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キッチンカーの原価計算 - 店舗型飲食店との違いを理解する

キッチンカー開業を検討中、または運営中の方向け。出店料、車両維持費、減価償却など、見落としがちなコストまで含めた計算方法を解説します。

更新 2026年2月18日
キッチンカー原価計算開業費用移動販売出店料
目次

要点まとめ

  • 家賃がない代わりに**出店料(5〜15%)+車両維持費(5〜10%)**が発生する
  • 減価償却を必ず計算に入れる。5年後の車両更新に月4〜5万円の積立が必要
  • 天候・季節で売上が大きく変動するため原価率30%以下を目標に設定
  • 損益分岐点を把握して1日の最低目標売上を明確にする

キッチンカーの原価計算 - 店舗型飲食店と何が違う?

「家賃がかからないなんて、いいビジネスだ!」

キッチンカーに対して、こう思う方は多いでしょう。しかし、キッチンカーにも見えにくいコストがしっかり存在します。家賃の代わりに出店料や車両維持費がかかり、売上の変動も店舗型より大きいのが現実です。


キッチンカー vs 店舗型飲食店:コスト構造の比較

店舗型飲食店

項目売上比率
原材料費28〜35%
人件費25〜30%
家賃10〜15%
光熱費3〜5%
その他5〜10%
純利益3〜10%

キッチンカー

項目売上比率
原材料費25〜35%
人件費15〜25%(通常1〜2名体制)
家賃0%
出店料5〜15%
車両維持費5〜10%
光熱費2〜3%
その他5〜10%
純利益6〜15%

主な違い:

  • 家賃がない代わりに出店料+車両費が発生
  • 人件費率は低いが、オーナーの体力的負担が大きい
  • 純利益率は店舗型(3〜5%)より高くなる可能性があるが、売上変動が激しい

日本のキッチンカー業界では、年間売上900万円超・利益400万円程度を目指せるとされています(メニューや出店場所による)。


キッチンカー特有のコスト

1. 出店料

キッチンカーはどこでも営業できるわけではありません。ほとんどの場所で許可と費用が必要です。

出店場所別の費用目安(2025年):

場所タイプ出店料特徴
公園・広場(自治体)無料〜1日5,000円許可申請必要、競争激しい
大学キャンパス1日3,000〜10,000円昼食時のみ、長期休暇は営業不可
オフィス街1日5,000〜15,000円平日安定した売上
イベント・フェス1日10,000〜50,000円+売上高いがコストも高い
ケータリング交渉次第出張費別途請求可

月間出店料の例:

  • オフィス街(平日のみ):1日1万円 × 22日 = 22万円
  • 大学キャンパス:1日5,000円 × 20日 = 10万円

2. 車両維持費

キッチンカーの「見えない家賃」と言えます。

項目月額費用備考
ガソリン代3〜6万円移動距離により変動
保険料1〜2万円営業車両保険
定期点検0.5〜1万円月平均換算
プロパンガス1〜2万円調理用
駐車場代1〜3万円夜間・休日の保管
洗車・清掃0.3〜0.5万円
合計7〜15万円

店舗の家賃が月15万円なら、キッチンカーの「車両+出店費用」も同等かそれ以上になることがあります。

3. 初期投資と減価償却

キッチンカーは初期投資が大きいです。2025年現在、日本でのキッチンカー開業費用は200万〜600万円が目安です。

項目金額耐用年数月額減価償却
車両購入・改造150〜400万円5年2.5〜6.7万円
厨房設備30〜100万円5年0.5〜1.7万円
外装・看板20〜50万円3年0.6〜1.4万円
合計200〜550万円3.6〜9.8万円

減価償却は必ず計算に入れてください。

5年後に車両を更新するなら、毎月少なくとも4〜5万円は積み立てが必要です。これを無視すると、実際の利益を過大評価してしまいます。


キッチンカー原価計算:実例

状況設定:たこ焼きキッチンカー

**メニュー:たこ焼きセット(8個+ドリンク)**販売価格:800円

ステップ1:原材料費の計算

材料使用量単価原価
たこ焼き粉50g1円/g50円
タコ40g4円/g160円
ネギ10g1円/g10円
紅生姜5g2円/g10円
天かす10g0.5円/g5円
ソース・マヨ20g1円/g20円
青のり・かつお節5g3円/g15円
ペットボトル飲料1本80円80円
合計350円

原材料原価率:350円 ÷ 800円 = 44% → 高すぎる

ステップ1.5:価格調整の検討

原価率44%は高いため、以下の調整を検討:

  • 販売価格を900円に上げる → 原価率39%
  • ドリンクなしの単品(600円)をメインに → 原価率45%

ここでは900円のセットで再計算します。

調整後原価率:350円 ÷ 900円 = 39%

ステップ2:包装資材費の計算

キッチンカーはほぼすべてテイクアウトです。この費用を見落としてはいけません。

項目単価
舟皿25円
ピック3円
紙ナプキン2円
レジ袋10円
合計40円

ステップ3:1食あたりの総原価

原材料費:350円
包装資材:40円
────────────
1食あたり原価:390円
原価率:43%(900円販売時)

ステップ4:1日の損益計算

前提条件:

  • 1日販売数:80セット
  • 出店料:8,000円
  • ガソリン代:2,000円(1日平均)
  • ガス代:500円(1日平均)
  • その他:500円
売上:900円 × 80 = 72,000円

