「回転率を上げよう」と言われて、ランチの提供スピードを早くした。ピーク帯の回転は確かに上がった。
なのに月末の利益が、前月とほとんど変わらなかった。
その原因は「回転率だけ見ていた」ことにあるかもしれません。
先に結論
- 回転率だけ追うと、忙しいのに利益が薄い店になる。 低粗利商品ばかり回っていては意味がない
- FL比率(食材費+人件費÷売上)を同時に見ることで、赤字時間帯を切り分けられる
- FL比率60%超が続く時間帯は、販促より先にメニュー構成と人員を調整する
- 粗利/人時(1時間あたりの粗利額)を日次で出すと、薄利時間帯が一目でわかる
回転率が高いのに利益が残らない理由
回転率は「1席を1日に何回使えたか」の指標です。数字が高いほど効率的に見えます。
でも落とし穴がある。安いメニューばかり回転が増えると、客数は増えても粗利額が伸びません。
例えば——
| 時間帯 | 回転率 | 客単価 | 売上 | FL比率 |
|---|---|---|---|---|
| ランチ(11〜14時) | 2.5回 | 850円 | 85,000円 | 68% |
| ディナー(17〜21時) | 1.2回 | 2,200円 | 66,000円 | 52% |
ランチのほうが売上は高い。でもFL比率が68%だと、食材費と人件費で売上の7割近くが消えています。ディナーのほうが利益額では勝っている——こういうケースは珍しくありません。
FL比率とは何か
FL比率は「Food(食材費)+ Labor(人件費)」が売上に占める割合です。
FL比率 = (食材費 + 人件費) ÷ 売上
業態によって差はありますが、まず60%以下が目安です。超える週が続いたら、メニューか人員配置のどちらかに問題があります。
2つの数字を同時に見る方法
回転率とFL比率を同じ表に並べるだけで、景色が変わります。
回転率 = 来客数 ÷ 席数
FL比率 = (食材費 + 人件費) ÷ 売上
粗利/人時 = (売上 - 食材費) ÷ 総労働時間
試算例:
売上120,000円、食材費40,000円、人件費34,000円のランチタイム。
- FL比率 = (40,000 + 34,000) ÷ 120,000 = 61.7%
- この時間帯は、回転率を上げるより低粗利メニューの販売比率を変えるほうが先
改善の順番
- 低粗利メニューの販売比率を調整する — メニューブックの配置変更、おすすめの声がけで、粗利の高い商品の注文を増やす
- ピーク帯の人員配置を最適化する — FL比率60%超の時間帯で人員を0.5人減らせるかどうか検証する
- 粗利/人時が低い時間帯の営業判断 — アイドルタイムに利益が出ているか、数字で確認する
背景データ
- 2025年の飲食店倒産は1,002件。過去30年で最多(帝国データバンク、2026-01-13)
- 最低賃金の全国加重平均は1,121円(厚生労働省、2025年度)
- 食料CPIは前年比+6.8%(総務省統計局、2025年平均)
食材費も人件費も上がり続ける中で、回転率だけを追う経営は、足元から利益を削られていくリスクがあります。
今週やること
- 昨日の売上を時間帯別に分けて、回転率とFL比率を同じ表に出す
- FL比率60%を超えている時間帯を特定する
- その時間帯の上位3品の粗利額を確認し、販売構成の改善余地を探す
- 来週も同じ表を作り、1週間の推移を見る
回転率とFL比率を並べて見ると、「忙しいのに利益が薄い」の原因が見えてきます。数字を出すのが面倒なら、KitchenCostでメニューごとの原価率と粗利額をまず出してみてください。どの商品を増やし、どの時間帯を見直すべきかが、数字で判断できるようになります。