正直に言うと、「何回まで値上げしていいか」に正解はありません。
でも、正解がないからといって感覚で決めるのは危険です。1回目の値上げ後、数字を見ずに2回目を打って客離れを起こす店もあれば、怖くて上げられずに赤字が膨らむ店もある。
大事なのは回数ではなく、「何を見て、どれだけ間をあけるか」です。
先に要点
- 「年○回まで」と決めるより、21日ごとにデータで再判定する方が安全
- 見るのは客数・1食あたり粗利・来店頻度の3つだけ
- 2回目以降は全商品ではなく、上位2〜3品に絞って調整する
いま再値上げが増えている背景
2025年の食品値上げは20,609品目(帝国データバンク)。飲食店の倒産は1,002件で過去最多でした。最低賃金は全国加重平均1,121円(厚生労働省)。
1回の値上げだけでは追いつかない店が増えています。だからこそ、2回目の打ち方が分かれ目になるわけです。
21日ルールの使い方
ステップ1: まず21日あける
値上げ直後の1週間は、お客さんの反応がブレます。常連さんが「様子見」で来ない週もある。最低21日はデータを取ってから判断しましょう。
ステップ2: 3つだけチェックする
- 客数: 値上げ前と比べて何%減ったか
- 1食あたり粗利: 売価 − 原価で改善したか
- 来店頻度: 同じお客さんが戻ってくる間隔
ステップ3: 次の一手を決める
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 粗利が回復し、客数減が5%以内 | 追加改定は見送り |
| 粗利が回復せず、原価上昇が続く | 対象商品だけ再改定 |
| 客数と来店頻度が同時に悪化 | 値上げ停止。メニュー内容を再設計 |
実例で見てみましょう(定食店の場合)
1回目の改定後: 1,020円、原価430円、週130食
21日後に原価が450円に上昇、客数は週124食に。
現状の週間粗利 = (1,020 - 450) × 124 = 70,680円
目標の週間粗利が75,000円なら、まだ4,320円足りません。
この場合、全メニューを一律に上げるのではなく、売上上位2品だけ+20〜30円の再改定が現実的です。
2回目以降で失敗しやすいポイント
一気に全商品を上げてしまう
お客さんの体感負担が急に重くなります。「よく出る商品」から順番に、小幅で調整する方がダメージは小さいですね。
告知がバラバラになる
店頭の貼り紙、SNS、口頭説明——内容が毎回違うと不信感につながります。短い文面を1つ決めて、全チャネルで統一しましょう。
理由をぼかす
「諸般の事情により」だけでは伝わりません。「食材費と人件費の上昇により」と具体的に書いた方が、お客さんの理解は得やすいです。
そのまま使える告知テンプレート(再改定版)
食材価格の継続的な上昇により、○月○日から一部商品の価格を改定いたします。品質を維持するための判断です。ご理解いただけますと幸いです。
今週のチェックリスト
- 前回の値上げから21日分の客数データを集計する
- 商品別の1食あたり粗利を計算する
- 再改定の対象を上位2〜3品に絞る
- 告知文を1つ作り、店頭・SNS・口頭で統一する
- 次の再判定日をカレンダーに入れる
まとめ
値上げは「何回まで」で考えるのではなく、「何を見て、どれだけ間をあけるか」で決めるものです。
21日ルールで1回分のデータを取り切れば、2回目以降は回数ではなく数字で判断できるようになります。
KitchenCostで商品ごとの粗利を管理しておけば、再改定が必要な商品を数字ですぐに特定できます。