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FLコストとは:55〜65%の目安と、超えたときに最初にやること

FLコスト(食材費+人件費)の計算式と業態別の適正比率を早見表で整理。最低賃金1,121円・食品値上げ20,609品目の2026年環境で、FL比率65%を超えた店が最初にやるべき立て直し手順を解説。

更新 2026年3月27日
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目次

「売上は悪くないのに、なぜか手元に残らない」

この状態が続いているなら、まず見るべき数字はFLコストです。

早見表:業態別FL比率の目安

業態F(食材費率)L(人件費率)FL比率目安
カフェ25〜30%25〜30%50〜55%
ラーメン店30〜35%20〜25%50〜55%
パン屋25〜30%25〜30%50〜55%
居酒屋28〜35%25〜30%55〜60%
焼肉店35〜40%20〜25%55〜60%
定食屋30〜35%25〜30%55〜63%
寿司屋40〜48%20〜25%60〜65%
高級レストラン30〜38%28〜35%60〜68%

自分の業態の目安より5pt以上高ければ、すぐ見直しが必要です。


FLコストとは

FLコストは、飲食店の支出で最も大きな2つ——食材費(Food)と人件費(Labor)——を合わせた金額です。

FL比率(%)=(食材費 + 人件費)÷ 売上高 × 100

英語では**プライムコスト(Prime Cost)**と呼ばれます。中身は同じです。

なぜこの2つだけ合わせて見るかというと、飲食店のコストの約6割がこの2項目に集中するから。家賃は固定で動かせない。光熱費も限界がある。利益を左右するのは、結局FとLなんですよね。


計算例:FL比率60%と65%で利益はこれだけ変わる

月商200万円の居酒屋で比較します。

FL比率60%の場合

項目金額売上比
売上高200万円100%
食材費(F)64万円32%
人件費(L)56万円28%
FLコスト120万円60%
家賃20万円10%
光熱費10万円5%
その他経費15万円7.5%
営業利益35万円17.5%

FL比率65%になると

項目FL 60%FL 65%
FLコスト120万円130万円+10万円
その他経費45万円45万円±0
営業利益35万円25万円-10万円

5ポイントの悪化で、月の利益が10万円減る。 年間120万円の差です。

ここから税金や借入返済を引くと、手元に残るのは10万円台かもしれない。FL比率が65%を超え続けると、売上はあるのに生活が苦しい——という状態になります。


2026年、FとLが同時に上がっている

FLコストが厄介なのは、今まさにFもLも同時に上がっていること。

F(食材費)の状況

  • 2025年の食品値上げは20,609品目(帝国データバンク、2025-11-28公表)
  • 前年比**+64.6%**の品目数
  • コメの相対取引価格は27,649円/60kg、前年同月比**+101.8%**(農林水産省、2025-06-17公表)

L(人件費)の状況

  • 全国加重平均の最低賃金は1,121円(前年1,055円、+66円)(厚生労働省、2025-09-05公表)
  • 飲食店の正規職員の人手不足率は65.3%(帝国データバンク、2025-06-11公表)
  • 「時給を上げないと人が来ない」状況が常態化

転嫁できているのか?

  • 全業種の価格転嫁率は53.5%(経済産業省、2025-11-28公表)
  • 飲食業界は32.3%(帝国データバンク、2026-01-13公表)

コスト増の7割近くを自腹で吸収している計算です。2025年の飲食店倒産は900件(帝国データバンク、2026-01-13公表)。売上が悪いわけじゃない。コストを吸収しきれなくなった店が増えているんですよね。


FとLのバランスは業態で全然違う

先ほどの早見表で気づいたかもしれませんが、FとLは反比例しやすいです。

  • 食材費が高い業態(寿司、焼肉)→ オペレーションを効率化してLを抑える
  • 食材費が安い業態(カフェ、パン屋)→ 接客や仕込みに人手がかかるのでLが高くなる

だから「FL比率が何%なら大丈夫」と一律には言えません。自分の業態の目安と比較して、「どちらがはみ出しているか」を見るのが正しい使い方です。


FL比率が65%を超えたら:5つの立て直し手順

手順1:FとLに分解する

F率 = 食材費 ÷ 売上 × 100
L率 = 人件費 ÷ 売上 × 100
ケースF率L率FL比率重い方
A店35%28%63%食材費
B店28%37%65%人件費
C店33%33%66%両方

