「カクテルは原価が安いから儲かる」——これは半分しか正しくありません。
たしかにベースの酒は安い。でも実際に1杯の原価を積み上げると、トニック、シロップ、ガーニッシュのライム、氷、さらにオーバーポアや仕込みミスのロス。副材料を入れない原価計算は赤字の近道です。
2025年の消費者物価指数では食料が前年比**+6.8%**。材料費の上昇を前提に、1杯ごとの原価を把握しておく必要があります。
先に結論
- 原価計算はボトル1本あたりの杯数が起点
- 副材料(トニック・シロップ・ガーニッシュ)を無視すると利益が消える
- 目標原価率を決めて価格を逆算する(市場相場ではなく自店の原価から)
- ロス(オーバーポア・サービスドリンク)を2〜5%で吸収する
カクテル原価の内訳
カクテル原価は「お酒代だけ」ではありません。
- ベーススピリッツ
- 副材料(ジュース・トニック・リキュール)
- ガーニッシュ(ライム、オリーブ、ミントなど)
- 氷・グラス破損
- 仕込み時間(自家製シロップ・ピールなど)
基本の計算式
原価率(%) = 原価 ÷ 価格 × 100
目標価格 = 原価 ÷ 目標原価率
価格は「周りの店がこれくらいだから」ではなく、自店の原価から逆算して決めるのが鉄則です。
ボトル1本から何杯取れるか
日本のスピリッツは700mlが主流です。
| ボトル容量 | 30ml提供 | 45ml提供 |
|---|---|---|
| 700ml | 約23杯 | 約15杯 |
| 1L | 約33杯 | 約22杯 |
ロスを考えると、ここから1〜2杯分は切り下げて計算するのが安全です。
例:ジントニックの原価計算
前提:ジン700ml=2,800円、1杯45ml、トニック120ml=70円、ライム15円、氷・ロス5円
ジン単価:
2,800 ÷ 15杯 = 187円
| 項目 | 原価 |
|---|---|
| ジン | 187円 |
| トニック | 70円 |
| ライム | 15円 |
| 氷・ロス | 5円 |
| 合計 | 277円 |
目標原価率25%なら:
277 ÷ 0.25 = 1,108円
1,100円が妥当な価格帯です。「うちは900円で出してる」という店は、知らないうちに原価率30%を超えているかもしれません。
目標原価率は「店の設計」で決める
| 目標原価率 | 向いている店 |
|---|---|
| 20% | 高付加価値・高単価バー(雰囲気やサービスで価値を作る) |
| 25% | 標準的なバー運営(バランスが良い) |
| 30% | 価格を抑えたい店(利益は薄いので回転が必要) |
人件費と家賃を先に確認し、「手元に残す金額」から逆算して決めてください。
ロスを見える化する
ロスの主な原因はこの4つ。
- オーバーポア(ジガーを使わない注ぎ方)
- グラス破損
- サービスドリンク(常連へのおまけ)
- 仕込みミス(自家製シロップの失敗など)
月次棚卸しでロス率を出し、価格に2〜5%のバッファを加えると利益が安定します。
メニュー設計のコツ
- 定番カクテル(ジントニック、モスコミュールなど):回転率を作る柱
- シグネチャー(オリジナル):利益とストーリーを作る(原価を自分でコントロールできる)
- プレミアム(希少酒ベース):原価率は高くても粗利額で回収
「全部同じ価格帯」は避けて、800円・1,200円・1,800円のように段差を作ると、お客さんの選択が分散して利益が安定します。
ハッピーアワーの設計
値引きは集客に効きますが、利益が飛びやすい。ポイントは対象を限定することです。
- 対象ドリンクを3〜5種に絞る(仕込み済みの簡単なカクテル)
- 時間を60〜90分に制限する
- 一律ディスカウントは避ける(高原価の酒まで割引になる)
ノンアルも原価計算が必要
アルコールが無い分「安くしていい」と思うと利益が抜けます。シロップ・果汁・ガーニッシュは意外と高い。レシピ → 原価 → 目標原価率 → 価格の順で決めてください。
棚卸しの最低ライン
毎日やる必要はありません。これだけで十分です。
- 週次:上位10銘柄の残量チェック
- 月次:全ボトル棚卸し + ロス率算出 + 価格見直し
継続できることが最優先。完璧な棚卸しを年1回やるより、ざっくりでも月1回のほうが利益を守れます。
今週やること
- 上位10銘柄のボトル単価と杯数を計算する
- 副材料・ガーニッシュの原価を1杯ごとに出す
- ロス率を見込んで2〜5%を原価に加算する
- 目標原価率から各カクテルの価格を逆算する
- 価格帯に3段階の段差を作る
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出典
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