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丼もの専門店の原価ガイド:肉と魚のグラム管理で利益が変わる仕組みと価格設計

丼もの専門店向けの原価計算ガイド。牛丼・親子丼・海鮮丼の原価内訳を分解し、ご飯・具材・タレの配合で原価率を守る方法と、サイズ別・セット別の価格設計例を解説します。

更新 2026年2月7日
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目次

丼ものは「一杯で完結」する。だからシンプルに見える。

でも、シンプルだからこそ原価のブレが直撃します。

牛丼の肉が5g増えるだけで1杯7円の原価増。1日100杯で月21,000円。親子丼の卵を2個から3個に変えると1杯20円の差。ご飯の盛りが250gのはずが280gになっていたら、月の米代が1万円以上変わる。

丼ものは「具材がご飯の上に乗っているだけ」の構造なので、すべてが数グラム単位で利益に効く

牛丼チェーンが肉80gをグラム単位で管理しているのは、それが利益管理そのものだからです。


まとめ

  • 丼ものの原価は**主たんぱく質が50〜65%**を占める。具材のグラム管理が利益管理そのもの
  • ご飯は安いが、盛り量のブレが積もると月1万円以上の差が出る
  • タレ・つゆは仕込み単位で原価を出し、1食あたりに割る
  • テイクアウト容器(15〜35円)を原価に含めないと原価率が甘くなる
  • サイズ展開は追加原価の2倍以上の価格差をつけないと大盛で赤字になる
  • セットメニュー(味噌汁・サラダ・卵)で客単価を上げるのが利益改善の最短ルート

丼ものの原価が崩れる5つの原因

1. 主たんぱくの盛り量がブレる

肉・魚の量は、スタッフの感覚に任せると平気で±10g動きます。牛肉で10gは約13円。1日100杯で月39,000円の差。

対策:ポーションスケールで計量する。仕込み時に1食分ずつ小分けしておけば、盛り付け時の計量が不要になる。

2. ご飯の盛りが安定しない

ご飯は「安い」印象があるので軽視されがちですが、並盛250gのはずが280gになっていると、1食あたり5円の原価増。1日100杯で月15,000円。

対策:しゃもじの回数で統一する。「並盛=しゃもじ2杯」と決めれば、毎回計量しなくても安定する。

3. タレ・つゆの使用量が人によって違う

牛丼のつゆを「多め」に入れるスタッフがいると、60mlのはずが80mlに。1食あたり6円の差が月18,000円になる。

対策:レードルのサイズを固定して「すりきり1杯」と定義する。

4. トッピングが無料化している

「ネギ多め」「紅しょうが多め」を無料で対応していると、1食あたり5〜15円の原価増。トッピングは「有料オプション」として価格設計に組み込む。

5. テイクアウト容器を原価に入れていない

丼用の蓋付き容器は1個15〜35円。箸・おしぼり・袋を含めると25〜50円。テイクアウト比率が高い店では、これだけで原価率が1〜2ポイント変わります。


牛丼(並盛)の原価を分解する

例:牛丼並盛(税抜480円)

項目原価
牛バラ薄切り80g104円
玉ねぎ40g12円
つゆ(醤油・みりん・砂糖・だし)60ml18円
ご飯250g38円
紅しょうが5g3円
合計175円

原価率:175 ÷ 480 = 36.5%

※ 牛バラ肉は100gあたり130円で計算(業務用冷凍の一般的な価格帯)。米は5kgあたり2,500円(炊飯後の重量換算)。

牛丼は業態として原価率が高めです。36%台は珍しくない。だから回転率とセットメニューの両方で利益を組み立てる必要があります。


親子丼(並盛)の原価を分解する

例:親子丼並盛(税抜780円)

項目原価
鶏もも肉90g120円
2個40円
玉ねぎ30g9円
つゆ(醤油・みりん・だし)50ml15円
ご飯250g38円
三つ葉1つまみ8円
合計230円

原価率:230 ÷ 780 = 29.5%

親子丼は鶏肉と卵が安いので、丼もの専門店の利益の柱になりやすい。

卵の個数で原価がどう変わるか

卵の数卵原価総原価原価率(780円)
1個20円210円26.9%
2個40円230円29.5%
3個60円250円32.1%

卵1個の差は20円。年間で計算すると:

