ホットペッパーの掲載料、月3万円。食べログの従量課金、1予約あたり100〜200円。チラシ5,000枚の印刷と配布で2〜3万円——。
新しいお客さんを1人呼ぶのに、いくらかけていますか?
ここで1つ、知っておいてほしい数字がある。
LINEの月間利用者数は約9,900万人。 日本の人口のおよそ8割が使っているアプリだ。
そして、LINEのメッセージ開封率は約60%。メルマガの開封率が10〜30%であることを考えると、読まれる確率が段違いに高い。
つまり、お客さんが「一番よく見ているアプリ」で、しかも「ちゃんと読んでもらえる」方法で、再来店を促せる。それがLINE公式アカウントだ。
しかも、月0円から使える。
「LINEって企業がやるものでしょ?個人の店でも使えるの?」
使える。というより、個人店こそ使うべきだ。 その理由を、この記事で説明する。
先に結論
- LINE公式アカウントは無料プランで十分始められる。 月200通まで0円。友だち100人なら月2回配信できる
- 開封率は約60%。 メルマガの約6倍。「送ったのに読まれない」がほぼ起きない
- 友だち登録は「今日もらえる特典」で増やす。 「次回使えるクーポン」より「今日のドリンク1杯」のほうが登録率が高い
- 配信は月2〜4回。 それ以上はブロックされる。「うるさい」が一番のリスク
- ショップカード(スタンプカード)はLINEに入れる。 紙のカードは50%以上が財布に入れていない
なぜ「LINE」なのか——他のツールとの決定的な違い
「見てもらえる」確率が桁違い
| ツール | 開封率 | リンククリック率 |
|---|---|---|
| LINE公式アカウント | 約60% | 約33% |
| メールマガジン | 約10〜30% | 約1.6% |
| チラシ(ポスティング) | 開封率の概念なし | 反応率0.1〜0.3% |
LINEはメルマガの約6倍の開封率、約20倍のクリック率がある。
簡単に言えば、100人に送って60人が読み、20人がリンクを押す。チラシを5,000枚配って反応するのが5〜15人であることを考えると、コスパの差は歴然だ。
お客さんの「日常」に入れる
メルマガは「わざわざメールアプリを開かないと読めない」。チラシは「たまたまポストに入っていたのを手に取らないと見ない」。
LINEは毎日何十回も開くアプリだ。友達や家族とのやり取りの合間に、あなたの店のメッセージが自然に目に入る。
この「日常の中に入り込める」というのが、LINEの最大の強みだ。
個人飲食店のLINE公式アカウント——0円で始める全手順
ステップ①:アカウントを作る(10分)
LINE公式アカウントの開設は無料で、スマホだけで完結する。
- 「LINE公式アカウント」アプリをApp Store / Google Playからダウンロード
- LINEアカウントでログイン
- 業種で「飲食・レストラン」を選択
- 店名・住所・営業時間を入力
これだけ。10分もかからない。
ステップ②:プロフィールを整える(15分)
開設直後にやるべきことは3つ。
① 基本情報を埋める
| 項目 | 入力内容 | 例 |
|---|---|---|
| アカウント名 | 店名(検索されやすい名前) | 〇〇食堂|渋谷 |
| ステータスメッセージ | ジャンル+特徴(20字以内) | 手作りカレーの専門店 |
| 営業時間 | 曜日ごとの営業時間 | 月〜金 11:00-14:00 / 17:00-21:00 |
| 住所 | 正確な住所(Googleマップ連携) | 東京都渋谷区〇〇… |
② あいさつメッセージを設定する
友だち登録した瞬間に自動で届くメッセージ。ここが最初の印象になる。
良い例: 「〇〇食堂です!登録ありがとうございます🙏 LINE限定でお得な情報をお届けします。
🎁 今すぐ使える特典 このメッセージをレジで見せると、本日のお会計からドリンク1杯サービス!」
ポイントは「すぐ使える特典」を入れること。登録した瞬間に「登録してよかった」と思ってもらえるかどうかが、その後のブロック率に直結する。
③ リッチメニューを設定する
リッチメニューとは、トーク画面の下部に表示されるメニューボタンのこと。
個人飲食店なら、以下の3つのボタンがあれば十分:
| ボタン | リンク先 |
|---|---|
| メニューを見る | メニュー写真 or 食べログのメニューページ |
| 予約する | 予約サイト or 電話番号 |
| 地図・アクセス | Googleマップの店舗リンク |
ステップ③:友だちを増やす仕組みを作る
これが最も重要なステップだ。アカウントを作っただけでは、誰にも届かない。
飲食店のLINE公式アカウントの友だち登録数は**100人未満が56%**という調査結果がある。つまり、半数以上の店が「作ったけど友だちが増えない」状態で止まっている。
友だちを増やすための具体的な方法を3つ紹介する。
方法①:会計時に声をかける(最も効果的)
「LINE登録で、今日のお会計からドリンク1杯サービスしてますよ」
この一言が、最も確実な友だち獲得方法だ。
なぜ「今日のお会計から」が大事なのか?
