決算書を見せてくれた定食屋のオーナーさんが言いました。「ここ、黒字って書いてあるでしょ。でもね、通帳見てよ。全然増えてないんだよ。」
この「黒字なのにお金がない」問題、実はかなり多くの飲食店で起きています。経営が下手なわけではありません。利益と現金の違いを分けて見ていないだけです。
先に要点
- 利益が出ていても、現金が減ることは普通にある
- 原価計算だけでなく、在庫と支払いタイミングも一緒に見る
- 週1回、3つの数字をチェックすれば資金繰りが安定する
いまこの問題が起きやすい理由
2025年の飲食店倒産は1,002件で過去最多(帝国データバンク)。食品値上げは20,609品目。最低賃金は全国加重平均1,121円(厚生労働省)。
仕入れと人件費が上がる局面では、黒字でも手元現金が薄くなる店が増えます。
利益と現金の違い
利益: 売上から経費を引いた「計算上の残り」。帳簿に書かれる数字です。
現金: 今すぐ支払いに使える、通帳やレジの残高。
この2つは同じ動きをしません。利益がプラスでも現金がマイナスということは、構造的に起こり得るわけです。
黒字なのに現金が減る3つの原因
1. 在庫が増えすぎている
食材を仕入れた瞬間に現金は出ていきます。でも、在庫は売れて初めて利益になる。在庫が膨らむほど、帳簿上の利益と手元現金にズレが生まれます。
2. 支払いが先、入金が後
食材費や家賃は月初に払う。でもクレジットカードの入金は月末。このタイムラグで、一時的に手元が薄くなります。
3. 粗利の低い商品が売れすぎている
売上は伸びているのに利益が追いつかない。1食あたりの粗利が薄い商品ばかり売れると、現金の回復が遅れます。
週1回チェックする3つの数字
1食あたり粗利 = 売価 − 1食原価
在庫増減 = 今週末在庫 − 先週末在庫
現金残高差 = 今週末現金 − 先週末現金
具体例
- 週売上: 750,000円
- 週間利益(計算上): +55,000円
- 在庫増加分: +40,000円
- 先払い増加分: +30,000円
手元現金への影響 = 55,000 − 40,000 − 30,000 = −15,000円
帳簿では5.5万円の黒字。でも手元現金は1.5万円減っている。これが「黒字なのにお金がない」の正体です。
今週やれる改善(1つずつ)
売上上位3商品の粗利を再計算する。粗利が薄い商品が売れ筋になっていないか確認しましょう。
在庫を1週間分まで圧縮する。「念のため多めに仕入れる」が在庫膨張の原因です。まず1食材だけでも発注量を見直してみてください。
仕入れ先1社だけ支払い条件を確認する。月末締め翌月払いにできないか交渉するだけでも、資金繰りは楽になります。
今週のチェックリスト
- 1食あたり粗利を上位3品で計算する
- 在庫増減を確認する
- 現金残高差を計算する
- 改善対象を1つに絞る
- 来週の再確認日を決める
まとめ
黒字なのにお金がない。この問題は珍しくありません。利益と現金を分けて見るだけで、対策はかなり明確になります。
まずは今週、3つの数字を並べてみてください。資金繰りの詰まりどころが見えてきますから。
KitchenCostで商品ごとの原価と粗利を管理しておくと、「どの商品が現金を生んでいて、どの商品が現金を食っているか」が分かります。