「店舗を持たなくていいから固定費が安い」「開業資金も300万円くらいで済む」「好きな場所で好きなものを売れる」
キッチンカーの開業が増え続けている。全国のキッチンカー事業者は推定10万台を超えた。
でも月商100万円を超えても「なぜかお金が残らない」と悩むオーナーは少なくない。
先に結論
- 「固定費が安い」は半分だけ本当。 出店料+容器代で店舗家賃と同等かそれ以上になる
- 月商100万円でもコスト50〜80万円。 利益は20〜50万円
- 容器代だけで月15〜30万円。 原価に含めていない人が多い
- 雨の日は売上半減。 天候リスクは店舗型にはないコスト
「固定費が安い」は半分だけ本当
たしかにキッチンカーには店舗家賃がない。内装工事もない。初期費用は飲食店の3分の1以下で済むことが多い。
でも固定費の代わりに「変動費」が重いことを、開業前に理解している人は意外と少ない。
| コスト項目 | 月額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 出店料 | 5〜20万円 | 売上の10〜20%、または固定料金 |
| ガソリン代 | 3〜5万円 | 出店場所への移動 |
| プロパンガス代 | 1〜2万円 | 調理用 |
| 仕込み場所の家賃 | 3〜8万円 | シェアキッチン等 |
| 車両の維持費 | 2〜3万円 | 保険・車検・メンテナンス |
| 容器・包材費 | 3〜5万円 | 使い捨て容器、袋、箸 |
| 食材費 | 30〜40万円 | 原価率30〜40% |
合計すると月50〜80万円のコスト。 月商100万円でも利益は20〜50万円。ここからオーナーの生活費を引く。
「店舗がないから固定費ゼロ」ではない。コストの内訳が変わるだけで、総額はそれほど変わらない。
キッチンカー特有の「見えにくいコスト」
出店料は「売上の15%」が相場
オフィス街やイベント会場への出店には出店料がかかる。売上の10〜20%が相場で、人気スポットほど高い。
月商100万円で出店料15%ならそれだけで15万円。飲食店の家賃に匹敵する。
容器代が地味に効く
店舗なら皿を洗えば済むが、キッチンカーはすべて使い捨て。
弁当容器30〜50円、カップ20〜30円、袋・箸・スプーン10〜15円。1食あたり50〜100円の容器代。
1日100食売れば容器代だけで5,000〜10,000円。月間で15〜30万円にもなる。
この容器代を原価に含めずに計算している人が意外と多い。
天候リスクの「見えない損失」
雨の日は売上が半減する。台風が来れば出店できない。
月に5日間、天候で売上が落ちたとする。1日の平均売上が5万円なら月12.5万円の機会損失。仕込み済みの食材は廃棄になる。
店舗型なら「雨でも来てくれるお客さん」がいるが、キッチンカーにはそのクッションがない。
「粉もの最強」説の裏側
「たこ焼きやクレープは原価率が低くて儲かる」という話はよく聞く。
| メニュー | 売価 | 材料原価 | 原価率 |
|---|---|---|---|
| たこ焼き8個 | 600円 | 120円 | 20% |
| クレープ | 500円 | 100円 | 20% |
| カレーライス | 800円 | 280円 | 35% |
| ロコモコ丼 | 900円 | 320円 | 36% |
たしかに粉ものの原価率は低い。でも容器代(50〜80円)、出店料(15%)、ガス代を足すと——
たこ焼きの実質コスト:120円+70円+90円+20円=300円。粗利は300円。
原価率20%のはずが、実質の利益率は50%。 材料費だけで計算すると見誤る。
今週やること
- メニューの原価を「容器込み」で再計算する。 材料費だけでなく、容器代・出店料・ガス代を含めた「1食あたりの総コスト」を把握する
- 出店場所ごとの売上と利益を記録する。 「あのイベントは売れたけど出店料が高かった」「あのオフィス街は安定して利益が出る」が見えれば、出店先を選別できる
- メニューを3〜5品に絞れないか検討する。 品数を減らすと仕込みの手間が減り、食材の種類が減り、ロスが減る。KitchenCostのようなアプリでレシピと材料費を管理しておけば、仕入れ値が変わったときに全メニューの原価が自動更新される
キッチンカーは「自由な働き方」として魅力的だ。でも、自由には自由のコストがかかる。
「売れたのに残らない」を避けるには、売上ではなく「1食あたりいくら残るか」を見ること。その数字を握っていれば、キッチンカーという働き方は十分に成り立つ。
キッチンカーの出店別収益と原価を見える化するなら。KitchenCost を使ってみてください。