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ドーナツ専門店の原価——プレーン1個38円で原価率21%。でも油とトッピングを甘く見ると赤字になる

ドーナツの生地原価は1個18円。プレーンなら原価率21%で高利益ですが、チョコ・ナッツ・フルーツを載せると一気に30%超え。揚げ油の吸収コスト、トッピング管理、3段階の価格設計で利益を守る方法をまとめました。

更新 2026年2月18日
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目次

「ドーナツは粉ものだから儲かる」。

開業セミナーでそう聞いて始めた人が、半年後に油代の請求書を見て驚く。

たしかに、プレーンドーナツ1個の生地原価は18円。売価180円なら原価率21%。飲食業の中でもトップクラスの低さだ。

ところが人気メニューの「チョコナッツドーナツ」に目を向けると、チョコ18円、ナッツ12円、油の吸収10円、包材6円が乗って、**原価64円、原価率24.6%**に跳ね上がる。さらにフルーツやクリームを使ったプレミアム系は原価率30%超え——。

ドーナツの利益は、プレーンの高利益率をデコレーション系が食わない設計にできるかどうかで決まる。

先に結論

  • 生地原価は1個18円で安い。 でも油・砂糖・トッピング・包材を足すと38〜90円になる
  • 揚げ油のコストは1個8〜15円。 油の吸収量と交換頻度で原価が変わる
  • チョコとナッツは「少し多め」が即赤字。 グラムで固定する
  • 価格帯は3段階。 プレーンで集客、ミドルで利益、プレミアムで客単価を上げる

ドーナツの原価を3タイプで比較する

ベース:プレーンドーナツ(税抜180円)

項目金額
生地(小麦粉・卵・砂糖・イースト)18円
揚げ油(吸収分)10円
グレーズ(砂糖衣)4円
包材(個包装)6円
合計38円

原価率:38 ÷ 180 = 21.1%。ドーナツ店の利益の柱。

ミドル:チョコナッツドーナツ(税抜260円)

項目金額
生地18円
揚げ油10円
チョコレート(コーティング)18円
ナッツ(アーモンド5g)12円
包材6円
合計64円

原価率:64 ÷ 260 = 24.6%。見た目の華やかさで80円高く売れる。

プレミアム:いちごクリームドーナツ(税抜350円)

項目金額
生地18円
揚げ油10円
カスタードクリーム(30g)20円
いちご(2粒)50円
チョコ(ドリズル)8円
包材8円
合計114円

原価率:114 ÷ 350 = 32.6%。フルーツを使うと一気に高くなる。

3タイプを並べて見ると、プレーン21%→ミドル25%→プレミアム33%と原価率が12ポイント上がる。 全体の平均原価率を25%前後に保つには、プレーンとミドルの販売比率を高くする設計が必要だ。

揚げ油のコスト——「見えない原価」

ドーナツの原価で見落とされがちなのが揚げ油だ。

油の原価計算

ドーナツは揚げるたびに油を吸う。1個あたりの吸油量は8〜15g(生地の10〜15%)。

油1kg = 約300円
1個あたり吸油 = 12g(平均)
吸油原価 = 300円 × 0.012 = 3.6円

さらに鍋の油を定期的に交換する必要がある。

鍋の油量:6L = 6kg × 300円 = 1,800円
交換頻度:2日に1回
2日間の揚げ数:200個(仮)
油交換原価 = 1,800円 ÷ 200個 = 9円/個

吸油分+交換分で1個あたり約12〜13円

13円 × 100個/日 × 25日 = 32,500円/月

油だけで月3.2万円。年間だと約39万円。「粉もの」のイメージとは裏腹に、油はドーナツ店の大きなコスト要因だ。

油のコストを抑える方法

  1. 揚げ温度を安定させる。 温度が低いと油の吸収量が増える
  2. 交換頻度を記録する。 「色が変わったら交換」ではなく日数で管理
  3. 揚げ数を予測する。 1日の揚げ数が少ない日は油の1個あたりコストが上がる

トッピングのグラム管理

チョコレートとナッツは「ちょっと多め」が原価を壊す。

トッピング標準量原価+50%にした場合差額
チョコ(コーティング)15g18円22.5gで27円+9円
アーモンドスライス5g12円7.5gで18円+6円
ピスタチオ3g15円4.5gで23円+8円
ドライフルーツ8g16円12gで24円+8円

全部50%増しにすると1個あたり**+31円**。1日50個のデコ系ドーナツを作るなら:

31円 × 50個 × 25日 = 38,750円/月

月4万円弱。トッピングをグラムで固定するだけで守れる金額だ。

3段階の価格設計

ドーナツ専門店の利益はメニュー構成と販売比率で決まる。

理想的な販売比率

価格帯代表メニュー原価率販売比率(目標)
ベース(150〜200円)プレーン、グレーズ、シナモン18〜22%35〜40%
ミドル(230〜280円)チョコ、メイプル、抹茶22〜28%40〜45%
プレミアム(300〜400円)フルーツ、クリーム、季節限定28〜35%15〜20%

ベースとミドルで全体の80%を占めれば、平均原価率は23〜25%に収まる。

プレミアム系は「映え」と「季節感」で集客する役割。原価率は高いが、SNSで拡散されれば広告費ゼロの集客効果がある。

今週やること

  • プレーン・ミドル・プレミアムの3段階で原価を計算する
  • 揚げ油の交換頻度を記録して、1個あたりの油原価を出す
  • チョコ・ナッツのトッピング量をグラムで固定する(量りでチェック)
  • 各価格帯の販売比率を1週間記録して、平均原価率を確認する
  • 包材コストを1個あたりで計算して原価に加える

ドーナツは「生地が安いから儲かる」は半分正解、半分不正解。油とトッピングのコストを数字で把握して初めて、本当の利益が見えてくる。


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よくある質問

ドーナツの原価率の目安は?

プレーン・グレーズなど生地メインは15〜22%、チョコ・ナッツ系は22〜30%、フルーツやクリーム系は28〜35%が目安です。3段階の価格帯を作って、全体の平均を25%前後に収めるのが基本設計です。

揚げ油のコストはどう原価に入れますか?

ドーナツ1個あたりの油吸収量は8〜15g。油1kgあたり300円なら、1個あたり2.4〜4.5円。さらに鍋の油量(5〜8L)と交換頻度(2〜3日)を計算に入れると、1個あたりの実質油原価は8〜15円になります。揚げ数が少ない日は1個あたりのコストが上がるので注意です。

トッピングは別料金にすべきですか?

はい。チョコレート(コーティング)は1個あたり15〜25円、ナッツは10〜20円、フルーツは20〜40円と高い。プレーン価格に含めると原価率が崩壊します。ベース・ミドル・プレミアムの3段階に分けて、トッピング分を売価に反映させてください。

ドーナツは粉ものだから原価が安いというのは本当ですか?

生地だけなら1個18円で安いのは事実です。でも完成品としての原価は38〜90円。油の吸収、砂糖・チョコのコーティング、包材を足すと「粉もの」のイメージより高くなります。特にデコレーション系は原価が倍以上に跳ねます。

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