キンパは「安くて映える」テイクアウトの定番。新大久保やフードコートで見かけない日はありません。
でも実際に作ると気づきます。具材が多いほど利益が減るということに。
ほうれん草、にんじん、たくあん、卵焼き、牛肉、カニカマ——1本に6種類入れると、仕込みだけで1時間。材料費も300円を超えます。680円で売って原価300円。原価率44%。これに巻き時間の人件費を足したら、利益はほとんど残りません。
キンパ1本の原価を分解して、利益が出る構造を作る方法を見ていきましょう。
先に結論
- キンパの原価は米 + 海苔 + 具材 + ごま油 + 包材の5つで構成される
- 具材が7種を超えると、材料費と仕込み時間の両方が跳ね上がる
- 巻き工程は「隠れ原価」——1本あたり20〜40円の人件費がかかっている
- プレミアム具材(プルコギ、チーズ)は別価格で管理する
- テイクアウト中心の店は、包材費を原価に含めないと利益を見誤る
キンパ1本の原価を分解する
例:基本キンパ(税抜680円で販売)
| 項目 | 量 | 原価 |
|---|---|---|
| ごはん(酢飯ではなくごま油飯) | 200g | 40円 |
| 韓国海苔(全形) | 1枚 | 25円 |
| ほうれん草(ナムル) | 30g | 15円 |
| にんじん(ナムル) | 20g | 8円 |
| たくあん | 20g | 10円 |
| 卵焼き | 1/4本分 | 25円 |
| 牛肉(味付き) | 30g | 75円 |
| ごま油・塩 | 適量 | 8円 |
| ラップ・パック | 1セット | 35円 |
| 合計 | 241円 |
原価率:241 ÷ 680 = 35.4%
※ 数字は例です。あなたの仕入れ価格に置き換えてください。
一見、原価率35%で問題なさそうに見えます。でもこの計算には巻き工程の人件費が入っていません。
見落としがちな「巻きコスト」
キンパは寿司と同じで、巻くという手作業が必要です。ここに時間がかかる。
巻き時間の人件費を計算する
経験のあるスタッフで1本1.5分。新人なら2分以上。
時給 1,200円 ÷ 60分 = 1分あたり20円
1本1.5分 × 20円 = 30円/本
さっきの原価241円に巻きコスト30円を足すと271円。原価率は39.8%。
1日50本売る店なら、巻き作業だけで月に37,500円の人件費です。
巻き効率を上げる3つの方法
- 仕込み済みの具材をバットに並べておく。 巻く直前に「何がどこにあるか探す」時間がゼロになります。
- ピーク時間帯の前に巻き置きする。 キンパは巻いてから2〜3時間は品質を保てます。ピーク前に20本ストックを作っておくと、注文から提供までの時間が短縮されて回転率も上がります。
- 巻きすの上にラップを敷いてから巻く。 海苔に直接ごはんを乗せるより崩れにくく、仕上がりも安定します。
原価が崩れる3つの原因
1. 具材が多すぎる
具材を8種、9種と増やすと、1本あたりの材料費は30〜50円上がります。加えて仕込み時間も増える。
| 具材数 | 材料費(目安) | 仕込み時間/10本分 |
|---|---|---|
| 5種 | 190〜220円 | 15分 |
| 6種 | 220〜260円 | 20分 |
| 7種 | 250〜300円 | 25分 |
| 8種以上 | 300円〜 | 30分以上 |
5〜6種に絞るのが原価管理の基本です。 味のバリエーションは具材数ではなく、「プルコギキンパ」「ツナマヨキンパ」のようにメイン具材を切り替える方が効率的です。ベースの野菜ナムル3種は共通にして、メイン具材だけを変える設計なら仕込みが集約できます。
2. 米の量が決まっていない
キンパの米は重量で決めないと、1本の太さがバラバラになります。
米200gで巻くのと250gで巻くのとでは、米の原価が10円変わる。たった10円でも、1日50本 × 25日 = 月に12,500円。
対策:炊いたごはんを200gずつ計量して丸めておく。 朝の仕込み時に全部量っておけば、巻くときは迷わずに済みます。
3. プレミアム具材と基本具材が同じ価格
牛プルコギが入ったキンパと、野菜だけのキンパを同じ680円で売っていませんか?
プルコギの原価は30gで70〜90円。カニカマなら30gで20円。その差50〜70円をメニュー価格で回収できていないと、プルコギキンパが売れるほど利益率が下がります。
対策: プレミアム具材入りは100〜200円高い別価格にする。「基本キンパ 680円 / プルコギキンパ 850円 / チーズキンパ 780円」のように、具材で価格帯を分けるのが安全です。
テイクアウト中心の店が見落とす包材費
キンパはテイクアウト比率が高い業態です。包材費を計算に入れていない店は意外と多い。
| 包材 | 1本あたり |
|---|---|
| ラップ | 3円 |
| 紙パック or プラ容器 | 20〜30円 |
| 紙袋 | 8円 |
| シール/ラベル | 3円 |
| 合計 | 34〜44円 |
テイクアウト100%の店で1日50本なら、包材だけで月42,500〜55,000円。これは原価の一部です。
価格帯を分けて利益を守る
キンパは「安い」イメージが強いので、値上げが難しい業態です。だからこそ、メニュー構成で利益率をコントロールすることが大事です。
推奨するメニュー構成
| メニュー | 主な具材 | 原価(巻き込み) | 価格 | 原価率 |
|---|---|---|---|---|
| 野菜キンパ | ナムル3種+卵+たくあん | 200円 | 580円 | 34% |
| 基本キンパ | ナムル3種+卵+牛肉 | 270円 | 680円 | 40% |
| プルコギキンパ | ナムル2種+プルコギ | 310円 | 850円 | 36% |
| チーズキンパ | ナムル2種+チーズ+ハム | 280円 | 780円 | 36% |
野菜キンパが利益率の柱です。ヘルシー志向のお客さんに訴求しつつ、原価率34%で利益を確保できます。
基本キンパは看板メニューとして出し、プレミアムラインで客単価を上げる。この3段構成が安定します。
仕込みを効率化するコツ
ナムルは一括仕込み
ほうれん草、にんじん、大根のナムルはまとめて仕込んで冷蔵保存。2〜3日は品質が持ちます。毎日少量ずつ仕込むより、週2回のまとめ仕込みの方が時間効率が良い。
卵焼きは「棒状」で焼く
キンパ用の卵焼きは丸く巻かず、四角い棒状に焼くと巻きやすく、歩留まりも良くなります。卵焼き器で一度に4〜5本分を焼いてカットするのが効率的です。
仕込み量は前日の売上から決める
「今日は50本巻く」ではなく、「先週の同じ曜日は42本だったから45本」と過去データから予測する方が廃棄を減らせます。
今週やること
- 炊いたごはんの1本分を200gで計量する仕組みにする
- 具材数を5〜6種に絞り、メイン具材の切り替えでバリエーションを出す
- 1本あたりの巻き時間を計測して、人件費を原価に加える
- プレミアム具材入りを別価格に設定する
- テイクアウト包材の原価を計算して、1本あたりの原価に含める
関連ガイド
具材ごとの原価を登録すれば、キンパ1本の原価が自動で出ます。具材を入れ替えたプレミアム版もワンクリックで計算。KitchenCost は無料で使えます。