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食材在庫管理で廃棄ロスを減らす方法

小規模飲食店のための実践的な在庫管理ガイド。先入れ先出し(FIFO)の原則から曜日別販売パターン分析まで、廃棄ロスを削減し利益を向上させる方法を解説します。

更新 2026年2月18日
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目次

要点まとめ

  • 廃棄率を10%から5%に下げるだけで年間30万円を節約できる
  • 在庫管理の3原則は先入れ先出し(FIFO)、定量発注、ABC分類
  • 高価または傷みやすいA等級食材に集中して毎日チェック
  • 曜日別販売パターンを把握して発注量を最適化する

食材在庫管理で廃棄ロスを減らす方法

「冷蔵庫からまた傷んだ食材が出てきた…」

「お客さんが集中したのに食材が切れて品切れ対応になった…」

在庫管理が適切でないと、二つの方向で損失が発生します:

  1. 余って廃棄するお金(廃棄ロス)
  2. 足りなくて売れないお金(機会損失)

この記事では、小規模店舗で実際に実践できる在庫管理方法をまとめました。


廃棄する食材はそのまま現金です

環境省の発表によると、令和5年度の日本の食品ロス発生量は約464万トン(うち事業系約231万トン)と推計されています。外食産業だけでも年間約60万トンの食品が廃棄されており、食べ残しや過剰調理が主な原因です。

例:月50万円の食材を仕入れる店の場合

廃棄率廃棄金額年間損失
5%2.5万円/月30万円/年
10%5万円/月60万円/年
15%7.5万円/月90万円/年

💡 廃棄率を10%から5%に下げるだけで、年間30万円を節約できます。

農林水産省のデータによると、国民一人当たり年間約45kgの食品が無駄にされています。1日あたり「約124g=お茶碗一杯のご飯」に相当する量です。

品切れはさらに高くつく

食材が切れてメニューを提供できないと:

その日の売上損失、お客様の不満(リピートしなくなる可能性)、店のイメージダウンを確認します。

適正在庫を維持することが重要です。


在庫管理の基本原則

原則1:先入れ先出し(FIFO)

先に仕入れた食材を先に使います。

✅ 良い例:
新しい玉ねぎ入荷 → 古い玉ねぎを手前に → 新しい玉ねぎを奥に

❌ 悪い例:
新しい玉ねぎ入荷 → そのまま上に積む → 下の玉ねぎが傷む

先入れ先出し(FIFO: First In, First Out)は、最も古い在庫を最初に使用して鮮度を確保し廃棄を最小限に抑える在庫管理方法です。消費期限の短い食材を扱う飲食店では、最も重要な原則として守るべきです。

実践方法:

新しい食材は必ず奥に配置、日付ラベルを貼る(入荷日または消費期限)、週に一度は冷蔵庫の整理を確認します。

原則2:定量発注

「だいたいこのくらい」で発注してはいけません。

例:玉ねぎの発注量計算

1日平均使用量:2kg
営業日:週6日
安全在庫:1日分

週間必要量 = 2kg × 6日 = 12kg
発注量 = 12kg + 2kg(安全在庫)= 14kg

原則3:ABC分類

すべての食材を同じように管理する必要はありません。

等級特徴管理方法
A等級高価または傷みやすい毎日チェック牛肉、海鮮、生クリーム
B等級中程度の価格/保存期間週2〜3回チェック野菜類、乳製品
C等級安価で長持ち週1回チェック調味料、乾物

A等級の食材に集中して管理しましょう。


食材別の適正在庫基準

鮮度が重要な食材(1〜3日)

食材保管期間在庫基準
魚介類1〜2日1〜2日分
肉類2〜3日2〜3日分
葉物野菜(レタス、ほうれん草)2〜3日2日分
豆腐2〜3日2日分

少量を頻繁に発注が原則

準鮮度食材(1〜2週間)

食材保管期間在庫基準
玉ねぎ/じゃがいも/にんじん1〜2週間1週間分
2週間1週間分
牛乳/生クリーム1週間3〜5日分
きのこ類3〜5日3日分

週1〜2回発注

長期保存食材(1ヶ月以上)

食材保管期間在庫基準
塩/砂糖6ヶ月以上1ヶ月分
油類3〜6ヶ月2週間分
乾麺類6ヶ月以上2週間分
冷凍肉1〜3ヶ月2週間分
缶詰1年以上1ヶ月分

月1〜2回発注(大量購入で単価削減)


在庫チェック方法

方法1:簡単なチェックリスト

毎日営業前に、重要食材5〜10品目だけを確認します。

□ 牛肉 - あり / 不足 / なし
□ 豚肉 - あり / 不足 / なし
□ 卵 - あり / 不足 / なし
□ 牛乳 - あり / 不足 / なし
□ 玉ねぎ - あり / 不足 / なし

方法2:在庫数量記録

もう少し精密に管理したい場合:

食材名単位
牛肉kg32.52543
玉ねぎkg86412108
パック21.5132.52

💡 最初は面倒ですが、1〜2週間記録するとパターンが見えてきます。

方法3:写真記録

スマートフォンで冷蔵庫の写真を撮っておくだけでも効果があります。

  • 営業開始前に1枚
  • 営業終了後に1枚

写真を比較するとどの食材が早く消費されるかが一目でわかります。


曜日別販売量を把握する

なぜ曜日で違うのか?

