ブログ

飲食店の廃棄ロス、月いくら捨てていますか?——原価率を2〜3%下げる「捨てない仕組み」の作り方

飲食店の食材廃棄は売上の3〜5%。年間で数十万円が「ゴミ箱行き」になっている計算です。先入先出・仕込み量管理・メニュー設計の3本柱で廃棄ロスを減らす具体策を解説。

飲食店廃棄ロスフードロス食品ロス原価率在庫管理コスト削減2026
目次

先月、冷蔵庫から何を捨てましたか?

使い切れなかった野菜。日付が過ぎた肉。半端に余ったソース。仕込みすぎたスープ。

「飲食店だからある程度のロスは仕方ない」——多くのオーナーがそう思っています。

でも、その「仕方ない」の金額を、実際に計算したことはありますか?

まず、数字を見てみましょう

一般的な飲食店の**食材ロス率は3〜5%**と言われています。

これだけ聞くと大したことないように思えます。でも——

月商仕入れ額(原価率30%)ロス率3%ロス率5%
150万円45万円1.35万円/月2.25万円/月
200万円60万円1.8万円/月3万円/月
300万円90万円2.7万円/月4.5万円/月

月商200万円の店で、ロス率5%なら年間36万円が「ゴミ箱に入っている」計算です。

しかもこの36万円は、売上ではなく利益から消えるお金。利益率10%の店なら、36万円を稼ぐには360万円の売上が必要。つまり、廃棄ロスを減らすことは、売上を増やすよりもはるかに効率の良い利益改善策です。

さらに、捨てるのにもお金がかかります。事業系ゴミの処理費用は地域にもよりますが、東京都内では1kgあたり15〜40円。生ごみは水分が多くて重いので、「買ったお金+捨てるお金」のダブルパンチです。

日本の外食産業全体の数字

ここで日本全体の規模も見ておきましょう。

環境省の令和5年度推計によると——

  • 日本の食品ロス:年間約464万トン
  • うち事業系:約231万トン
  • うち外食産業:約60万トン

2030年度までに2000年度比で半減するという国の目標は、事業系については前倒しで達成しています。それでも外食産業だけで年間60万トン

「うちの店はそんなに捨ててない」と思うかもしれません。でも、毎日の少しずつの廃棄が、1年で積もるとかなりの金額になります。

廃棄ロスはどこで発生しているのか

ロスを減らすには、まずどこで発生しているかを知ることが必要です。

飲食店の廃棄ロスは、大きく分けて3つの場所で起きています。

①仕入れ段階のロス——買いすぎ

  • 「安いから多めに買っておこう」→ 使い切れずに廃棄
  • 発注単位が大きすぎて、半分余る
  • 週末を見越して多めに仕入れたのに、雨で客足が減った

②仕込み段階のロス——作りすぎ

  • 「足りないと困るから、多めに仕込んでおこう」→ 翌日に持ち越し → 結局捨てる
  • ソースやスープを大鍋で仕込んだが、半分しか使わなかった
  • 下処理で切り落とした部分を捨てている(野菜の皮、魚のアラなど)

③提供・食べ残しのロス

  • 盛りつけ量が多くて食べ残される
  • 注文されなかったメニューの食材が余る
  • 閉店間際の仕込み分が丸ごと廃棄

多くの店では、②の仕込み段階が一番大きなロスの原因です。

廃棄ロスを減らす「3つの仕組み」

仕組み1:先入先出(FIFO)を徹底する

「先入先出」とは、先に仕入れた食材から先に使うという、シンプルだけど最も効果的なルール。

やり方は簡単です。

  1. 新しい食材は棚や冷蔵庫の奥に入れる。古い食材を手前に出す
  2. すべての食材に「日付ラベル」を貼る(マスキングテープとマジックで十分)
  3. 仕込んだものにも日付を書く(「3/3仕込み」のように)