「次回使えるクーポン」は、お客さんにとって「いつか」の話。でも「今日のお会計から」は今この瞬間の得。人間は「将来の得」より「今の得」に強く反応する。
レジ横にQRコードを印刷したPOPを置いて、スマホで読み取ってもらう。会計の待ち時間にできるので、お客さんの手間もほとんどかからない。
方法②:テーブルにQRコードを置く
メニュー表の裏、テーブルの卓上POP、箸袋の裏——どこか1箇所に、QRコードと「友だち追加で〇〇プレゼント」の文言を入れる。
料理が来るまでの待ち時間に、スマホをいじっているお客さんは多い。その「暇な瞬間」に自然と目に入る場所に置く。
方法③:Instagramから誘導する
Instagramのプロフィールに「LINE登録はこちら」のリンクを入れる。投稿のキャプションに「詳しくはLINE公式アカウントで配信中!」と添える。
SNSで店を知ったお客さんが、LINEにも登録してくれる流れができる。Instagramで新規を集めて、LINEでリピーターにする——この連携が個人飲食店の最強パターンだ。
何を送ればいいのか——配信コンテンツの作り方
友だちが増えたら、次は「何を送るか」。
ここで絶対に避けるべきことがある。「宣伝ばかり送らない」ことだ。
2025年の調査によると、LINE公式アカウントをブロックした理由の1位は**「配信頻度が多すぎる」(26.5%)。そして2位は「内容が自分に関係ない」**。
つまり、お客さんは「多すぎる」か「つまらない」配信をブロックする。
配信コンテンツの3カテゴリ
| カテゴリ | 内容 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| ① お得情報 | クーポン、限定メニュー、タイムセール | 月1〜2回 |
| ② お知らせ | 営業時間変更、臨時休業、年末年始の営業 | 必要に応じて |
| ③ 裏側・親近感 | 仕込みの風景、食材のこだわり、店主の近況 | 月1〜2回 |
大事なのは、①と③のバランス。 お得情報だけだと「クーポンが来るアカウント」に成り下がる。裏側や人柄が見える内容を混ぜることで、「この店主、いいな」「また行きたいな」と思ってもらえる。
反応が良い配信テンプレート
テンプレート①:限定メニューの告知
【今週の金曜限定】
自家製ローストビーフ丼、20食限定。
朝4時に起きて仕込みました。
低温調理で6時間。
切った瞬間の断面、見てほしいです。
> 予約はこちらから
テンプレート②:雨の日クーポン
☔ 雨の日サービス
今日は雨ですね。
こんな日にわざわざ来てくれるお客さんに、感謝の気持ちを込めて。
このメッセージをレジで見せると
▶ 小鉢1品サービス
本日21時まで有効です。
テンプレート③:裏側を見せる(人柄系)
今朝、築地で見つけた秋刀魚。
今年はちょっと小ぶりだけど、脂のノリがすごい。
塩焼きにするか、刺身にするか、
まだ決めてません(笑)
夜のメニューで出しますので、
気になる方は今日の夜、お待ちしてます。
共通のポイント:
- 冒頭2行で内容がわかるようにする(LINEは冒頭が通知に表示される)
- 「いかにも宣伝」の文体を避ける。友人にLINEを送るような自然なトーンで
- 写真を1枚添える(テキストだけより開封後のクリック率が上がる)
配信のタイミングと頻度——「うるさい」は致命的
配信頻度は月2〜4回
ユーザーの**39.2%が「週1回程度が適切」**と回答している(2025年調査)。
個人飲食店なら、以下のペースが現実的:
| プラン | 月額 | 月の配信通数 | 友だち100人の場合 |
|---|---|---|---|
| コミュニケーション(無料) | 0円 | 200通 | 月2回配信できる |
| ライト | 5,000円(税別) | 5,000通 | 月50回配信できる(実質無制限) |
| スタンダード | 15,000円(税別) | 30,000通 | 大規模チェーン向け |
友だちが200人以下なら、無料プランで十分。 200人を超えたら、月5,000円のライトプランに切り替える。月5,000円で5,000通送れるので、友だち500人に月10回配信してもお釣りが来る。
配信時間帯のベストタイミング
| 目的 | おすすめの配信時間 | 理由 |
|---|---|---|
