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串カツ屋の原価ガイド:1本96円の内訳と、油・衣・キャベツが利益を食う仕組み

串カツ1本の原価を肉・衣・油・ソースに分解。豚ロース串96円、海老串86円の内訳、油の交換コスト計算、盛り合わせの値引き設計、キャベツ無料の隠れ原価を実例で解説します。

更新 2026年2月7日
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目次

串カツは「1本100円台で出せるから利益が出やすい」と言われます。

確かに、玉ねぎ串の原価は27円。売価150円で原価率18%。これだけ見れば優秀です。

ところが実際に月末の利益を見ると、思ったほど残っていない。その原因は3つあります。油の交換コスト衣の厚みブレ、そしてキャベツ無料の隠れ原価

串カツは「1本の原価」ではなく「1日の揚げコスト全体」で見ないと、利益が見えません。


まとめ

  • 豚ロース串1本の原価は約96円。油の交換コスト込みだと約130円に跳ね上がる
  • 油の真のコストは吸収量(3円/本)ではなく交換頻度(25〜33円/本)
  • 衣の厚みが2mm違うだけで1本あたり5〜8円の差。月に10,000〜15,000円
  • キャベツ無料は1人16〜25円。月間12,000〜20,000円の固定コスト
  • 盛り合わせの値引きは10%以内。野菜串を多く入れて利益を守る

豚ロース串カツ1本の原価を分解する

例:豚ロース串カツ1本(税抜300円)

項目原価
豚ロース25g70円
衣(小麦粉+卵+パン粉)12円
油吸収6g3円
ソース4円
1本3円
廃棄ロス4円
合計96円

原価率:96 ÷ 300 = 32.0%

※ 豚ロースは100gあたり281円(農水省 食品価格動向調査 2026年1月)で計算。25g × 2.81円 = 70円。

32%は串カツとしては標準的です。ただしこの数字には油の交換コストが入っていません。これを入れると話が変わります。


油のコスト:吸収量ではなく「交換コスト」で計算する

串カツ屋の原価計算で最も見落とされるのが油のコストです。

「1本あたり6g吸収 × 0.441円 = 3円」で計算して終わりにしている店が多い。でも油のコストの本体は吸収量ではなく交換頻度です。

油の交換コスト計算

18L缶(サラダ油)の価格:約7,940円
フライヤーの油量:18L(1缶分)

3日ごとに交換する場合:
7,940円 ÷ 3日 = 2,647円/日
1日の揚げ本数:80本
1本あたり油コスト = 2,647 ÷ 80 = 33円

4日ごとに交換する場合:
7,940円 ÷ 4日 = 1,985円/日
1本あたり油コスト = 1,985 ÷ 80 = 25円

交換を1日延ばすだけで1本あたり8円の差。月間80本 × 26日 × 8円 = 月16,640円

油の交換タイミングを延ばす方法

  • 揚げカスをこまめに取る:油の劣化が遅くなり、交換サイクルが0.5〜1日延びる
  • フタを閉める:使わない時にフタをするだけで酸化が遅くなる
  • 温度を180℃以下に保つ:高温ほど酸化が早い。串カツなら170〜175℃で十分
  • 差し油をする:減った分だけ新しい油を足すと劣化が緩やかになる

油コストを含めた本当の串カツ原価

項目交換3日交換4日
材料原価96円96円
油交換コスト33円25円
合計129円121円
売価300円での原価率43.0%40.3%

油交換コストを入れると原価率が32%から40〜43%に跳ね上がる。串カツの利益を正確に把握するには、この数字で管理する必要があります。


衣の厚みが原価を変える

串カツの衣は「ついていればいい」と思われがちですが、厚みで原価が変わります。

衣の重量と原価

衣の状態衣の重量原価差額
薄衣(サクッと)8g8円
標準衣12g12円+4円
厚衣(モッチリ)16g16円+8円

薄衣と厚衣で1本あたり8円の差。1日80本で640円、月に16,640円の差。

衣の厚みがブレる原因

  • バッター液の濃度が違う:粉と水の比率を目分量でやっている
  • つけ方がスタッフごとに違う:ベテランは薄く、新人は厚くなりがち
  • パン粉の種類が違う:生パン粉と乾燥パン粉で吸着量が変わる

対策:バッター液の配合を固定し(粉100g:水150ml:卵1個)、パン粉は乾燥パン粉に統一する。 新人には「つける→軽く振る→パン粉に入れる」の3ステップを教える。


串ネタ別の原価比較

串カツの強みはネタの種類で原価率をコントロールできること。高原価の肉串と低原価の野菜串を組み合わせて全体の原価率を調整します。

主要な串ネタ別の原価(油交換コスト除く)

ネタ材料量材料原価衣+油+串+ソース合計原価推奨売価原価率
豚ロース25g70円22円96円300円32%
海老1尾60円22円86円320円27%
牛ヒレ25g125円22円151円450円34%
れんこん40g12円18円33円150円22%
玉ねぎ40g8円17円27円150円18%
なす1/4本15円18円36円150円24%
ししとう2本10円14円27円120円23%
チーズ(カマンベール)20g35円18円56円250円22%
うずらの卵3個24円16円43円180円24%
もち1切れ12円16円31円150円21%