「当たり前のこと」と思うかもしれません。でも実際にやっている店は意外と少ない。

特に忙しい時間帯は、手前にある新しい食材から使ってしまいがち。そうすると奥の古い食材がずっと残って、気づいたときには使えなくなっている

日付ラベル1枚で防げるロスがあります。今日から始められる、最もコスパの良い対策です。

仕組み2:仕込み量を「曜日別」で管理する

多くの店が「だいたいこれくらい」の感覚で仕込みをしています。でも——

  • 月曜と金曜では来客数が違う
  • 雨の日と晴れの日でも違う
  • 給料日の週とそうでない週でも違う

仕込み量を曜日別に記録してみてください。 2〜3週間分のデータがあれば、パターンが見えてきます。

曜日平均来客数仕込み量の目安
月〜水30人基本量の80%
40人基本量の100%
55人基本量の120%
60人基本量の130%
45人基本量の100%

感覚ではなく、数字で仕込み量を決める。 これだけで仕込みすぎが大幅に減ります。

天気予報も見る

単純な話ですが、雨の予報の日は仕込み量を10〜20%減らす。 逆に、近くのイベントがある日は増やす。

これを「そんなの当然やってる」と思う方もいるかもしれません。でも、それを毎回、定量的に調整している店はどれだけあるでしょうか。

仕組み3:メニューを「食材効率」で見直す

メニュー数が多い店ほど、食材ロスが発生しやすくなります。理由は単純で、たくさんの種類の食材をストックする必要があるから。

特に問題になるのが——

  • 特定のメニューにしか使わない食材(月に数回しか出ないメニュー専用のソースや食材)
  • 生鮮品を使うメニューで注文頻度が低いもの(刺身、フルーツ系デザートなど)
  • 仕込みに時間がかかるのに注文が少ないメニュー

「食材の重複率」をチェックする

メニュー全体を見て、同じ食材を複数のメニューで使い回せているかを確認しましょう。

例えば——

  • トマトソースが3つのメニューで使われている → ◎ 効率が良い
  • バジルソースが1つのメニューだけ → △ 廃棄リスクが高い
  • 生ハムが1つの前菜だけ → △ 期限切れになりやすい

食材の重複率が高いほど、仕入れロットが安定し、使い切れる確率が上がります。

実践的な判断基準

各メニューについて、こう考えてみてください。

  1. 週に何食出るか? → 5食未満なら「食材が余るリスク」がある
  2. そのメニュー専用の食材があるか? → あるなら「期限限定メニュー」への変更を検討
  3. 他のメニューに転用できるか? → できないなら廃棄リスクが高い

出ない料理を「いつか出るかも」と残し続けると、その食材のロスコストがじわじわと利益を削ります。

「捨てる前にできること」リスト

完全にロスをゼロにするのは現実的ではありません。でも、**「捨てる前にもう一つ手を打てないか」**を考える習慣をつけると、ロスは確実に減ります。

状況よくある対応ロスを減らす対応
野菜の端材が余った捨てる賄いに使う、スープのだしにする
仕込みすぎたソース翌日に使い回すが結局余る冷凍保存して別の日に使う
閉店間際のパン捨てる翌日のランチメニューに転用
注文が少ないメニューの食材期限切れまで冷蔵庫に日替わりメニューで優先的に使う
魚のアラ、野菜の皮捨てるだし・スープの材料にする

「賄い転用」と「冷凍保存」だけでも、ロスは目に見えて減ります。

ハーフサイズ・少量メニューの効果

食べ残しによるロスを減らすには、お客さんが量を選べるようにするのが有効です。

  • ハーフサイズの導入
  • 小盛りオプション
  • 「ちょい盛り」「大盛り」の選択制

「量を減らしたら売上が減る」と心配する方もいますが、実際には——

  • ハーフサイズがあることで注文品数が増える(「もう1品いけるかも」)
  • 食べ残しが減ることで食材コストが下がる
  • お客さんの満足度が上がる(「残してしまった…」というネガティブ感情がない)