| ランチ集客 | 火曜〜金曜の10:30〜11:00 | 「今日のランチどうしよう?」と考え始める時間帯 |
| ディナー集客 | 火曜〜金曜の15:00〜16:00 | 仕事の合間に「今日の夜どうする?」と考える時間帯 |
| 週末集客 | 木曜〜金曜の12:00〜13:00 | 週末の予定を立て始めるタイミング |
避けるべき時間帯:
- 朝8時前(通勤中で見ない)
- 深夜22時以降(迷惑)
- 月曜の午前中(仕事モードで飲食店の情報に興味が薄い)
ショップカード——紙のスタンプカードはもう古い
LINE公式アカウントには無料のショップカード(デジタルスタンプカード)機能がある。
紙のスタンプカードの3つの問題
- 持ってこない。 財布に入れているお客さんは半数以下
- なくす。 途中でカードをなくしてモチベーションが消える
- データが取れない。 誰が何回来たかを把握できない
LINEのショップカードなら、スマホに入っているから忘れようがない。しかも、お店側で「誰が何ポイント貯めているか」のデータが見える。
設定のコツ
| 設定項目 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| ゴールまでのスタンプ数 | 5〜8回 | 20回は遠すぎて途中で離脱する |
| 中間特典 | 3回目で小鉢サービス | 「あと2回で特典」はモチベーションになる |
| 最終特典 | メインディッシュ1品無料 or 会計10%OFF | 「これを目指して通おう」と思える価値 |
| 特典の選択肢 | 「ドリンク1杯 or デザート1品」から選べる | 選べる楽しさが満足度を上げる |
ポイント付与のタイミング: 会計時にお客さんのスマホでQRコードを読み取ってもらう。「スタンプ貯まってますよ」の一言が、次の来店動機になる。
ブロックされないための5つのルール
LINE公式アカウントの平均ブロック率は約20〜30%。つまり、友だち100人のうち20〜30人は、いつかブロックする。
これはゼロにはできない。でも、ブロック率を下げる工夫はできる。
ルール①:配信頻度は月4回まで
ブロック理由の1位は「配信が多すぎる」。月2〜4回を厳守する。
ルール②:「売り込み」だけの配信をしない
「今週のクーポン」「今日のセール」——こういう配信だけだと、お客さんは「広告アカウント」と認識する。裏側の話、食材の紹介、店主の人柄が見えるメッセージを混ぜる。
ルール③:冒頭2行で価値を伝える
LINEの通知画面には最初の2行しか表示されない。ここで「読む価値がある」と思わせないと、開封されないまま埋もれる。
❌ 悪い例: 「いつもご来店ありがとうございます。さて、本日は…」 ✅ 良い例: 「【金曜限定】ローストビーフ丼、今週もやります。20食限定。」
ルール④:登録直後に価値を提供する
あいさつメッセージで「今すぐ使える特典」を届ける。登録した瞬間に「入ってよかった」と思ってもらうことが、長期的なブロック率を下げる最大のコツ。
ルール⑤:ブロックされても気にしすぎない
ブロック率20〜30%は業界の平均であって、「あなたの店が悪い」わけではない。100人中70人が読み続けてくれるなら、十分に効果がある。
よくある失敗パターン
失敗①:アカウントを作ったまま放置する
最も多い失敗。開設して満足し、1ヶ月以上何も配信しない。
お客さんは2週間以上音沙汰がないアカウントの存在を忘れる。そして、忘れた頃に配信が来ると「なにこれ?」とブロックする。
開設したら、最低でも月2回は配信する。「ネタがない」なら、仕込みの写真1枚に「今日も頑張ってます」と書いて送るだけでいい。
失敗②:「次回使えるクーポン」しか送らない
クーポンは有効だが、それだけだと**「クーポンが来たときだけ行く客」**しか来なくなる。
値引きなしでも「行きたい」と思ってもらうために、料理の裏側、食材へのこだわり、店主の人となりが伝わるメッセージを送る。
失敗③:全員に同じメッセージを送り続ける
LINE公式アカウントにはセグメント配信(対象を絞って配信する機能)がある。友だちの属性(性別、年代、エリア)でメッセージを出し分けることで、「自分に関係ある情報が来る」と感じてもらえる。
ただし、個人店で友だちが200人以下なら、まずは全体配信で十分。セグメント配信は友だちが300人を超えてから考えればいい。
