「席の回転を速くすれば、もっと稼げるはず」——
そう思って、ランチタイムの提供スピードを上げて、待ち時間を減らして、テイクアウトも始めた。
客数は確かに増えた。でも月末に数字を見たら、利益はほとんど変わっていない。
回転率を上げても利益が増えない。 実はこれ、よくある話なんです。
先に結論
- 回転率だけ追うと、客数は増えても利益は変わらない
- 回転率・粗利額・時間帯人件費率の3つをセットで見る
- 改善は「利益が薄い時間帯」から手をつける
なぜ回転率だけでは足りないのか
回転率は「席がどれだけ使われたか」を示す数字です。
回転率 = 来店組数 ÷ 席数
たとえば20席の店で、ランチに60組来れば回転率3.0。これ自体は良い数字です。
でも、60組のうち半分がワンドリンクだけだったら? 回転率3.0でも、客単価が下がって売上は伸びない。しかも60組を回すために追加でアルバイトを入れていたら、人件費が上がって利益は減る。
回転率は「忙しさの指標」であって、「利益の指標」ではない。 ここを混同すると、がんばっているのに報われない状態になります。
まず見る3つの数字
1)回転率
回転率 = 来店組数 ÷ 席数
まずは時間帯別に出します。ランチ・アイドルタイム・ディナーで分けると、どの時間帯が「回っている」のかが見えます。
2)時間帯別の粗利額
時間帯粗利 = 時間帯売上 - 時間帯食材費
回転率が高くても、その時間帯で注文されるメニューの粗利が低ければ利益は残りません。ランチの回転率が3.0でも、原価率40%のメニューばかり出ていたら粗利は薄い。
3)時間帯別の人件費率
時間帯人件費率 = 時間帯人件費 ÷ 時間帯売上 × 100
回転率を上げるために人を増やすと、人件費率が跳ね上がります。最低賃金は全国加重平均1,121円(厚生労働省)。1時間追加するだけで、月26日なら約29,000円のコスト増です。
よくある3つの落とし穴
1)値引きで客数を増やす
ランチを100円引きにして客数が1.3倍に増えた。でも粗利は1品あたり100円減。
改善前: 50組 × 粗利500円 = 25,000円
改善後: 65組 × 粗利400円 = 26,000円
15組増やして、粗利は1,000円しか増えていない。しかも15組分の追加オペレーションコストを考えると、実質マイナスです。
2)追加人員で回転を速くする
ピーク時間にアルバイトを1人追加。1日4時間×1,121円×26日=約116,000円/月。この追加コストを上回る利益が出ていなければ、回転率は上がっても利益は減ります。
3)高粗利メニューが埋もれる
回転率を上げようとしてメニュー数を増やした結果、原価率が低くて粗利が大きいメニューが埋もれてしまう。注文が分散して、稼ぎ頭のメニューの出数が減る。
改善の正しい順番
- 時間帯別の売上・粗利・人件費を出す(まず現状を見える化)
- 「回転率は高いのに粗利が薄い」時間帯を特定する
- その時間帯のメニュー構成と人員配置を見直す
いきなり「もっと速く回そう」ではなく、「どの時間帯の、何が問題なのか」を先に特定する。 これだけで施策の精度がまるで違います。
今週やること
- 時間帯別の来客数を出す(ランチ・アイドル・ディナー)
- 各時間帯の売上上位3品の原価率と粗利額を確認する
- 各時間帯のシフト人件費を計算する
- 「客数は多いのに利益が薄い」時間帯を1つ特定する
回転率の改善は、「速く回す」ことではなく「利益が残る回し方にする」ことです。まず数字を見てからでも遅くありません。
メニューごとの粗利額を一覧で見るなら。KitchenCostにレシピを登録すると、どのメニューで利益が出ていて、どのメニューが足を引っ張っているかが一目でわかります。