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マルシェ出店で「売れたのに赤字」になる人の原価計算、ここが抜けている

マルシェに出店して完売したのに利益が残らない。その原因は出店料・交通費・廃棄ロスを原価に入れていないことにあります。出店1回あたりの損益分岐点と、黒字にするための値付けの考え方をまとめました。

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目次

日曜日のマルシェ。朝6時から車に荷物を積んで、設営して、6時間売って、片付けて帰る。

帰宅後に売上を数える。「今日は完売した」と思ってほっとする。

でも翌日、材料費と出店料を差し引いてみると——ほとんど残っていない。

マルシェ出店者のSNSやコミュニティを見ていると、「完売=成功」だと思っている人が多い。気持ちはわかる。でも完売しても赤字になるケースは珍しくない。

先に結論

  • 「出店料が安いから大丈夫」は危険。 出店料以外に交通費・容器代・備品代で1〜2万円は上乗せ
  • 完売しても赤字になる原因は「値付けが安すぎる」こと
  • 損益分岐点は「出店経費÷1個あたりの粗利」で出せる。 出店前に必ず計算する
  • 1個あたりの総コスト=材料費+出店経費÷想定販売数。 この数字が売価の40%以上なら値付けを見直す

マルシェ出店の「本当のコスト」を全部並べる

出店料だけで計算していると、必ず足が出る。実際にかかる費用を全部書き出してみる。

コスト項目1回あたりの目安見落としやすさ
出店料3,000〜10,000円★☆☆(みんな計算する)
材料費5,000〜30,000円★☆☆(みんな計算する)
交通費(ガソリン+駐車場)1,000〜5,000円★★☆
容器・包装資材1,000〜5,000円★★☆
ディスプレイ備品(消耗分)500〜2,000円★★★
保冷剤・ドライアイス300〜1,000円★★★
仕込みの人件費(自分の時間)0円(でも本当は…)★★★
廃棄ロス材料費の5〜15%★★★
食品衛生関連(菓子製造許可等の更新按分)100〜500円★★★

「自分の時間はタダ」と思っている人が一番危ない。

前日に5時間仕込んで、当日10時間使って、最低賃金1,121円で換算すると1回のマルシェに16,815円の人件費がかかっている計算になる。

損益分岐点の出し方

出店を決める前に、必ずこの計算をやる。

■ 例:焼き菓子をマルシェで販売する場合

出店経費の合計:
  出店料        5,000円
  交通費        2,000円
  容器・包材    2,000円
  保冷材等       500円
  備品消耗分     500円
  ─────────────────
  合計        10,000円

