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焼き菓子専門店、フィナンシェ1個54円のうち包材が12円——見落とされるコストの正体

焼き菓子は1個の単価が低いからこそ、バター・卵・包材の数円の差が利益に直結する。フィナンシェ、マドレーヌ、クッキーの原価内訳と、利益を残す値付けのポイント。

更新 2026年2月18日
焼き菓子原価計算ベーカリーバター包材コスト
目次

フィナンシェ1個、原価54円。売値220円。原価率27%。

数字だけ見れば悪くない。でも54円の内訳を分解してみると、ちょっと怖くなる。

バター18円、包材12円。この2つだけで原価の55%を占めている。 粉も卵白も砂糖も安い。高いのはバターと袋だ。

焼き菓子は1個の単価が低い。だからこそ、バターが100gあたり10円値上がりしただけで、1個の原価が2〜3円上がる。1日100個作れば月に6,000〜9,000円の利益が消える。

小さな商品ほど、数円のズレが大きく効く。 これが焼き菓子専門店の原価管理の本質だ。

先に結論

  • バター比率は必ずグラム単位で管理する。 目分量は1個3〜5円のブレを生む
  • 包材コストは原価に必ず含める。 フィナンシェ1個の包材12円は原価の22%
  • 焼成ロスは歩留まりで吸収する。 焦げ・割れ・形崩れで3〜8%のロス
  • 定番商品と季節商品で原価率を分ける。 定番は25〜30%、季節は35%まで許容

焼き菓子の原価が崩れる4つのポイント

1. バター比率の変動

焼き菓子の味を決めるのはバターの量。でもバターは食材の中でいちばん高い。2025年の乳製品値上がりで、業務用バターは1kgあたり1,200〜1,500円が目安。フィナンシェ1個あたり15gなら18円。ここを10%減らすと味が変わるし、増やすと原価が跳ねる。

2. 卵サイズの差

卵はS・M・Lで1個あたり5〜10円の差がある。焼き菓子レシピは「卵2個」ではなく「卵100g」で管理しないと、ロットごとにブレる。

3. 包材コストの見落とし

個包装の袋、乾燥剤、シール、リボン。1個あたり8〜15円かかる。ギフト用の箱に入れると20〜30円追加。包材を原価に入れていない店は、利益を過大に見積もっている。

4. 焼成ロスの未反映

焦げ、割れ、形崩れ。クッキーは特に割れやすく、焼成ロスが5〜8%になることも。100個焼いて95個しか売れない——この5個分のコストを原価に含めているかどうかで、利益の見え方が変わる。

商品別の原価内訳

フィナンシェ1個(税抜200円)

項目原価
アーモンドプードル 12g14円
バター 15g18円
卵白 15g8円
砂糖 10g4円
薄力粉 5g2円
包材(個包装+乾燥剤)12円
合計58円

原価率:58 ÷ 200 = 29%

マドレーヌ1個(税抜180円)

項目原価
薄力粉 18g4円
バター 15g18円
卵 20g7円
砂糖 15g6円
ベーキングパウダー1円
レモン皮2円
包材10円
合計48円

原価率:48 ÷ 180 = 27%

クッキー(1袋5枚入り・税抜350円)

項目原価
バター 30g36円
薄力粉 50g10円
砂糖 25g10円
卵 10g4円
バニラ3円
包材(袋+乾燥剤+シール)15円
合計78円

原価率:78 ÷ 350 = 22%

クッキーは焼成ロスが5〜8%出ることを忘れずに。ロス込みの実効原価は82〜84円くらいになる。

バターの価格変動と対策

バターは焼き菓子専門店にとって最大のコストリスクだ。

時期業務用バター 1kgフィナンシェ1個あたり
安定期1,200円18円
高騰期1,500円22.5円
差額+300円/kg+4.5円/個

1日100個で月11,250円、年間13.5万円の差。バターの仕入れ先を複数持っておくか、高騰期はバター比率を変えた商品(パウンドケーキなど)の比率を上げて対策する。

ギフト向け詰め合わせの利益設計

焼き菓子専門店の強みはギフト需要だ。単品で1個200〜350円の商品を、詰め合わせにすると1箱1,500〜3,000円になる。

詰め合わせ例(税抜2,000円)

内容原価
フィナンシェ × 3174円
マドレーヌ × 3144円
クッキー 1袋78円
ギフト箱80円
リボン・台紙30円
合計506円

原価率:506 ÷ 2,000 = 25.3%

ギフト箱に入れるだけで単品合計より客単価が上がり、原価率も下がる。ギフト需要を取りに行く価値がある。

今週やること

  • バター比率をグラム単位で固定し、レシピカードに明記する
  • 卵はサイズ別ではなくグラム管理に変える
  • 包材のサイズ別原価表を作成する(個包装・ギフト箱それぞれ)
  • 焼成ロスを1週間記録して歩留まり率を出す
  • ギフト詰め合わせの原価率を計算する

関連ガイド


焼き菓子のレシピを登録すれば、バター価格が変わった瞬間に全商品の原価が更新されます。包材コストも含めた原価率がひと目でわかる。KitchenCost を使ってみてください。

よくある質問

焼き菓子の原価でいちばん効くのは?

バター比率と包材コストです。フィナンシェ1個54円のうち、バター18円(33%)、包材12円(22%)。単価が低い商品ほど、この2つの影響が大きくなります。

焼き菓子は原価率を高めに設定して良い?

ギフト向けの詰め合わせは原価率35%でも回収できますが、日常用の定番品は25〜30%に抑えないと利益が薄くなります。定番と季節で分けて管理するのが現実的です。

試作ロスは原価に入れる?

新商品の試作コストは別管理にして、定番化が決まったら標準原価に戻します。試作段階で原価に入れると、定番商品の利益が正しく見えなくなるからです。

焼成ロスはどのくらい見るべき?

焼き菓子の焼成ロス(焦げ・割れ・形崩れ)は3〜8%が一般的です。クッキーは割れが出やすく5〜8%、マドレーヌは3〜5%。仕込み量に対して95%の完成率で原価計算しておくのが安全です。

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