失敗④:既読数だけを見ている
「200人に送って120人が既読。でも、来店につながっているかわからない」
これを解決するのがクーポンの利用数を追跡することだ。LINE公式アカウントでは、配信したクーポンの使用数を管理画面で確認できる。
「何人に送って、何人が読んで、何人がクーポンを使ったか」——この流れを見ることで、配信の効果が数字でわかる。
成功事例に学ぶ
事例①:ごちそう村(関西の和食チェーン)
ハガキDMからLINE公式アカウントに切り替えた結果、売上効果が約14倍に増加。LINEから予約できる仕組みを導入したところ、1年後には全体の予約の約30%がLINE経由に。友だち数は約8万人に達した。
ポイントは、DMのコストを削減しながら、到達率と開封率が大幅に上がったこと。
事例②:大手焼肉チェーン
友だち数45万人を突破。年間約10万人がLINE経由で来店。再来店率は目標の2.3倍を達成し、LINE限定クーポンの利用数も前年比1.5倍に増加。
「うちは個人店だから、チェーンの真似はできない」
そう思うかもしれない。でも、チェーン店の事例から学べることは1つ。
**「LINEは、やれば数字に出る」**ということだ。
個人店なら友だち100人でも十分。100人のうち60人がメッセージを読んで、そのうち10人が「今週行こうかな」と思ってくれたら、週に10人の再来店。月に換算すれば40人。グルメサイトに月3万円払うより、よほど確実だ。
InstagramとLINEの連携——最強の集客サイクル
Instagramは「新しいお客さんに見つけてもらう」ためのツール。LINEは「来てくれたお客さんにもう一度来てもらう」ためのツール。
この2つを連携させると、こうなる:
Instagram(リールで新規に見つけてもらう)
↓
来店(料理を食べてもらう)
↓
LINE登録(会計時にQRコードで)
↓
LINE配信(月2〜4回、再来店を促す)
↓
再来店(常連になってもらう)
↓
UGC(常連さんがInstagramに投稿 → 新しいお客さんが見つけてくれる)
↓
最初に戻る
この循環が回り始めると、広告費をかけなくても自然にお客さんが増えていく。
Instagramの具体的な運用方法は別記事で詳しく解説しているので、そちらも参考にしてほしい。
今週やることチェックリスト
- LINE公式アカウントのアプリをダウンロードする(まだの場合)
- アカウントを開設して、店名・住所・営業時間を入力する
- あいさつメッセージを設定する(「今すぐ使える特典」を入れる)
- レジ横にQRコードのPOPを設置する
- スタッフに「会計時にLINE登録を案内する」と共有する
- 1通目の配信を作って、送ってみる(仕込みの写真+一言でOK)
全部やらなくていい。まずはアカウントを作って、QRコードをレジに置くだけ。 それだけで、来週から友だちが増え始める。
「サービスしたい」を数字で判断できるようにする
LINE公式アカウントで常連を増やしていくと、「この常連さんにデザートをサービスしたい」「スタンプカードの特典をもう少し豪華にしたい」——そういう場面が出てくる。
でも、その特典の原価がいくらで、月にいくらかかるのか? これが把握できていないと、サービスのしすぎで利益を削ってしまう。
KitchenCostは、レシピごとの原価と利益を自動計算するアプリだ。「このデザートの原価は80円。1日5人にサービスしたら月12,000円」——こういう判断が、感覚ではなく数字でできるようになる。
常連さんへの「ちょうどいいサービス」は、原価を知っているからこそできること。
出典・参考:
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 飲食店の活用事例」
- LINEヤフー「LINE公式アカウント料金プラン」(2026年時点)
- Mico「飲食店のLINE公式アカウントの集客活用方法:成功事例と合わせて紹介」
- F-Media「売上10倍以上の実績も!飲食店のLINE公式アカウント活用事例から学ぶ集客の秘訣」
- Retty「飲食店のLINE公式アカウント活用調査」(2025年)
- Ligla「LINE配信のベストな頻度:効果アップとブロック率低下」(2025年)
- MARKELINK「飲食店がLINE集客!メリットや主要機能、ポイントを解説」