同じ65%前後でも原因が違います。分解しないと的外れな対策を打ってしまう。

手順2:F(食材費)が重い場合

  1. 売上上位5品の原価率を出す — 上位品がFL比率を決めている
  2. 原価率が高いのに粗利額も低い商品を特定 — ここが改善の最優先
  3. 盛り付け量のグラム管理を始める — 計量していない店は原価が10〜15%ブレる。売れ筋3品だけでも計ると月2〜3万円の改善が見込める

手順3:L(人件費)が重い場合

  1. 時間帯別の売上と人件費を出す — 低売上時間帯に人が多くないか
  2. シフトを30分単位で見直す — 週2〜3時間の削減で月1〜2万円改善。最低賃金1,121円なら30分で約560円
  3. メニュー数の絞り込みを検討 — 30品→20品に絞って必要人員を1人減らせた事例あり(月15万円改善)

人件費の適正ラインについては、飲食店の人件費が高い? 最初にやるべきことで詳しく整理しています。

手順4:仕込み量を適正化する

曜日別・天気別の来客データがあれば、仕込みを絞れます。廃棄が仕入れの5%から2%に下がれば、月80万円の仕入れなら月2.4万円の改善

手順5:週次で追いかける

月次だけだと悪化に4週間気づけません。

  • 週の食材費 ÷ 週の売上 = F率
  • 週の人件費 ÷ 週の売上 = L率
  • 前週比で合計3pt以上動いたら原因を確認

10分あればできます。これだけで「手遅れになる前に手が打てる」状態になります。


最低賃金1,121円の影響シミュレーション

最低賃金が1,055円→1,121円(+66円)に上がった影響を、月商250万円の店で計算します。

条件改定前改定後
時給1,055円1,121円+66円
アルバイト月間労働時間400h400h±0
月間人件費(バイト分)42.2万円44.8万円+2.6万円
L率28.9%29.9%+1.0pt
FL比率への影響+1.0pt

たった1ポイントでも、月商250万円なら月2.5万円、年30万円の利益減。

これに食材費の上昇が重なると、半年で3〜5ポイントの悪化は簡単に起こります。だからFLコストは月次ではなく週次で見る必要があるんですよね。


今月やること:FL比率を1回出してみる

計算に必要なのは3つだけです。

  1. 今月の売上高(レジの日報を合計)
  2. 今月の仕入れ額(仕入れ伝票を合計)
  3. 今月の人件費(給与+社会保険+自分の生活費)

この3つで計算してみてください。

FL比率 =(仕入れ額 + 人件費)÷ 売上高 × 100
  • 55%以下 → 優秀。利益体質ができている
  • 55〜60% → 標準。現状維持でOKだが油断禁物
  • 60〜65% → 要注意。FとLのどちらが重いか分解して対策を
  • 65%超 → 危険信号。今月中にFかLの改善に着手する

完璧な管理は必要ありません。月に1回この数字を出すだけで、「見えている経営」と「見えていない経営」の差が出ます。


運営チェックリスト

  • 先月の売上・食材費・人件費を確認した
  • FL比率を計算した
  • F率とL率に分解して、どちらが重いか特定した
  • 重い方の上位3項目の改善候補を書き出した
  • 週次チェックの曜日を決めた(月曜朝がおすすめ)

関連ガイド


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参考データ(確認日: 2026-03-27)

よくある質問

FLコストとは何ですか?

FLコストとは、F(Food=食材費)とL(Labor=人件費)を合わせた金額のことです。飲食店の支出で最も大きなこの2つを合計して売上で割ったものがFL比率。これが60%を超えると利益が残りにくくなります。

FL比率の目安は何%ですか?

一般的に55〜65%が目安です。カフェなら50〜55%、居酒屋なら55〜60%、寿司屋なら60〜65%。業態によって適正値が違うので、自分の業態の目安と比較するのが大事です。

FLコストとプライムコストは同じ意味ですか?

ほぼ同じ概念です。FLコストは日本の飲食業界で使われる呼び方、プライムコスト(Prime Cost)は英語圏での呼び方。どちらも食材費と人件費の合計を指します。

FL比率が65%を超えています。どうすれば下げられますか?

まずFとLのどちらが高いかを分解してください。F(食材費)が高いなら売上上位5品の原価率を確認。L(人件費)が高いなら時間帯別の売上と人員数を突き合わせて、低売上時間帯のシフトから見直します。

FL比率はどのくらいの頻度で確認すべきですか?

月次が最低ライン。食材費や人件費が頻繁に動く今の環境では、週次で簡易チェックを入れると悪化を4週間分早く止められます。

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