「原価管理、一応エクセルでやってます」
飲食店オーナーからよく聞く言葉だ。 開業時に頑張って作ったエクセルシート。メニューごとに食材と分量を入力し、原価率が自動で出る。
最初はうまくいく。
しかし半年後、そのファイルを開くと—— 数式が壊れていたり、更新が3か月前で止まっていたり、 そもそもどのセルが何を計算しているのかわからなくなっていたりする。
エクセル原価管理の問題は、「計算できない」ことではない。 「計算を続けられない」ことだ。
問題1: 数式が静かに壊れる
エクセルで最も多いトラブルは、数式セルの上書きだ。
例えばこういう状況。 B列に食材の単価、C列に使用量、D列にB×Cの数式が入っている。
ある日、仕入単価が変わったのでD列の数字を直接打ち替えた。 数字は正しく見える。しかしD列の数式は消えた。
次にB列の単価を更新しても、D列はもう連動しない。 本人は「ちゃんと更新した」と思っているが、実際は3品目の原価が古いままになっている。
これが10品、20品と積み重なると、 表全体がどこまで正確でどこから壊れているのか、誰にもわからなくなる。
問題2: 作った人しか触れない(属人化)
「このエクセル、誰が作ったの?」 「前のバイトリーダーです。辞めました」
この会話は、多くの飲食店で実際に起きている。
マクロで組んだ原価計算シート、VLOOKUPが何重にもネストされた在庫管理表。 作った本人は理解していたが、引き継いだ人は触るのが怖い。
結果、更新されないエクセルが残る。
更新されない原価表は、ないのと同じだ。 むしろ「管理している」という安心感がある分、ない方がまだ危機感を持てる。
問題3: リアルタイム性がない
食材の仕入単価は、月単位で動く。 卵が先月より15%上がった。油が8%上がった。
この変動がエクセルに反映されるのは、いつだろう。
多くの店では「月末にまとめて」か「気が向いた時に」だ。 その間の2〜4週間、古い原価率のまま営業していることになる。
問題はさらにある。 仕入単価を1品更新しても、その食材を使っている全メニューを手動で探して再計算しなければならない。
小麦粉の単価が変われば、パン、パスタ、天ぷら、ケーキ—— すべてのメニューの原価が変わる。 エクセルの場合、これを1つずつ追いかける必要がある。
エクセルが「機能する」条件
エクセル原価管理が問題なく回る条件もある。
- メニュー数が10品以下
- 仕入単価の変動が年に数回程度
- ファイルを管理するのが常に同じ1人
- その人がエクセルの関数に慣れている
この4つがすべて揃っていれば、エクセルで十分だ。
しかし現実には、メニューは増える。食材費は毎月動く。 スタッフが入れ替わる。オーナーは現場に出て管理の時間が取れない。
つまり、開業直後は機能しても、半年〜1年で限界が来る構造だ。
「やっている気」が一番危険
原価管理の最大のリスクは「やっていない」ことではない。 「やっている気になっている」ことだ。
3か月前の数字が入ったエクセルを見て「原価率30%、問題なし」と判断する。 しかし実際には仕入単価が動いていて、本当の原価率は34%かもしれない。
この4ポイントの差は、月商300万円の店なら毎月12万円の利益減少だ。 年間144万円。
「管理している」安心感のせいで、対策が遅れる。 これがエクセル原価管理の本当のリスクだ。
エクセルから次に進む目安
以下の3つのうち、1つでも当てはまったら、エクセル以外の方法を検討する時期だ。
- メニュー数が20品を超えた
- 仕入単価の更新が月1回以上必要になった
- 自分以外の人にも原価表を触ってもらう必要が出てきた
この3つはすべて「エクセルの構造的な限界」に直結している。
今すぐ確認すること
エクセルを使い続ける場合でも、以下だけは確認しておく。
- 原価計算シートの数式がすべて生きているか(D列を手入力で上書きしていないか)
- 最後に仕入単価を更新したのはいつか
- 自分以外の誰かがこのファイルを理解・更新できるか
- 1食材の単価変更で、関連メニューすべてが再計算されるか
4つ全部OKなら、今のエクセルで問題ない。 1つでもNGなら、そのエクセルは判断材料として信頼できない状態にある。
関連ガイド
エクセルの次を試すなら
KitchenCostは、食材単価を1か所変えるだけで、関連する全メニューの原価率と必要売価が自動更新されます。 数式の破損も属人化も起きません。
まずは主力メニュー5品で試してみてください。
詳しくは KitchenCost をご覧ください。