「原価管理を始めたいけど、どのツールを使えばいい?」
Excel(スプレッドシート)と専用アプリには、それぞれ長所と短所があります。実際の使用場面での違いを整理しました。
要点まとめ
- スプレッドシートの88〜94%にエラーが含まれる
- 仕込み品を使うならアプリが便利(連鎖計算の自動化)
- 月1回の原価更新で月2時間以上の差が出る
- 数式に慣れていないならアプリ推奨
スプレッドシートのエラー、想像以上に多い
まず知っておきたい事実があります。ハワイ大学のRay Panko教授の研究によると、ビジネスで使用されるスプレッドシートの88%に1つ以上のエラーが含まれています。2024年に発表された追跡調査では、この数字が**94%**にまで上昇しています。
原価計算のように繰り返し計算が多い作業では、数式エラーは売上に直結します。ツールを選ぶ前に、このリスクを把握しておくことをお勧めします。
Excel(スプレッドシート)の特徴
メリット
費用がかからない、または安いMicrosoft 365をすでに利用中か、Googleスプレッドシートを使うなら追加費用はありません。
自由度が高い好きな形式でシートを構成できます。ピボットテーブル、高度なグラフ、マクロなど分析機能も活用可能です。
大画面で作業しやすいPC環境で多くのデータを一覧しながら作業するのに向いています。
デメリット
数式の学習が必要原価管理をきちんと行うには、いくつかの関数を覚える必要があります:
- SUM、AVERAGE(基本集計)
- VLOOKUPまたはINDEX/MATCH(材料価格の参照)
- セル参照の種類($A$1 vs A1の違い)
- シート間連携の数式
数式に慣れていないと、初期設定に時間がかかります。
手動更新が必要材料価格が変わったら、関連するすべてのレシピを自分で探して修正する必要があります。数式が正しくリンクされていれば材料シートの変更だけで済みますが、その数式を最初に作るのが難しいのです。
仕込み品の管理が複雑化ソース、出汁、生地などの仕込み品が複数のメニューに使われると、数式の連携が指数関数的に増えます:
トマトソースの原価変更
→ パスタ3種の数式を確認
→ ピザ5種の数式を確認
→ リゾット2種の数式を確認
→ セットメニューの数式を確認
→ 漏れはないか?
数式が1つでも間違っていると全体の原価が狂い、エラーの発見も困難です。
バージョン管理が難しい「原価表_最終.xlsx」「原価表_最終_修正.xlsx」のようなファイルが増えると、どれが最新かわからなくなります。
原価計算アプリの特徴
メリット
数式なしで使える材料名、価格、容量を入力すれば、計算はアプリが処理します。関数を知らなくても大丈夫です。
自動連動材料価格を1回修正すれば、その材料を使うすべてのレシピ原価が自動で更新されます。仕込み品も同様です。
玉ねぎの価格を修正(1回)
→ 玉ねぎを使う15レシピが自動更新
→ 玉ねぎを含む仕込み品(ソース)の原価も自動
→ そのソースを使うメニューも自動
モバイルでアクセス可能市場で材料価格をすぐに入力したり、厨房でレシピ原価を確認したりできます。
数式エラーがない計算ロジックが固定されているため、セルを誤って編集してシステム全体が壊れることがありません。
デメリット
費用が発生する場合がある無料アプリもありますが、一部の機能はサブスクリプションや買い切り購入が必要です。
新しいツールの学習アプリごとにインターフェースが異なるため、最初は使い方を覚える必要があります。
機能に制限があるExcelのように好きなようにカスタマイズするのは難しいです。必要な機能がなければリクエストするしかありません。
データ移行別のアプリに乗り換える際、データの移行が面倒な場合があります。
時間コストの比較(例)
月1回の材料価格更新を想定した計算です。
Excel
- 材料20個 × 価格確認・入力5分 = 約100分
- 関連レシピの数式確認・修正 = 約60分
- 合計:約2時間40分/月
アプリ
- 材料20個 × 価格入力1分 = 約20分
- 関連レシピ = 自動処理
- 合計:約20分/月
差分:月あたり約2時間20分
2025年10月時点の日本の全国平均最低賃金1,121円(東京は1,226円)で計算すると、約2,600〜2,850円相当です。もちろん、これは単純計算で、実際にはExcelの習熟度やメニュー構成によって変わります。
選択基準のまとめ
Excelが向いているケース
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| VLOOKUP、INDEX/MATCHに慣れている | 数式設定時間を短縮できる |
| すでによくできたExcelファイルがある | 作り直す必要がない |
| ピボットテーブルなど高度な分析が必要 | アプリより機能が多い |
| PC環境で集中して作業する | 大量データ処理に向いている |
アプリが向いているケース
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| Excel数式に慣れていない | 学習時間を節約 |
| 仕込み品(ソース、出汁)を自分で作る | 連鎖計算が自動化 |
| 材料価格がよく変わる | 自動更新で時間短縮 |
| 現場で頻繁に確認する | モバイルでアクセス可能 |
ポイント:仕込み品を使うならアプリが便利です。メニューが3品だけでも、仕込み品が共通で使われると数式連携が複雑になります。
選択フローチャート
Q1: 仕込み品(ソース、出汁、生地)を自分で作りますか?
