「今日も完売しました」
SNSにそう投稿する弁当屋のオーナーは多い。お客さんの反応もいい。「人気店ですね」と褒められる。
でも通帳を見ると、なぜか残高が増えていない。
完売=利益が出ている、とは限らない。弁当屋・惣菜店には「売り切れても儲からない」構造的な落とし穴がある。
先に結論
- 500円弁当の利益はわずか115円。 全コスト込みだと利益率23%
- 1日100個完売でも月の利益は約28.8万円
- 仕込みロス10%で原価率は35%→38.9%に跳ね上がる
- 「ちょっと多め」のおまけ、月5万円の利益が消える
弁当1個500円で、いくら残るのか
500円の弁当を例に、コストを全部分解してみよう。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 食材費 | 175円 | 原価率35% |
| 容器・割り箸・袋 | 40円 | 1食あたり |
| 人件費(仕込み+調理+販売) | 120円 | 時給1,100円で換算 |
| 光熱費 | 15円 | ガス・電気・水道 |
| 家賃按分 | 25円 | 1日の販売数で割る |
| その他(広告・消耗品) | 10円 | |
| 合計コスト | 385円 | |
| 利益 | 115円 | 利益率23% |
1個売って115円の利益。1日100個売り切れても1日の利益は11,500円。月25日営業で約28.8万円。
年収にすると345万円。 ここから社会保険料や税金を引く。
「毎日100個完売」の裏で、オーナーの手取りはこの水準だ。
「売り切れたら勝ち」の裏にある3つの問題
問題1:売り切れる前に「廃棄」が出ている
弁当屋の仕込みは朝の数時間で一気にやる。100個分の食材が実際には90個分しか使い切れなかった——日常的に起きる。
仕込みロスは売上に計上されないが、コストには確実に乗る。
仕込みの10%がロスだとすると、100個分の食材で作れたのは90個。原価率は見かけ上35%でも、実質**38.9%**に跳ね上がる。1個あたりの利益は95円に下がり、月の利益は2.4万円減る。
問題2:「おまけ」が利益を食っている
「いつも来てくれるから、ちょっと多めに入れておこう」「隣のおばちゃんにポテトサラダをサービスで」
この「ちょっと多め」が積み重なると、原価率は計算通りにならない。
1個あたり20円分の「おまけ」を1日100個やると、月5万円の利益が消える。
気前のいいオーナーほど、気づかないうちに利益を削っている。
問題3:値付けが「相場合わせ」になっている
「近所の弁当屋が500円だから、うちも500円」——この考え方は危ない。
近所の弁当屋と自分の店では、家賃も人件費も仕入れルートもまったく違う。同じ値段にする合理的な理由はない。
値段は「周りに合わせる」のではなく、「自分の原価に合わせて」決めるもの。 原価を計算していなければ、適正な値段はわからない。
惣菜店の「ロス問題」はもっと深刻
弁当屋以上に廃棄が深刻なのが惣菜店だ。
弁当は「作り置き→売り切り」だが、惣菜はショーケースに並べて見た目の品揃えを維持しなければならない。閉店まで棚が空っぽでは見栄えが悪い。だから多めに作る。残ったら廃棄する。
惣菜店の廃棄ロスは売上の5〜15%と言われている。月商200万円で廃棄率10%なら月20万円が捨てられている。
この20万円を半分に減らすだけで、年間120万円の利益改善になる。
今週やること
- 主力弁当3品の「容器込み総コスト」を出す。 「鶏の唐揚げ弁当は原価183円、鮭弁当は162円」のレベルで把握する。食材が値上がりしたときに「どの弁当の利益が削られているか」がすぐわかる
- 1週間だけ仕込みロスを記録する。 仕込んだ量と実際に作れた量の差を記録するだけでいい。ロスの大きさに気づけば対策が打てる
- 曜日・天候ごとの販売実績を記録し始める。 「火曜の雨は70個」「金曜の晴れは110個」が見えたら、仕込み量を調整できる
- 原価管理を仕組み化する。 KitchenCostのようなアプリなら、レシピごとの食材と分量を登録するだけで原価が自動計算される。食材価格が変わったら影響を受ける全メニューの原価率が即更新される
売り切れは嬉しい。でも**「完売=成功」と思い込む前に、通帳を見てほしい。**
利益が残る弁当屋と残らない弁当屋の差は、腕前ではない。自分の商品の原価を、正確に知っているかどうかだ。
弁当と惣菜の完売後利益まで管理するなら。KitchenCost を使ってみてください。