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価格転嫁率53.5%時代の値上げ判断: 小さな店のための実務ガイド

原価高騰をどこまで価格に反映するか迷う事業者向け。価格転嫁率データを使って、値上げ幅と実施順を決める方法を解説。

公開 2026年2月14日
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目次

「値上げしないと赤字。でも、値上げすると客離れが怖い。」

これが、2026年の小さな店のリアルです。

中小企業庁の2025年9月調査では、価格転嫁率は53.5%。
つまりコスト増の約半分しか価格に反映できていません。

まず数字を共有

  • 全体: 53.5%
  • 原材料費: 55.0%
  • 労務費: 50.0%
  • エネルギーコスト: 48.9%

労務費と光熱費が特に重いのに、転嫁は難しい。
だから「気合いで我慢」ではなく、順番を決めた値上げが必要です。

値上げ幅はこの式で決める

必要値上げ率 = (追加コスト ÷ 現在売価) ÷ 目標利益率補正

実務では、もっとシンプルに次を使えば十分です。

新売価 = (現原価 + 追加コスト) ÷ (1 - 目標利益率)

例: カレー定食(売価680円)

  • 現原価: 560円
  • 追加コスト(原料+人件費+光熱費按分): 42円
  • 目標利益率: 15%
新売価 = (560 + 42) ÷ 0.85 = 708.2円

このケースだと、現行680円では利益目標に届きません。
一気に上げにくい場合は、2段階で調整します。

2段階改定の型

第1段階(今月)

  • 低粗利商品のみ +20〜40円
  • 高粗利商品は据え置き

第2段階(翌月)

  • 売れ行きと粗利を見て +10〜30円
  • セット構成で客単価を補正

この順番だと、急激な反発を抑えやすいです。

告知テンプレ(そのまま使える)

原材料・光熱費の上昇に伴い、○月○日より一部商品の価格を改定いたします。
品質維持のための見直しとなります。ご理解のほどお願いいたします。

ポイントは3つだけです。
理由、対象、開始日。感情的な表現は不要です。

今週やること

  • 上位10商品の追加コストを算出
  • 低粗利順に改定候補を並べる
  • 2段階の改定スケジュールを作る
  • 告知文を1段落で固定化
  • 改定後2週間の粗利を追跡

参考

よくある質問

いま値上げしても受け入れられますか?

一律値上げより、原価インパクトの大きい商品から段階的に実施する方が受け入れられやすい傾向があります。

価格転嫁率53.5%は何を意味しますか?

コスト増のうち、価格に反映できている割合が平均53.5%という意味です。残りは自社負担になりやすい状態です。

原材料費以外も転嫁が難しいですか?

中小企業庁の調査では、労務費50.0%、エネルギーコスト48.9%と、原材料費より転嫁が難しい結果です。

値上げ告知はどう書けばいいですか?

理由・対象・開始日を短く示すのが基本です。長文より1段落で明確に伝える方が実務で機能します。

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