2025年、飲食店の倒産は1,002件。過去30年で最多、初の1,000件超えだった。
しかも倒産の88.4%が資本金1千万円未満の小規模店。近所の個人経営の居酒屋やカフェが、静かに看板を下ろしている。
原因はシンプルで、仕入れ値が上がっているのに、売値を上げられていないからだ。
先に結論
- メニュー構成を変えるだけで原価率は下がる。 ドリンク比率5%アップ → 年間約20万円の粗利増
- 仕入れ上位3品目の相見積もりで月に数万円変わることもある
- 「キロ単価」ではなく「使える1gあたり単価」で仕入れを判断する
- 廃棄率を1%下げるだけで年間数十万円の改善
- 値上げは最後の手段ではなく、最初の選択肢
打ち手① メニュー構成で原価率をコントロールする
全メニューの値上げは難しくても、原価率の低い商品の注文比率を上げることはできる。
居酒屋ならドリンクの原価率はフードに比べてかなり低い。フードで原価率35%、ドリンクで15%だとすると、ドリンク比率を5%上げるだけで店全体の原価率は約1ポイント下がる。
年商2,000万円の店なら、1ポイントの改善で年間20万円の粗利増だ。
「おすすめドリンク」のPOPを出す、セットメニューにドリンクを含める——やれることは小さいが、積み重ねの効果は大きい。
打ち手② 仕入れ先を見直す
「ずっと同じ業者さんにお世話になっているから…」という気持ちはわかる。でも業務用食材の価格は仕入れルートによって大きく変わる。
- 生産者からの直接仕入れ:流通マージンを省いて10%程度の価格低下が見込める
- 業務用卸売業者の複数比較:同じ食材でも業者によって5〜15%の価格差がある
- 共同仕入れ:近隣の店舗とまとめ買いすることで単価が下がる
全食材を一気に変える必要はない。まず仕入れ金額の上位3品目だけ、別の仕入れ先に見積もりを取ってみる。それだけで月に数万円変わることもある。
打ち手③ 歩留まりの高い食材を選ぶ
「安い食材を仕入れたけど、使える部分が少なかった」——こんな経験はないだろうか。
単価が安くても歩留まり(使える量の割合)が悪ければ、1食あたりの実質原価はむしろ高くなる。
たとえば、丸ごとの魚とフィレの比較。丸ごとのほうがキロ単価は安いが、使える部分が60%だとすると実質単価は1.67倍。フィレなら歩留まり95%以上。
「キロ単価」ではなく「使える1gあたりの単価」で比べる。 この視点を持つだけで、仕入れの判断基準が変わる。
打ち手④ 廃棄を”数字で”見る
飲食店のフードロスは、売上の**3〜8%**を占めるとされている。
年商1,500万円の店で5%のロスなら、年間75万円が捨てられている。 これは利益に直結するコストだ。
効果的なのは、とにかく1週間だけ記録をつけること。
- 何を、どれだけ捨てたか
- なぜ捨てることになったか(作りすぎ?賞味期限?仕込みミス?)
記録を始めた店のオーナーからは「記録するだけで廃棄が減った」という声が多い。意識が変わるからだ。
廃棄率を1%下げるだけでも、年間で数十万円のコスト改善になる。
打ち手⑤ 原価の”今”を常に見えるようにする
仕入れ価格は毎月のように変わる。先月まで500円/kgだった食用油が今月560円——そんなことが日常的に起きている。
月末にレシートをまとめて集計しても、「あの時点でどのメニューが赤字だったか」は見えない。
必要なのは、原価を”リアルタイム”で把握する仕組みだ。
Excelで管理している店も多いが、食材価格の更新や新メニュー追加のたびに手入力するのは現実的に厳しい。忙しい日が続くとすぐ止まる。
KitchenCostのようなアプリを使えば、仕入れ価格を更新した瞬間に全メニューの原価率が自動で変わる。「今日いちばん利益の出ているメニューはどれか」「どの食材の値上がりがいちばん効いているか」がスマホで見えるだけで、毎日の仕入れ判断が変わってくる。
値上げは「最後の手段」ではない
5つの打ち手を紹介してきたが、最後にひとつだけ伝えたいことがある。
値上げを怖がりすぎないでほしい。
お客様は、思っている以上に食材の値上がりを知っている。スーパーでも値上げは毎日のように起きているからだ。
「材料費が高騰しているため、一部メニューの価格を改定いたします」——この一文をメニュー表やSNSに添えるだけで、ほとんどのお客様は理解してくれる。
飲食業の価格転嫁率(値上がり分を売値に反映できた割合)は32.3%で、全業種平均の39.4%を下回っている。つまり飲食店は他の業界よりもコスト増を自腹で吸収している。
無理に吸収し続けて体力が尽きるより、適正な価格で長く続けるほうが、お客様にとっても幸せなはずだ。
まずは”今の原価”を正確に知ること。すべてはそこから始まる。
食材高騰下でも利益を守る判断を早くするなら。KitchenCost を使ってみてください。