「生徒さんは続いているのに、 手元に利益が残りにくい。」
個人ピアノ教室では、 この悩みがよく起きます。
先に3行
- 月謝は「周りの教室がいくらか」より「1人あたり月間原価」で決める方が失敗しにくいです。
- レッスン30分だけでなく、準備・連絡・教材対応の時間を入れないと、利益がズレます。
- 値上げは一気に行わず、根拠を見せて小幅で進めると保護者の納得を得やすいです。
2026年に見直しが必要な背景(2026-02-17確認)
- 総務省統計局の2025年平均CPI(全国)では、総合指数の前年比が +3.2%。
- 厚生労働省公表では、2025年度の最低賃金全国加重平均は 1,121円(前年度比 +66円)。
- e-Stat(小売物価統計「音楽教室(ピアノ)」系列)を基にした集計では、月謝の目安は2019年平均7,596円から2025年11月8,374円へ上昇傾向です。
固定費と人件費が上がる流れなので、 据え置き期間が長い教室ほど、 実質の利益は薄くなりやすいです。
検索・コミュニティで見える悩み
Yahoo!知恵袋では、 次のような相談が実際に出ています。
- 保護者側: 「月3回で8,800円→9,900円になって負担が重い」
- 教室側: 「30分5,000円を10年据え置き。値上げしたいが言い出しにくい」
また、個人教室のブログでも、 「3年ぶりに各コース500円改定」といった告知が増えています。
つまり現場で詰まりやすいのは、 「上げるかどうか」より、 どんな根拠で、いくら上げるか です。
むずかしい言葉を先に
- 原価: レッスン提供に実際にかかる費用の合計。
- 固定費: 生徒数に関係なく毎月かかる費用(家賃、光熱費、楽器維持費など)。
- 按分(あんぶん): まとめて払う費用を、1コマごとに割って配ること。
まず使う3つの式
1コマ原価 = 講師時間コスト(レッスン+準備) + 教室維持費按分 + 教材/印刷費 + 決済/管理費
1人あたり月間原価 = 1コマ原価 × 月あたりレッスン回数
必要月謝 = 1人あたり月間原価 + 目標生徒利益
5分試算(例)
- レッスン時間: 30分
- 準備・連絡時間: 15分
- 講師時間単価: 2,000円
- 教室維持費按分(1コマ): 760円
- 教材/印刷費(1コマ): 130円
- 決済/管理費(1コマ): 210円
- 月あたりレッスン回数: 3.5回(年間42回想定)
- 目標生徒利益: 800円
- 現在月謝: 8,800円
講師時間コスト = (30分 + 15分) ÷ 60 × 2,000 = 1,500円
1コマ原価 = 1,500 + 760 + 130 + 210 = 2,600円
1人あたり月間原価 = 2,600 × 3.5 = 9,100円
必要月謝 = 9,100 + 800 = 9,900円
この場合、 現在の8,800円は 1,100円不足 です。
失敗しにくい改定順
- 直近3か月で「レッスン+準備時間」の平均を出す
- コース別に1コマ原価を出す(30分/45分を分ける)
- 改定案を2つ作る(例: +500円 / +1,100円)
- 既存生には予告期間を設け、変更理由を1枚で説明する
- 改定後は「在籍数」と「生徒1人利益」を2週間ごとに確認する
よくある失敗
- 近隣相場だけで月謝を決める
- レッスン時間以外(準備・連絡)を原価に入れない
- 値上げ後に在籍数だけ見て、利益を見ない
今日やること
- 1コマ原価を出す
- 1人あたり月間原価を出す
- 改定案を2つ作る(小幅/標準)
- 保護者向け説明文を1枚作る
- 2週間後の見直し日を決める
まとめ
ピアノ教室の月謝改定は、 感覚より、 1人あたり原価の数字で決める方が安定します。
まずは今月分だけでも、 3つの式で1回計算してみてください。