月曜日:週末のお出かけ後で疲れている → 外食減少
金曜日:週末の始まり → 外食増加
天気が良いと:テラス/屋外需要が増加
雨だと:デリバリー需要が増加

曜日別販売データの収集

最低4週間分のデータを集めてみましょう:

曜日1週目2週目3週目4週目平均
4542484445
5255505353
5860556259
6563686666
8590888286
95989210096

金/土の売上が高いなら → 木曜日に食材を多めに発注


消費期限管理システム

日付ラベリング

すべての食材に日付を記入します。

開封日:1/15
消費目標:1/18

色付きシールの活用:

🟢 緑:余裕あり、🟡 黄:3日以内に使用、🔴 赤:今日中に使用を確認します。

消費期限が近い食材の活用法

廃棄する前に先に消費する方法:

  1. 本日のおすすめメニューとして活用
  2. セットメニューに組み込む
  3. まかないとして活用
  4. ソース/出汁に加工する(加工で保存期間を延長)

環境省は、飲食店での食べ残しを消費者の自己責任の範囲で持ち帰る「mottECO(モッテコ)」を推進しています。お客様への持ち帰り提案も廃棄削減の一つの方法です。


在庫不足・過剰への対応法

食材が不足した時

即時対応:

近くのスーパーで少量購入(緊急)、該当メニューを一時品切れ対応、代替食材でメニューを変形を確認します。

根本対応:

安全在庫量を上方修正、発注サイクルを短縮、仕入れ先に緊急配送の可否を確認を確認します。

食材が余った時

即時対応:

本日のおすすめで押し出す、割引プロモーション、まかない/試食用に活用、加工して保存期間を延長(ソース、出汁、漬物など)を確認します。

根本対応:

  • 発注量を下方修正
  • メニュー構成を再検討(その食材を使うメニューが売れていないのでは?)

季節別在庫管理ポイント

夏季(6〜8月)

⚠️ 注意食材:

乳製品(牛乳、生クリーム、バター)、海鮮類、肉類、マヨネーズベースのソースを確認します。

✅ 対応法:

冷蔵庫の温度を1〜2度下げる、配送当日すぐに冷蔵保管、在庫回転サイクルを短縮を確認します。

冬季(12〜2月)

⚠️ 注意事項:
- 暖房で室内が乾燥 → 野菜類がしおれやすい
- 年末年始の需要急増 → 在庫不足リスク

✅ 対応法:

野菜類は密閉保管、年末対応は2週間前から在庫確保、特別シーズン(クリスマス、年末)は別途発注計画を確認します。

簡単な在庫管理の始め方

1週目:観察

何も変えずに、現状を記録するだけにします。

廃棄した食材のリストと量、不足した食材のリスト、発注した食材と量を確認します。

2週目:分析

記録を見ながら問題点を探します。

よく廃棄する食材は?、よく不足する食材は?、曜日別パターンは?を確認します。

3週目:調整

3つだけ変えてみます。

  1. 最も廃棄が多い食材の発注量を20%減らす
  2. 最も不足しやすい食材の安全在庫を増やす
  3. 日付ラベルを貼り始める

4週目以降:維持

効果を見ながら徐々に拡大していきます。


まとめ

在庫管理の3つのポイント

  1. 先入れ先出し:先に入れたものを先に使う
  2. 定量発注:感覚ではなくデータで発注
  3. ABC分類:重要な食材に集中管理

実践チェックリスト

  • 重要食材5品目を選定して毎日チェック
  • 入荷食材に日付ラベルを貼る
  • 2週間、発注量と廃棄量を記録する
  • 曜日別販売パターンを把握する
  • 月1回、廃棄率を計算する

今すぐやること

  • 重要食材5品目を選定して毎日チェックを始める
  • 入荷食材に日付ラベルを貼る習慣をつける
  • 2週間、発注量と廃棄量を記録する
  • 曜日別販売パターンを把握して発注量を調整する

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関連ガイド

参考資料

よくある質問

飲食店の廃棄ロスは売上の何%くらいですか?

一般的に仕入れの5〜10%が廃棄されています。月の仕入れが80万円の店なら、廃棄だけで月4〜8万円、年間48〜96万円が消えている計算です。1週間だけ廃棄を記録するだけでも、改善のきっかけになります。

先入れ先出し(FIFO)とは何ですか?

先に仕入れた食材から先に使う原則です。冷蔵庫の奥に古い食材が残りがちですが、新しいものを奥に、古いものを手前に配置するだけで、使い忘れによる廃棄を大幅に減らせます。

仕込み量はどう決めればいいですか?

過去4週間の同じ曜日の販売実績をもとに決めるのが基本です。金曜と月曜で同じ量を仕込んでいたら、廃棄は確実に増えます。天候や近隣イベントも考慮し、初めは少なめに仕込んで追加するほうが安全です。

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