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食材が上がり続ける時代に、利益を守る店がやっていること

2025年の食料CPIは前年比+6.8%。仕入値は上がるが値上げは怖い。そんな状況で利益を維持している飲食店が実践している、5つの具体的な対策を取材した。

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目次

鶏肉が上がった。油が上がった。小麦が上がった。 卵はようやく落ち着いたと思ったら、また上がり始めた。

総務省統計局が2026年1月23日に公表した2025年平均CPIでは、食料は前年比**+6.8%**。 3年連続で食材費の上昇が続いている。

一方で、中小企業庁の調査(2025年9月公表)によると、飲食業の価格転嫁率は53.5%。 コスト上昇のうち半分しか価格に反映できていない。

つまり、多くの店が値上げしたくてもしきれない状態にある。

それでも利益を維持している店はある。 その店がやっていることは、特別な技術ではない。

対策1: 上位メニューの原価を毎月更新する

利益を守っている店は、全メニューの原価管理はしていない。 売上上位10品だけを、毎月再計算している。

必要売価 = (食材原価 + 包材 + 決済手数料) ÷ 目標原価率

上位10品で全体売上の60〜80%を占めるのが一般的だ。 ここだけ正確に把握すれば、全体の収益構造はほぼ見える。

毎月やる理由は単純で、食材単価が月単位で動くからだ。 「前回計算したのは3か月前」では、実態とのズレが大きくなりすぎる。

対策2: 歩留まりを見直して「隠れた無駄」を減らす

値上げする前に、同じ食材からもう少し多く使えないかを考える。

例えば大根。 皮をむいて捨てていた店が、皮をきんぴらに使い始めたら仕入量が8%減った。

鶏もも肉の脂身をトリミングして捨てていた店が、 鶏油(チーユ)として炒め物に使ったら、サラダ油の仕入れが月2万円減った。

歩留まり改善は「節約」ではなく「仕入れの最適化」だ。 品質を下げずにコストを下げられる、数少ない方法でもある。

食材ごとの歩留まり率を記録していれば、どこに改善余地があるか見える。

歩留まり率 = 可食量 ÷ 仕入量
単位原価 = 仕入金額 ÷ 可食量

対策3: ポーション(盛り付け量)をg単位で固定する

「スプーン1杯」は計量ではない。

あるラーメン店で、チャーシューの枚数は同じでも厚みが担当者によって違い、 月間で原価率が1.2ポイント動いていた。 年間にすると30万円以上の差だった。

対策は2つ。

  1. 主要食材の使用量をgで決め、一覧表にして厨房に貼る
  2. 週に1回、実際の提供重量を抜き打ちで計測する

完璧にやる必要はない。 売上上位のメニューだけ、主要食材だけでいい。

対策4: メニュー構成で利益率を操作する

全メニューを同じ原価率にする必要はない。

利益を守っている店は、メニューの役割を3つに分けている。

役割原価率目的
集客メニュー35〜40%来店動機を作る(看板商品)
利益メニュー15〜25%粗利を稼ぐ(ドリンク、サイド)
バランスメニュー28〜32%客単価を安定させる

食材費が上がったとき、集客メニューの価格を無理に維持しながら、 利益メニューの注文率を上げるオペレーションに変える。

例えば、セット提案の強化。 「単品800円+ドリンク300円」ではなく「セット1,000円」にすると、 ドリンク(原価率15%)が自動的に含まれ、平均原価率が下がる。

これはメニューエンジニアリングと呼ばれる手法で、 値上げなしで平均粗利を改善できる。

対策5: 仕入先を3か月に1回比較する

同じ食材でも、仕入先によって価格は違う。

「付き合いが長いから」と同じ業者を使い続けている店は多い。 しかし3か月に1回、主要5品目だけでも相見積もりを取ると、 年間で10〜30万円のコスト差が見つかることがある。

比較のポイント:

  • 単価だけでなく、最低ロット(最小発注量)
  • 配送頻度と配送無料のライン
  • 品質のばらつき(歩留まりに影響する)
  • 支払い条件(月末締め翌月払いか、即日払いか)

安いだけで選ぶと品質が落ちて廃棄が増える。 「単位原価 × 歩留まり率」で比較するのが正しい方法だ。

値上げは「最後の手段」ではなく「5つ目の対策」

値上げを避けること自体が目的になると、利益は確実に削れる。

上の4つの対策を試した上で、それでも原価率が目標から3ポイント以上ずれている商品は、 価格改定の対象にする。

値上げの実務ポイント:

  • 一律改定ではなく、原価率のズレが大きい商品から段階的に
  • 適用日をPOS・店頭・デリバリーで統一する
  • 告知は短くていい:「品質維持のため、○月○日より一部価格を改定いたします」

今月やること

  • 売上上位10品の原価を最新の仕入単価で再計算する
  • 歩留まり率が未設定の食材を洗い出す
  • 主要食材の使用量をg単位の一覧表にする
  • メニューを「集客」「利益」「バランス」に分類する
  • 主要5食材の仕入先を1社以上比較する

関連ガイド

原価の変動を見逃さない仕組み

KitchenCostは、食材単価を更新するだけで、関連する全メニューの原価率と必要売価が再計算されます。 「どのメニューが目標原価率から外れているか」が一画面で確認でき、対策の優先順位を判断しやすくなります。

詳しくは KitchenCost をご覧ください。

公的ソース(確認日: 2026-02-14)

よくある質問

値上げ以外に利益を守る方法はある?

あります。歩留まり改善、ポーション管理、メニュー構成の見直し、仕入先の定期比較などが実務では効果的です。値上げは最後の手段ではなく、他の対策と並行して判断します。

食材費が上がったらすぐに値上げすべき?

一律の即値上げは避けた方が安全です。まず上位メニューの原価率を再計算し、目標から3ポイント以上ずれた商品だけを対象にします。

値上げするとお客さんは離れる?

中小企業庁の調査では価格転嫁率は53.5%で、全額転嫁できていない現実があります。ただし、少額の段階的値上げは、一度の大幅値上げより客離れが少ないという実務報告が多いです。

仕入先の見直しはどうやる?

3か月に1回、主要食材5品目の相見積もりを取ります。価格だけでなく最低ロットや配送条件も含めて比較すると、実質コストの差が見えます。

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