20円 × 100杯/日 × 25日 × 12ヶ月 = 600,000円/年

卵1個の判断が年間60万円の差を生みます。「卵多め」を無料対応するのはコスト的に厳しい。


海鮮丼の価格設計:並・上・特上で利益を守る

海鮮丼は仕入れ変動が大きいので、ネタ量と種類の段階化が必須です。

ネタ構成と原価の段階設計

ランクネタ量主なネタネタ原価総原価売価原価率
80gマグロ・サーモン・イカ280円340円980円34.7%
110g並+エビ・ハマチ420円480円1,480円32.4%
特上140g上+ウニ・イクラ650円720円2,200円32.7%

ポイントは「量を増やすだけ」ではなく、種類を変えること。

並のネタをそのまま増やすと、「並を2杯頼んだほうが得」になります。特上には並にないウニやイクラを入れることで、値段の差を品質の差として納得してもらえます

仕入れ変動への対策

海鮮は日によって仕入れ価格が変わります。

  1. ネタの入れ替えルール — 仕入れ価格が20%以上高騰したネタは、別のネタに差し替える。メニューに「本日のおすすめネタ」と書けばクレームにならない
  2. 冷凍ネタの活用 — マグロ・サーモン・エビは冷凍で安定調達。解凍ルールを統一すれば品質も安定する
  3. ネタの種類を固定しない — 「マグロ・サーモン+日替わり2種」のようにすると、仕入れの安いネタを使いやすくなる

サイズ別の価格設計

並盛と大盛の価格差をどう設計するかで、全体の利益率が変わります。

牛丼のサイズ別原価

サイズご飯つゆ等合計原価売価原価率
並盛80g = 104円250g = 38円33円175円480円36.5%
大盛110g = 143円350g = 53円38円234円620円37.7%
特盛150g = 195円350g = 53円42円290円750円38.7%

大盛にするほど原価率が上がっていることに注目してください。

並盛→大盛で原価は59円増。売価差は140円。差額で利益は81円出ているように見えます。

でも、大盛を選ぶ人が増えると全体の平均原価率が上がる。大盛比率が50%を超えると店全体の原価率が37%を超えてきます。

価格差の設計ルール

差額の目安:追加原価の2倍以上を確保する。

59円の原価増なら、差額は120円以上。上の例では140円の差をつけていますが、ギリギリです。大盛比率が高い店では、差額をもう少し大きくするか、肉の増量を抑えてご飯だけ大盛にする設計も検討してください。


セットメニューで客単価を上げる

丼もの単品の原価率は30〜37%。これだけで十分な利益を出すには回転率が必要です。回転率を上げられない立地なら、セットで客単価を上げるのが現実的です。

セットメニューの原価と利益

セット内容追加原価セット追加価格粗利追加分の原価率
味噌汁12円+100円88円12%
サラダ25円+120円95円21%
15円+60円45円25%
味噌汁+サラダ37円+180円143円21%
漬物3種18円+80円62円23%

味噌汁は原価12円で100円もらえる。原価率12%。丼もの本体の35%に比べれば圧倒的に利益率が高い。

セット率を上げる方法

  • メニュー表でセットを目立たせる:単品の横にセット価格を並べると「あと100円で味噌汁つく」が伝わる
  • 券売機ならセットボタンを隣に配置する:単品ボタンだけでは選ばれにくい
  • 「おすすめ」のPOP:「味噌汁セット+100円」の一言POPでセット率が10%上がった店もある

セット率30%で平均セット追加額130円なら:

100杯/日 × 30% × 130円 = 3,900円/日
月間 = 3,900 × 25日 = 97,500円
追加原価 = 月約18,750円
追加粗利 = 約78,750円/月 = 年間約94万円