野菜串は原価率18〜24%で利益の柱です。肉串(32〜34%)を注文するたびに野菜串も頼んでもらえる導線(メニュー配置・おすすめ声かけ)が重要です。


キャベツ無料の隠れ原価

串カツといえば「ソース二度づけ禁止」と「キャベツ無料」。集客効果は高いけれど、原価に入れていない店が意外と多い。

キャベツ原価の計算

キャベツ1玉(約1kg):200〜250円(季節で変動)
1人あたり提供量:80〜100g
1人あたり原価:16〜25円

1日30人 × 20円 = 600円/日
月間:600円 × 26日 = 15,600円

年間で約19万円。小さく見えるけれど、営業利益率10%の店なら190万円分の売上に相当します。

おかわり問題

おかわり自由にすると1人あたりの平均消費量が80gから150g以上に増える場合があります。

パターン1人あたり量原価月間コスト(30人/日)
1皿のみ80g16円12,480円
おかわり1回150g30円23,400円
おかわり自由200g+40円+31,200円+

対策:

  • 初回の提供量を100gに固定し、追加は1皿100円にする
  • または「キャベツおかわり自由」を続けるなら、原価計算に1人30円で組み込む

盛り合わせの価格設計

串カツの客単価を上げる定番は盛り合わせ。ただし値引き幅を間違えると利益を大幅に削ります。

5本盛りの構成例

構成ネタ原価
1本目豚ロース96円
2本目海老86円
3本目れんこん33円
4本目玉ねぎ27円
5本目うずらの卵43円
合計285円

単品合計の売価:300+320+150+150+180 = 1,100円

値引き率盛り合わせ価格原価率粗利
0%(割引なし)1,100円25.9%815円
5%1,045円27.3%760円
10%990円28.8%705円
15%935円30.5%650円
20%880円32.4%595円

10%以内が安全圏。 15%を超えると粗利が大きく削られます。

盛り合わせで利益を守るコツ

  • 野菜串を多く入れる:5本中3本を野菜にすると合計原価が下がる
  • 原価の高い串(牛ヒレ)は盛り合わせに入れない:単品注文に誘導する
  • 見栄えで価値をつくる:盛り付けの皿、彩り、配置で「お得感」を演出する

人件費を含めたプライムコスト

串カツの原価は材料費だけでは見えません。人件費を加えた「プライムコスト」で管理します。

1食あたりの人件費計算

時給1,121円(2025年全国加重平均最低賃金)
1時間あたりの調理・提供本数:30本
1本あたり人件費 = 1,121 ÷ 30 = 約37円

プライムコスト(豚ロース串1本)

材料原価96円 + 油交換コスト25円(4日交換) + 人件費37円 = 158円
売価300円に対するプライムコスト率 = 52.7%

プライムコスト率は55〜60%以下が目標。52.7%ならギリギリ安全圏です。ただし油交換が3日に早まると161円(53.7%)になるので、油の管理が直接利益に効きます。


月次の利益シミュレーション

前提

  • 営業日数:26日
  • 1日の客数:30人
  • 1人あたり平均注文:5本
  • 平均串単価:250円(肉串3割・野菜串7割の構成)
月間売上 = 30人 × 5本 × 250円 × 26日 = 975,000円

【原価管理が良い場合(原価率28%)】
原価 = 273,000円
粗利 = 702,000円

【原価管理が甘い場合(原価率35%)】
原価 = 341,250円
粗利 = 633,750円

差額 = 68,250円/月 = 年間819,000円

原価率7ポイントの差が年間82万円の利益差。その内訳は:

  • 油の交換管理:月16,000〜20,000円
  • 衣の厚みブレ:月10,000〜15,000円
  • キャベツ無料の未計上:月12,000〜20,000円
  • 盛り合わせの値引きすぎ:月10,000〜15,000円

1つ1つは小さいけれど、積み上がると年間80万円になります。


今すぐやること

  • 豚ロースの1本あたり重量を25gに固定し、スケールで計量する
  • バッター液の配合を書き出して統一する(粉100g:水150ml:卵1個)
  • 油の交換日を記録し、1本あたりの油交換コストを計算する
  • キャベツ無料の1人あたり原価を計算し、原価に組み込む
  • 盛り合わせの値引き率を確認し、10%以内に収める
  • 揚げカスの除去と温度管理を徹底し、油の交換サイクルを1日延ばす
  • 月次で「材料原価+油交換コスト+キャベツ」の合計を確認する

関連ガイド


串1本ごとの原価と油コストを登録すれば、盛り合わせの利益が自動で見えます。仕入れ価格が変わっても原価率がリアルタイムで更新されます。KitchenCost は無料で使えます。


Sources

よくある質問

串カツ1本の原価はどれくらい?

豚ロース串(25g)で約96円、玉ねぎ串で約27円、海老串で約86円が目安です。売価280〜330円で原価率28〜32%になります。ただし衣の厚みと油の吸い込みで±10円はブレるので、週1回は衣付き重量の計測をおすすめします。

油のコストはどう計算する?

油1kgあたり441円として、串1本の油吸収量6gで約3円。ただし本当のコストは交換頻度です。18L缶(約7,940円)を3日で交換すると1日あたり2,647円。1日80本揚げるなら1本あたり油コスト33円になります。交換を4日に延ばせるだけで1本あたり25円に下がります。

キャベツ無料は原価にどう入れる?

キャベツ1玉(約1kg)が200〜250円。1人あたり80〜100gで原価16〜25円。1日30人で月間12,480〜19,500円の固定コストです。おかわり自由にすると1人あたり150g以上になることもあるので、2皿目から有料(100円)にするか、初回提供量を固定するのが安全です。

盛り合わせの値引きは何%まで?

5本盛りで5〜8%、10本盛りで最大15%が限度です。5本盛り(合計原価380円)を15%引きにすると粗利が200円以上減り、原価率35%を超えます。盛り合わせの値引きは10%以内が安全圏で、代わりに野菜串を多く入れて見栄えと利益を両立させるのが定石です。

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