経費:
- 原材料費:350円 × 80 = 28,000円
- 包装資材:40円 × 80 = 3,200円
- 出店料:8,000円
- ガソリン代:2,000円
- ガス代:500円
- その他:500円
────────────────────────
経費合計:42,200円

1日の利益:72,000 - 42,200 = 29,800円

ステップ5:月間損益(現実的な計算)

営業日:22日
月間営業利益:29,800円 × 22日 = 655,600円

固定費控除:
- 車両保険:-15,000円
- 定期点検積立:-8,000円
- 駐車場代:-20,000円
- 減価償却:-50,000円(車両300万円÷60ヶ月)
────────────────────────
実際の月収:約56万円

重要: これは1人運営、毎日同じ売上が続く前提です。雨天による営業中止、イベントキャンセル、閑散期などで実際の収入は変動します。


キッチンカーの推奨原価率

メニュータイプ別

メニュータイプ推奨原価率理由
コーヒー・ドリンク15〜25%原価低く回転率高い
デザート・スナック20〜28%少量販売、利益重視
軽食(焼きそば等)25〜30%単価低いため原価管理必須
肉料理28〜32%原価高いが客単価も高い
海鮮30〜35%鮮度リスク含む

キッチンカーの現実

店舗型飲食店:原価率35%でも成立
キッチンカー:原価率35%はリスクあり

理由:

  • 天候・季節で売上が大きく変動
  • 出店キャンセルの日は売上ゼロ
  • 車両故障で営業不可に
  • 閑散期の売上激減

原価率は30%以下を目標に設定しましょう。


損益分岐点の計算

固定費の把握

項目月額費用
出店料15万円(1日7,500円×20日)
車両維持費10万円
減価償却5万円
保険1.5万円
その他1.5万円
合計33万円

変動費率の把握

原材料費:39%
包装資材:4%
キャッシュレス手数料:3%
────────────
変動費率:46%

損益分岐売上の計算

損益分岐売上 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
           = 33万円 ÷(1 − 0.46)
           = 33万円 ÷ 0.54
           = 約61万円

月61万円以上売らないと赤字です。

1日あたり:61万円 ÷ 20日 = 約3万円/日


コスト削減の戦略

1. メニューをシンプルに

キッチンカーはスペースが限られています。メニューが多いと在庫管理が難しく、廃棄ロスも増えます。

推奨:メインメニュー3〜5品

2. 共通食材の活用

複数のメニューで同じ食材を使えば、在庫回転が速くなり廃棄が減ります。

例:ネギ → たこ焼き、焼きそば、お好み焼きすべてに使用
例:ソース → 全メニュー共通

3. 仕込みの最大化

車内でできる調理には限界があります。できる限り事前に準備しましょう。

✓ 事前準備:
- 生地の調合
- 具材のカット
- ソースの調合
- 食材の小分け

✓ 車内調理:
- 焼く、盛り付け、仕上げのみ

4. 出店戦略の最適化

すべての出店場所が同じ収益性ではありません。

判断基準良い出店場所
人通りピーク時500人以上
競合同じメニューのキッチンカーなし
出店料予想売上の10%以下
アクセス車両の出入りが容易
リピート定期出店可能

5. 天候リスクの管理

雨天や猛暑・厳寒時は売上が激減します。

対策:

  • 屋内イベントを優先的に確保
  • 天候に左右されにくい食材でメニュー構成
  • 季節対応(夏:冷たいメニュー、冬:温かいメニュー)

関連ガイド

まとめ:キッチンカー原価計算チェックリスト

原価計算の公式

純利益 = 売上
       − 原材料費(25〜35%)
       − 包装資材費(3〜5%)
       − 出店料(5〜15%)
       − 車両維持費(5〜10%)
       − 人件費(該当する場合)
       − 減価償却(必ず含める!)

重要ポイント

  1. 家賃の代わりに出店料+車両費が発生
  2. 減価償却を必ず計算に入れる—いずれ車両更新が必要
  3. 原価率30%以下を目標—売上変動リスクへの備え
  4. メニューをシンプルにして在庫管理を効率化
  5. 損益分岐点を把握—1日の最低目標売上を明確に

店舗型飲食店との違いまとめ

項目店舗型キッチンカー
家賃あり(固定)なし
出店料なしあり(変動)
車両費なしあり(固定)
売上安定性比較的安定変動大(天候影響)
推奨原価率30〜35%25〜30%
平均純利益率3〜5%6〜10%

今すぐやること

  • 月間の出店料と車両維持費を合計する
  • 車両の減価償却費を月額で計算する
  • 損益分岐売上を計算する(固定費 ÷(1 − 変動費率))
  • 1日の最低目標売上を設定する

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参考資料

よくある質問

キッチンカーの原価率は何%が目安ですか?

食材だけなら30%以下が目標ですが、出店料(1日3,000〜5,000円、イベントなら2〜10万円)やガソリン・発電機代、容器代を含めると実質40〜50%になることが多いです。食材費だけで『原価率30%だから大丈夫』と計算していると、月末に数字が合いません。

出店料はどう原価に入れるべきですか?

1日の出店料を想定客数で割って、1食あたりに配賦します。出店料5,000円で50食なら1食100円。ただし想定より売れない日もあるので、目標の7〜8割で計算するのが安全です。

キッチンカーで売れ残りを減らすには?

仕込み量は前回の実績ベースで決め、初めての出店場所なら想定の7割で仕込むのが安全。営業後半はメニューを2品に絞り、ラスト1時間は人気メニューだけにすると廃棄が減ります。

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