(20杯分バッチ)

材料原価
鶏ガラ1.5kg375円
豚骨(ゲンコツ)1kg300円
長ねぎ(青い部分)200g30円
生姜50g25円
にんにく30g20円
12L約3円
醤油ダレ400ml120円
ガス代4時間煮込み約200円
合計1,073円

20杯分で1,073円。1杯あたり約54円。 ここに麺(30〜40円)、チャーシュー(50〜80円)、メンマ・海苔・ねぎ(15〜20円)を足すと、ラーメン1杯の原価は149〜194円になります。

売価750円なら原価率20〜26%。ラーメン単品なら問題ない。でもセットにした瞬間に数字が変わります。

3. セット割引が固定で見直されない

町中華の看板メニューは、たいてい「セット」です。

ところが、このセット価格を何年も前に決めたまま見直していない店が多い。

例:半チャーハン+ラーメンセット

項目原価
ラーメン(スープ+麺+具)170円
半チャーハン(米+卵+油+具)130円
漬物・スープ小鉢20円
セット原価合計320円

単品合計:ラーメン750円 + 半チャーハン450円 = 1,200円 セット価格:900円(25%引き)

セット原価率:320 ÷ 900 = 35.6%

これだけ見れば悪くない。でも実際は——

  • 半チャーハンの量が「半」ではなく7割盛りになっている(+30円)
  • スープの原価を50円安く見積もっていた(+50円)
  • 漬物を「サービス」で山盛りにしている(+15円)

実質原価415円、原価率46.1%。10ポイント以上ズレている。

対策: 月に1回、売上上位3セットの原価率だけ再計算する。全メニューは不要。3セットだけで十分。

町中華の利益を守る3つの打ち手

打ち手① セット構成を「原価率」で設計し直す

セット原価現在の売価原価率適正売価(原価率35%)
半チャーハン+ラーメン320円900円35.6%914円
餃子6個+ライス195円700円27.9%557円(現状OK)
レバニラ+ライス+スープ280円850円32.9%800円(現状OK)

半チャーハンセットは原価率35%ぎりぎり。ここに「量ブレ」が加わると一気に赤字圏に入ります。売価を50〜100円上げるか、量を正確に固定するのが対策です。

打ち手② ランチとディナーで価格を分ける

町中華はランチタイムに客が集中します。ランチの回転が早い店なら、ランチはセット中心・ディナーは単品+ドリンクで利益率を変える設計が有効です。

  • ランチ:セット主体(原価率35〜38%でも回転で補う)
  • ディナー:ビール+単品(ドリンク原価率15%で全体を押し下げる)

打ち手③ サイドメニューで粗利を稼ぐ

町中華のサイドメニュー(小皿・惣菜)は原価率が低く、利益率が高いものが多い。

サイド原価売価原価率
冷奴25円250円10%
ザーサイ15円200円7.5%
杏仁豆腐30円280円10.7%

サイドの注文率を10%上げるだけで、全体の原価率が1〜2ポイント下がります。 壁にPOPを貼る、セットに「+100円で杏仁豆腐」を付けるだけで十分です。

今週やること

  • 売上上位3セットの原価を再計算する(量ブレも含めて)
  • 炒飯の油の量を計量カップで固定する
  • スープ原価をバッチ単位で計算し、1杯あたりに割り戻す
  • セット価格を原価率35%以内に収まるよう調整する
  • サイドメニューのPOPを1つ追加する

関連ガイド

出典


セットごとの原価率を一覧で見たいなら。単品を登録すれば、セットの原価も自動計算されます。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

炒飯とラーメン、どちらが原価が高い?

ラーメンのほうが高くなりやすいです。スープ原価が1杯80〜120円かかるうえに、チャーシューやメンマの具材費が積み上がります。炒飯は卵と油が主要コストで、1皿130〜180円に収まることが多いです。

餃子は自家製と冷凍でどちらが有利?

食材費だけなら自家製が安い(1個12〜15円 vs 冷凍18〜25円)。ただし包む工程に人件費がかかります。時給1,121円のスタッフが1時間に60個包むなら、1個あたり約19円の人件費。合計すると冷凍のほうが安くなるケースもあります。

セット価格はどう決める?

単品合計から10〜15%引きが相場ですが、必ず原価率で検算してください。半チャーハン+ラーメンセットの原価率が55%を超えていたら、量の調整か価格の見直しが必要です。

町中華で原価率が崩れやすい原因は?

油と卵の量ブレ(炒飯1皿で油10ml多いだけで月5,000円増)、スープ原価の未計算、セット割引の固定化の3つです。週に1回、上位3セットの原価率だけ確認するだけでもかなり変わります。

今すぐ原価を計算してみましょう

材料単価を入力するだけで、レシピ原価・利益率・販売価格を自動計算します。