ランチタイムが終わって、レジを締めた後——ではなく、今回はアトリエの話。
minneやCreemaで作品を販売しているハンドメイド作家さんから、こんな声をよく聞く。
「材料費は500円くらいだから、1,200円で売れば利益が出るはず」
一見、正しそうに見える。でもこの計算には「見えていないコスト」がたくさん隠れている。
そのまま続けると、売れれば売れるほど赤字になることすらある。
先に結論
- 材料費だけが原価ではない。 人件費・梱包費・手数料を含めると、本当の原価は材料費の3〜6倍になる
- 「材料費の3倍」で値段をつけると赤字になるケースが多い
- 時給換算で300円以下の作家は珍しくない
- 適正な値上げで離れるのは「価格だけで選んでいた層」
材料費だけが「原価」ではない
ハンドメイド作品の原価に含まれるものを、全部書き出してみよう。
| コスト項目 | 具体例 |
|---|---|
| 材料費 | 布、ビーズ、金具、レジン、花材… |
| 副資材 | 接着剤、糸、ワイヤー、工具の消耗分… |
| 梱包費 | 箱、緩衝材、OPP袋、台紙、サンキューカード… |
| 送料 | 配送料(出品者負担の場合) |
| 販売手数料 | minne:10.56%、Creema:11%、メルカリ:10%… |
| 人件費 | 製作時間×自分の時給 |
このなかでいちばん見落とされがちで、いちばん大きいのが「人件費」だ。
人件費を忘れると”タダ働き”になる
1つの作品に2時間かけているとする。時給を1,000円と仮定しても、人件費は2,000円。
材料費500円 + 人件費2,000円 + 梱包費200円 + 送料300円 = 原価3,000円
これを1,200円で売っていたら、1個売るたびに1,800円の赤字。
「趣味だからいい」と思うかもしれない。でも「仕事」として続けたいなら、自分の時間にも値段をつけなければ長くは続かない。
梱包費の”小さな積み重ね”
梱包にかかるコストを甘く見ている人は多い。
箱100円、緩衝材30円、OPP袋10円、台紙20円、サンキューカード15円、シール5円——合計で1個あたり180円。月に50個売れば、梱包費だけで9,000円になる。
「原価の3倍」は正しいのか?
ハンドメイド界隈でよく言われる「原価の3倍で値段をつけよう」というルール。
ひとつの目安にはなるが、材料費だけを「原価」と捉えて3倍にしても意味がない。
- 材料費500円 × 3倍 = 1,500円 → 赤字
- 製造原価3,000円 × 3倍 = 9,000円 → 利益は出るが高すぎるかも
大事なのは「○倍」ではなく、利益率をどれくらい確保するかで考えること。
ハンドメイドの場合、利益率60%以上を目標にするのがひとつの基準とされている。逆に言えば、利益率50%を切る商品は、続けるほど苦しくなる。
お客様は「原価」ではなく「価値」で選んでいる
もうひとつ大事なことがある。
お客様は、あなたの作品の原価を知らない。
お客様が見ているのは「この作品にこの値段を払う価値があるか」。原価がいくらかは関係ない。
だから原価率だけで値段を決めるのではなく、「お客様がこの作品に払ってもいいと思う金額」と「自分が利益を残せる金額」の交差点を見つけることが大切だ。
ただし、その判断をするためには、自分の作品の原価を正確に知っておく必要がある。原価がわからなければ「この値段で利益が出ているのか」すら判断できないから。
今週やること
- 人気作品1点の「本当の原価」を出す。 材料費+梱包費+送料+手数料+人件費(制作時間×時給1,000円)を全部書き出す。時給換算でいくらになっているか確認する
- 制作時間を3回だけ計る。 ストップウォッチは不要、だいたいでいい。3回の平均が出れば、人件費の計算精度が上がる
- 原価管理を仕組み化する。 Excelでもいいが、材料の仕入れ値が変わるたびに全作品を再計算するのは大変。KitchenCostのようなアプリなら、材料単価を更新するだけで全作品の原価が自動で変わるので、「今いちばん利益率が高い作品」がすぐ見える
ハンドメイドを始めた理由は、きっと「ものづくりが好きだから」だと思う。
でも利益が出ない状態が続けば、材料費を払えなくなり、好きなことを続けられなくなる。
原価を知ることは、夢を諦めないための”守り”だ。
まずは一番人気の作品1つだけでいい。「本当の原価」を出してみてほしい。
ハンドメイド作品の値付けを数字で整えるなら。KitchenCost を使ってみてください。