ラーメン店の原価率、「だいたい30%くらい」で安心していませんか?
その数字、スープの歩留まりを入れていますか。
20リットル仕込んだスープのうち、実際に丼に注げるのは何リットルか。煮込みで蒸発する分、鍋底に残る分、味見で使う分——計算に入れていないロスを足すと、体感より3〜5pt高くなっていることがよくあります。
先に結論
- スープの歩留まりを入れると、原価率が3〜5pt上がる店が多い
- 「仕込み量÷提供杯数」で1杯あたりの実コストがわかる
- まず1週間だけ、仕込み量と提供杯数を記録するだけでいい
ラーメン1杯の原価構造
ラーメン1杯の原価は、大きく4つに分かれます。
| 項目 | 原価の目安(1杯800円の場合) |
|---|---|
| スープ | 80〜120円 |
| 麺 | 30〜50円 |
| チャーシュー | 40〜70円 |
| トッピング(味玉・メンマ等) | 20〜40円 |
| 合計 | 170〜280円(原価率21〜35%) |
幅が広いのは、スープとチャーシューの歩留まりが店によって大きく違うからです。
スープの歩留まりとは
歩留まりとは「仕込んだ量のうち、実際に使える量の割合」です。
歩留まり率 = 使えた量 ÷ 仕込み量 × 100
たとえば、豚骨スープを20リットル仕込んで——
- 煮込みで蒸発:3リットル
- 鍋底に残る分:1.5リットル
- 味見・調整:0.5リットル
実際に丼に注げるのは15リットル。歩留まり率75%。
1杯に350ml使うとすると、15リットルで42杯。仕込みの材料費が4,200円だったら、1杯あたりのスープ原価は100円。
ところが「20リットル÷350ml=57杯分ある」と計算していたら、1杯あたり74円になる。1杯あたり26円の差が見えていない状態です。
26円×1日42杯×26営業日=月間28,392円のズレ。年間では34万円以上になります。
チャーシューの歩留まりも見逃せない
豚バラブロック1kgを煮込むと、仕上がりは700〜800g程度。歩留まり70〜80%です。
1kg 1,200円で仕入れた場合——
歩留まり75%なら、実際に使える量は750g
1gあたり原価 = 1,200円 ÷ 750g = 1.6円
1枚30gなら = 48円
歩留まりを無視して「1,200円÷1,000g=1.2円」で計算すると、1枚あたり12円も安く見積もることになります。チャーシュー増し(3枚追加)を+100円で出していたら、原価は144円。赤字です。
2025年、仕入れ値はさらに上がっている
2025年の食品値上げは20,609品目(帝国データバンク)。豚肉、鶏ガラ、背脂、醤油——ラーメンの原材料は軒並み影響を受けています。
飲食店倒産は1,002件で過去30年最多。その88.4%が資本金1千万円未満の小規模店です。
歩留まりのズレが年間34万円。仕入れ値の上昇が重なると、もっと大きな差になります。「だいたいで計算してた」では済まない環境です。
仕込み量の最適化
歩留まりがわかると、適正な仕込み量が逆算できます。
必要仕込み量 = 想定提供杯数 × 1杯使用量 ÷ 歩留まり率
1日50杯を想定、1杯350ml、歩留まり75%なら——
50 × 350ml ÷ 0.75 = 23.3リットル → 24リットル仕込み
20リットルでは足りないし、30リットルでは余る。歩留まりを知らないと、仕込み量の判断自体が狂います。
今週やること
- スープの仕込み量と提供杯数を1週間だけ記録する
- 歩留まり率を計算する(使えた量÷仕込み量)
- チャーシューの歩留まりも1回だけ量る
- 1杯あたりの実コストを出し直す
「思ったより高い」と気づくのが、改善の第一歩です。歩留まりを知るだけで、仕込み量の最適化も値付けの判断もぐっと精度が上がります。
KitchenCostなら、食材にロス率を設定するだけで歩留まりを加味した原価が自動で出ます。1杯あたりの実コストが一目でわかります。