→ はい: アプリ推奨(連鎖計算の自動化)
→ いいえ: Q2へ
Q2: VLOOKUPなどのExcel数式を自由に使えますか?
→ はい: Excelでも十分
→ いいえ: アプリ推奨
Q3: 原価管理に時間を投資する余裕がありますか?
→ はい: Excel(初期設定に時間が必要)
→ いいえ: アプリ(すぐに始められる)
Excelからアプリに乗り換えるタイミング
以下の状況が繰り返されるなら、アプリへの移行を検討してみてください:
- Excelを開くのが面倒で原価確認を後回しにしがち
- 価格変動があっても「後で修正しよう」と放置
- 新メニューの原価をざっくり推定で計算
- どのファイルが最新かわからない
- 数式がどこかで壊れていて原因がわからない
アプリ選びのチェックリスト
| 機能 | 重要度 |
|---|---|
| 材料管理(価格、容量、単位) | 必須 |
| レシピ原価の自動計算 | 必須 |
| 仕込み品の連動 | 仕込み品を使うなら必須 |
| 利益率・販売価格の計算 | あると便利 |
| ロス率の反映 | あると便利 |
| データのバックアップ・エクスポート | 確認推奨 |
まとめ
| 比較項目 | Excel | アプリ |
|---|---|---|
| 費用 | 無料〜安価 | 無料〜有料 |
| 学習コスト | 高い(数式学習) | 低い(入力のみ) |
| 自動更新 | 手動(数式設定が必要) | 自動 |
| 仕込み品連動 | 複雑な数式が必要 | 自動 |
| モバイル利用 | 不便 | 便利 |
| 数式エラーリスク | あり(88〜94%) | なし |
| カスタマイズ自由度 | 高い | 制限あり |
結論:ツール選択は状況次第です。Excelに慣れていて複雑な分析が必要ならExcelが向いています。数式学習なしで始めたい、または仕込み品の連動が重要ならアプリが便利です。
Excelの数式管理から解放されたい方は、材料を入力するだけで原価が自動計算されるKitchenCostを無料でお試しください。
今すぐやること
- 現在の原価管理方法の問題点を洗い出す
- 仕込み品の連動が必要か確認する
- 月次の原価更新にかかる時間を計測する
- アプリの無料トライアルで比較する
関連ガイド
- 飲食店の原価計算アプリおすすめと使い方 — アプリ導入の3ステップと選び方
- レシピ原価計算の基本 — 原価計算の基本公式
- 仕込み品原価管理ガイド — Excelが最も苦手とする多層仕込み品の管理
- 食材原価率ガイド — 正確に管理すべき主要指標
- 新メニュー原価シミュレーション — ツールを使った原価シミュレーションの実例
- モーニング・ブランチ原価ガイド — 毎週変わる卵とコーヒーの原価管理にアプリが有効
- ピザ屋の原価計算ガイド