ゴーストキッチン(クラウドキッチン)は、席数ゼロ・デリバリー特化のビジネスです。
固定費は小さく見えますが、手数料と容器代が利益を削る構造になっています。
「売上は伸びたのに、なぜ利益が残らないのか?」
その原因は、原価計算の視点が店内営業のままだからです。
日本のデリバリー市場に合わせた原価モデル・価格設計・利益の出し方を具体的に整理します。
要点まとめ
- ゴーストキッチンの利益は手数料の設計で決まる
- Uber Eats手数料は提供形態で変動(配送代行35%、自店配達15%、お持ち帰り12%)
- 出前館「お店価格」拡大で価格上乗せが難しくなる流れ
- 原価率は30%ではなく、手数料+容器代まで含めて設計が必須
日本のオンライン注文は拡大中
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査(2025-08-26公表)」によると、2024年のBtoC-EC市場規模は26.1兆円(EC化率9.8%)。オンライン注文が当たり前になるほど、価格比較と手数料競争はより厳しくなります。
ゴーストキッチンのコスト構造(全体像)
ゴーストキッチンの損益は、以下の式で整理できます。
純利益 = 売上
- プラットフォーム手数料
- 容器・包装代
- 食材原価
- 人件費
- 家賃・水道光熱・共通費
店内営業と違い、**プラットフォーム手数料と容器代が「必須コスト」**になる点が最大の特徴です。
プラットフォーム手数料の現実(Uber Eats基準)
Uber Eatsの日本向け店舗プランは、2026年2月時点の公式ページでは以下が目安です。
| 提供形態 | 手数料(目安) | コメント |
|---|---|---|
| Uber Eats 配送代行 | 35% | 最も一般的な形態 |
| 自店配達 | 15% | 配送人員を自店で確保 |
| お持ち帰り(ピックアップ) | 12% | 配達なしの最小手数料 |
35%の手数料は、ほぼ1食分の利益を消し飛ばす水準です。
だからこそ、ゴーストキッチンは「原価30%」ではなく、
「原価 + 手数料 + 容器代」まで含めた設計が必要になります。
手数料は契約条件・地域・プロモーションで変動する可能性があります。 必ず最新の条件を確認してください。
価格上乗せが難しくなる流れ
日本では「デリバリー価格は店頭より高い」ことが一般的でした。
2026年1月30日、出前館は「お店価格(店頭価格と同額)」を1都3県中心に拡大すると発表しました(6,000店舗以上・2026年2月1日開始)。
これは、価格上乗せがやりにくくなる流れを意味します。
価格上乗せができないなら、 原価と手数料の設計で勝つしかないということです。
1,200円丼のモデルケース(仮定)
※ あくまでモデルケースです。※ 店舗の条件に合わせて調整してください。
前提
- 売価:1,200円
- Uber Eats配送代行:手数料35%
- 容器・包装代:60円(仮定)
- 原価率:30%(食材)
- 人件費率:15%
- 家賃・共通費:10%
モデルP/L
| 項目 | 金額 | 比率 |
|---|---|---|
| 売上 | 1,200円 | 100% |
| Uber Eats手数料 | -420円 | 35% |
| 容器・包装代 | -60円 | 5% |
| 食材原価 | -360円 | 30% |
| 人件費 | -180円 | 15% |
| 家賃・共通費 | -120円 | 10% |
| 純利益 | 60円 | 5% |
結論:1,200円売っても利益は60円。
これがゴーストキッチンの現実です。
黒字化のための4つの設計ポイント
1) 手数料を下げる導線を作る
- ピックアップ比率を増やす(手数料は低め、契約条件を確認)
- 自店配達を一部導入(手数料15%)
- 直接注文(LINE/自社サイト)を設計
手数料が10%下がるだけで、利益率は劇的に改善します。
2) 容器・包装代を「原価」に組み込む
容器代は見えない原価です。
- 容器を高級にすると、原価率が一気に上がる
- メニュー単価が低いほど、容器代比率が高くなる
容器代は固定費ではなく、食材原価と同じ扱いにするのが基本です。
3) メニュー設計は「回転率と歩留まり」優先
- 揚げ物や煮込みは歩留まりが安定
- 仕込みが簡単なメニューは人件費を抑えられる
- 食材の共通化で廃棄を減らす
ゴーストキッチンはオペレーション効率が利益を決める業態です。
4) 原価率は「手数料込み」で設計する
例:
- 手数料35%
- 容器代5%
- 人件費15%
- 家賃10%
この時点で固定で65%が消えるため、
食材原価は25〜30%以内に抑えないと利益が残りません。
ゴーストキッチン向けKPI
- 手数料比率(%)
- 容器代比率(%)
- 原価率(%)
- オーダーあたり利益(円)
- 直接注文比率(%)
KPIを見える化できるかどうかが、勝敗を分けます。
よくある失敗パターン
- デリバリーの売上だけを見て「順調」と判断
- 容器代を固定費として扱い、原価計算に入れない
- 手数料の高い商品だけが売れて、利益が出ない
- 価格上乗せで対応し続け、競合に負ける
今すぐやること
- 現在のプラットフォーム手数料率を確認する
- 容器・包装代を1食あたりで計算する
- 主力メニュー3品の「手数料込み原価率」を出す
- 直接注文(LINE/自社サイト)の導線を検討する
関連ガイド
ゴーストキッチンは「売上の世界」ではなく、利益の世界で勝負するビジネスです。
出典
数字を味方につけたいなら、KitchenCostで原価を見える化してみてください。
KitchenCost(無料で開始): KitchenCost