1個あたりの材料費:120円
売価:450円
1個あたりの粗利:450円 − 120円 = 330円

損益分岐点:10,000円 ÷ 330円 = 31個

→ 31個売って初めてトントン。32個目から利益。

ここに廃棄ロスを加える。 50個仕込んで5個売れ残ったら廃棄材料費600円が上乗せ。損益分岐点は33個に上がる。

つまり50個仕込んで33個売れないと赤字。販売率66%が最低ライン。

値付けの失敗パターン

マルシェでよく見る値付けの間違いを3つ。

失敗1:「材料費×3」で値付けしている

材料費120円のクッキーを360円で売る。一見正しそうだけど——

材料費:120円
出店経費按分:10,000円÷50個=200円
─────────────────
1個あたりの総コスト:320円

売価360円 − 総コスト320円 = 粗利40円

50個全部売っても利益はたった2,000円。 15時間の労働で2,000円。

失敗2:「周りのブースに合わせて安くする」

隣のブースが300円で売っていると、自分も300円にしたくなる。

でも隣の人は趣味でやっていて利益を気にしていないかもしれない。赤字の人に価格を合わせたら、自分も赤字になるだけ。

失敗3:「たくさん作れば1個あたりのコストが下がる」

たしかに出店経費の按分は下がる。でも仕込み量が増えると——

  • 材料費の総額が増える(売れ残りリスクも増える)
  • 仕込み時間が増える
  • 運搬量が増える

100個作って30個売れ残るより、50個作って45個売り切るほうが利益は大きい。

黒字にするための値付けの考え方

結論はシンプル。「総コストの2.5〜3倍」が売価。

■ 黒字の値付け例

材料費:120円
出店経費按分(50個想定):200円
廃棄ロス按分(10%):12円
─────────────────
1個あたりの総コスト:332円

売価(総コストの2.8倍):930円 → 切りよく「900円」
粗利:900円 − 332円 = 568円

50個中45個販売 → 粗利合計25,560円

「900円は高すぎる」と思うかもしれない。でもマルシェの買い物客は**「ここでしか買えない特別なもの」に来ている**。スーパーと同じ価格帯で売る必要はない。

むしろ安すぎると「大量生産品みたい」に見えて手に取ってもらえないこともある。

3段階の価格設定

マルシェで売上を最大化するテクニック。

商品ランク売価役割
お試しサイズ300〜400円気軽に買ってもらう「入り口」
レギュラー700〜900円利益率を一番高く設定
セット・ギフト1,500〜2,500円客単価を引き上げる

レギュラーの利益率を一番高くしておく。 お客さんの6〜7割はレギュラーを選ぶ。ここで確実に利益を取る。

出店を続けるか、やめるかの判断基準

マルシェは全部が成功するわけじゃない。場所によって売上はまるで違う。

3回出店してデータを取ったら、こう判断する。

指標続ける目安やめる目安
販売率(販売数÷仕込み数)80%以上60%以下
1回あたりの利益1万円以上5,000円以下
リピーター比率20%以上ほぼゼロ
出店後のSNSフォロー増加傾向反応なし

利益が5,000円以下で3回連続なら、その場所は合っていない。 場所を変えるか、商品を変えるか、値付けを見直す。

今週やること

  • 次のマルシェの出店経費を全部書き出す。 出店料+交通費+容器代+備品代+保冷材。合計がいくらか把握する
  • 1個あたりの総コストを計算する。 材料費+出店経費÷想定販売数。この数字が売価の40%以上なら値付けを上げる
  • 損益分岐点を出す。 出店経費÷(売価−材料費)=必要販売数。この数字が仕込み数の60%以上なら、仕込み量か値付けを見直す
  • 前回の出店データを記録に残す。 販売数・仕込み数・売上・経費・利益。KitchenCostのようなアプリでレシピごとの材料費を管理しておけば、値付けの根拠がいつでも見返せる

マルシェ出店は「自分の作ったものを直接お客さんに届ける」喜びがある。でも喜びだけでは続かない。

「完売した」ではなく「いくら残った」を見る。 その習慣だけで、趣味の延長から小さなビジネスに変わる。


マルシェ出店のレシピ原価と利益を見える化するなら。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

マルシェ出店の費用はどれくらいかかりますか?

出店料は小規模マルシェで1,000〜3,000円、中規模で3,000〜5,000円、大型イベントで5,000〜15,000円が相場です。これに加えて交通費、備品レンタル、容器代、仕込み時間の人件費がかかるため、1回の出店で最低でも1〜3万円の経費を見ておく必要があります。

マルシェで何個売れば元が取れますか?

出店経費が2万円、1個あたりの粗利が300円なら、67個売って初めてトントンです。実際には廃棄ロスも出るので、80〜100個の販売を目標にするのが安全ラインです。事前に損益分岐点を計算してから出店を決めてください。

マルシェでの値付けはどう考えればいいですか?

材料費に出店経費を上乗せした「1個あたりの総コスト」を出し、その2.5〜3倍が売価の目安です。たとえば材料費120円+出店経費80円=総コスト200円なら、売価は500〜600円。安くしすぎると完売しても赤字になります。

マルシェとネット販売、どちらが利益率は高いですか?

ネット販売は出店料がない代わりに送料・梱包材・手数料(10〜15%)がかかります。単価1,000円以上の商品ならネット販売のほうが利益率は高め。500円以下ならマルシェで対面販売のほうが効率的です。両方やって比較するのがおすすめです。

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