「美容室の原価率って5〜10%なんでしょ? それなら儲かるじゃないですか」
異業種の友人にこう言われて、苦笑したことのあるサロンオーナーは少なくないだろう。
たしかに材料費だけ見れば原価率は低い。でも「利益が出ているか」は、まったく別の話だ。
先に結論
- 材料費は安い。問題は人件費。 売上の40〜50%が人件費で消える
- 原価率より「1時間あたり売上」のほうが重要
- カラー剤の廃棄だけで月1〜2万円のロスが出ているサロンは多い
- クーポンで50%OFF → リピート率が低いと利益を長期的に蝕む
材料費は安い。問題は「それ以外」
美容室の材料原価率を業態別に見てみよう。
| 業態 | 材料原価率の目安 |
|---|---|
| カット専門店 | 3%以下 |
| カット+カラー中心 | 7〜12% |
| パーマ・トリートメント中心 | 8〜15% |
| 平均的な総合サロン | 5〜10% |
「こんなに低いなら楽勝じゃないか」と思うかもしれない。でも美容室の経営を圧迫しているのは材料費ではない。
人件費だ。
美容室の人件費率は売上の40〜50%。さらに家賃10〜15%、その他固定費10〜20%。
売上を100としたときの内訳はこうなる。
| 項目 | 割合 |
|---|---|
| 材料費 | 8% |
| 人件費 | 45% |
| 家賃 | 12% |
| その他固定費 | 15% |
| 利益 | 20% |
利益率20%を残せていれば、かなり健全な経営。 でも現実には10%を切っているサロンも少なくない。
「1人あたり売上」が見えていますか?
美容室の利益を考えるとき、原価率よりも重要な指標がある。
スタッフ1人あたりの月間売上高だ。
スタイリスト1人が月に50万円を売り上げるのか、80万円を売り上げるのかで利益は大きく変わる。人件費は月給制で固定だから、売上が上がれば人件費率は自動的に下がる。
「原価率を5%から4%に下げよう」と材料をケチるより、「1人あたり売上を5万円上げよう」と考えるほうが、利益への効果はずっと大きい。
利益を食う「3つの見えないコスト」
1. アシスタントの”空き時間”
アシスタントの人件費は固定だが、お客様がいない時間にも給料は発生する。空き時間にトレーニングや在庫管理を仕組み化して、「払っているけど稼いでいない時間」を減らすのが大事。
2. 材料の”使いすぎ”
カラー剤の調合で余った分を捨てている。シャンプーを多めに出す癖がある。1回あたりの金額は小さいが、月間・年間では無視できない。
カラー剤の廃棄だけで月1〜2万円のロスが出ているサロンは珍しくない。
3. 過剰な割引
新規集客でクーポンサイトの50%OFF。集客にはなるが、割引分は丸ごと利益の減少だ。 次回以降も正規料金で来る保証はない。割引頼みの集客は、利益率を長期的に蝕む。
美容室こそ「メニュー別の時間単価」を見るべき
カット、カラー、パーマ、トリートメント——メニューによって原価も施術時間もまったく違う。
| メニュー | 平均単価 | 材料原価率 | 施術時間 | 時間あたり売上 |
|---|---|---|---|---|
| カット | 4,500円 | 2% | 45分 | 6,000円/h |
| カラー | 7,000円 | 12% | 90分 | 4,667円/h |
| パーマ | 8,000円 | 10% | 120分 | 4,000円/h |
| トリートメント | 3,500円 | 15% | 30分 | 7,000円/h |
※金額は参考値
注目すべきは「時間あたりの売上」だ。 材料原価率が高くても施術時間が短ければ、時間あたりの売上は高くなる。
トリートメントは原価率15%と一見高いが、施術30分なので時間あたり売上はカラーやパーマを上回る。この視点がなければ「トリートメントは原価が高いから利益が少ない」と誤解してしまう。
今週やること
- メニュー別の「時間あたり売上」を計算する。 各メニューの単価を施術時間で割るだけ。「どのメニューが本当に稼いでいるか」が見える
- カラー剤の使用量を標準化する。 「毛量○gの場合はカラー剤○g」という目安を作って無駄な調合を減らす。月1万円の削減でも年間12万円の利益改善
- メニューごとの原価を見える化する。 KitchenCostのようなアプリなら、材料の配合と単価を登録するだけでメニューごとの原価が自動計算される。材料費が変わったときに「どのメニューの利益率がどう変わったか」がすぐわかる
美容室の経営を圧迫しているのは、材料費ではなく「時間の使い方」と「見えないコスト」だ。
原価率の低さに安心せず、**「1時間あたりいくら稼いでいるか」**を意識するのが、利益を残す第一歩になる。
美容室メニューの時間単価と原価をまとめて管理するなら。KitchenCost を使ってみてください。