テイクアウトの原価計算

テイクアウト比率が高い丼もの専門店では、容器代を無視すると原価率がずれます。

テイクアウト用の追加原価

項目原価
丼用容器(蓋付き)20円
3円
おしぼり2円
ビニール袋5円
合計30円

テイクアウト比率40%・1日100杯の場合:

30円 × 40杯/日 × 25日 = 30,000円/月

月3万円。年間36万円。これを「見えないコスト」にしておくと、原価率の計算がずっと甘くなります。

テイクアウトの価格に容器代を上乗せするか、イートインと同額にして容器代を吸収するか——どちらにしても原価計算には必ず含める


ポーション管理の実践

丼ものは「標準ポーション」を決めることが全てです。

標準ポーション表(例)

項目牛丼親子丼海鮮丼(並)カツ丼
主たんぱく80g90g80g100g
ご飯250g250g250g250g
タレ/つゆ60ml50ml30ml60ml
2個1個
容器(TO)20円20円25円25円

このポーション表をキッチンに貼っておくだけで、盛り付けのブレが減ります。

ポーション管理の3ステップ

  1. 仕込み時に小分け — 肉・魚は1食分ずつ計量して保存容器に分ける
  2. ご飯はしゃもじの回数で統一 — 「並盛=しゃもじ2杯」
  3. 新人は最初の3日間、全杯計量 — 感覚を体に覚えさせる

月次の利益シミュレーション

前提

  • 営業日数:25日
  • 1日の平均杯数:100杯
  • 平均客単価:650円(セット含む)
月間売上 = 100杯 × 650円 × 25日 = 1,625,000円

原価率33%の場合(管理が行き届いている):
原価 = 536,250円
粗利 = 1,088,750円

原価率38%の場合(ポーションブレ・大盛多い・容器未計上):
原価 = 617,500円
粗利 = 1,007,500円

差額 = 81,250円/月 = 年間975,000円

原価率5ポイントの差が、年間約97万円の利益差になります。


今すぐやること

  • 主力丼の主たんぱく使用量をグラムで計測して、標準ポーションを決める
  • ご飯の盛り量を3杯分計量して、しゃもじの回数に換算する
  • つゆ・タレの仕込み原価を寸胴単位で計算し、1食あたりに割る
  • テイクアウト容器・箸・袋の1セット原価を計算して、原価に含める
  • 並盛→大盛の価格差が追加原価の2倍以上あるか確認する
  • セットメニューの構成と価格を見直し、メニュー表で目立たせる

関連ガイド


肉・魚・卵を登録すれば、丼1杯の原価が自動で出ます。サイズ別の原価率もひと目で比較。KitchenCost は無料で使えます。

よくある質問

丼ものの原価率の目安は?

28〜35%が一般的ですが、主たんぱくの種類で大きく変わります。牛丼は35〜40%と高め、親子丼は28〜32%と抑えやすく、海鮮丼はネタの構成で25〜40%まで幅が出ます。全メニュー平均で33%以下を目標にするのが現実的です。

ご飯の盛り量は固定すべき?

はい。並250g・大盛350gのようにグラムで固定します。感覚盛りだと±30gのブレが出やすく、1食あたり5〜8円の原価差が生まれます。月3,000食なら15,000〜24,000円の差です。炊飯後に1食分ずつ計量しておくか、しゃもじの回数で統一すると安定します。

海鮮丼の価格設計はどうすればいい?

並(ネタ80g)・上(110g)・特上(140g)のようにネタ量を段階化し、価格差を明確にします。ネタを増やすだけでなく種類を変えるのがポイント。並はマグロ・サーモン中心、特上にウニ・イクラを加えることで、原価率を揃えながら価格差を正当化できます。

テイクアウト容器の原価はどのくらい?

丼用の蓋付き容器は1個15〜35円。箸・おしぼり・袋を含めると1セット25〜50円です。テイクアウト比率が30%の店で月3,000食なら、容器代だけで月22,500〜45,000円。原価に含めずに計算している店が多いですが、含めないと原価率が1〜2ポイント甘くなります。

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