結果として、客単価は変わらないか、むしろ上がるケースが多いです。

廃棄の「見える化」から始めよう

最も大事なのは、廃棄の記録をつけることです。

記録がなければ、何が問題かもわからない。まずは1週間、こんなフォーマットでメモしてみてください。

日付食材名理由推定金額
3/3レタス2株変色400円
3/3鶏肉500g期限切れ600円
3/4トマトソース1L仕込みすぎ300円

1週間の記録が集まれば、**「何が、なぜ、いくら分捨てられているか」**が見えてきます。

「レタスが毎週余る」なら仕入れ量を減らせばいい。「鶏肉が期限切れになる」なら先入先出を徹底すればいい。「ソースが余る」なら仕込み量を調整すればいい。

記録なしに「もったいない」と思っていても、何も変わりません。

原価管理とロス削減はセットで考える

食材の廃棄ロスは、原価計算に直結します。

レシピ上の原価率が30%でも、実際にロス率5%で食材を捨てていたら、**実質の原価率は31.5%**です。この1.5%の差が、月の利益を数万円変えます。

KitchenCostでレシピごとの原価を管理しておけば、「理論原価(レシピ通りのコスト)」と「実際原価(仕入れ額ベース)」のギャップが見えるようになります。このギャップがロスの大きさを教えてくれます。

今週やることチェックリスト

  • 1週間の廃棄記録をつけてみる(食材名・量・理由・金額)
  • 冷蔵庫の食材に日付ラベルを貼る(マスキングテープでOK)
  • 先入先出のルールをスタッフと共有する
  • 曜日ごとの来客数を2〜3週間記録する
  • メニュー表を見て「週5食未満」のメニューをリストアップする
  • そのメニュー専用の食材がないかチェックする
  • 端材の転用方法を1つでも考える(スープのだし、賄い、日替わりなど)

出典・参考:

  • 環境省「令和5年度 食品ロスの発生量の推計値」
  • 農林水産省「外食における食品ロス対策」
  • 農林水産省「事業系食品ロス量(2023年推計値)」
  • TRN飲食店経営サービス「食品ロスの原因や対策とは?」
  • 飲食店ドットコム ジャーナル「フードロス問題と利益改善」
  • NEC「飲食店における食品ロスの原因と対策」
  • table source「世界の食品ロス削減アイデア8選」
  • 環境のミカタ「飲食店のゴミ定期回収の費用相場」

よくある質問

飲食店の食材廃棄率はどのくらいですか?

一般的な飲食店の食材ロス率は3〜5%と言われています。月商200万円で原価率30%の店なら、月60万円の仕入れに対して1.8〜3万円分が廃棄されている計算です。年間にすると22〜36万円。これは「利益から直接消える金額」です。

日本全体で外食産業のフードロスはどのくらいですか?

環境省の令和5年度推計によると、日本の食品ロスは年間約464万トン。そのうち事業系が約231万トンで、外食産業は約60万トンを占めています。飲食店1軒あたりに換算すると、年間で相当な量の食材が無駄になっています。

フードロスを減らすと原価率はどれくらい下がりますか?

ロス率を5%から2%に下げるだけで、原価率は約1〜3%改善します。月商200万円の店なら月2〜6万円の利益増加。年間では24〜72万円の違いです。特別な投資は不要で、仕組みを整えるだけで効果が出ます。

食品ロス削減のために、まず何から始めればいいですか?

最初にやるべきことは「廃棄の記録」です。1週間でいいので、何をどれだけ捨てたかをメモしてください。記録があれば、どの食材が無駄になっているかが見えます。その次に、先入先出(古い食材から使う)の徹底と、曜日別の仕込み量の見直しに取り組みましょう。

今すぐ原価を計算してみましょう

材料単価を入力するだけで、レシピ原価・利益率・販売価格を自動計算します。