「米を替えたい。でも常連さんが離れたら怖い。」
この相談、2026年はかなり増えています。 実際、米の高騰は“感覚”ではなく、数字で重くなっています。
先に結論
- 米銘柄の見直しは、全面変更より「一部メニューで2週間テスト」が安全です。
- 計算はシンプルです。
1杯あたり差額だけ先に出せば判断できます。 - 味ブレ対策と告知をセットでやると、客離れリスクを下げられます。
2026年に先送りしにくい理由
- 帝国データバンク調査では、2026年2月の飲食料品値上げは674品目、平均値上げ率は16%。
- 同社調査では、2025年の飲食店倒産は900件で過去最多。
- 飲食店の価格転嫁率(上がったコストを価格に反映できた割合)は**32.3%で、全業種平均39.4%**を下回ります。
つまり、コスト増を値上げだけで吸収しにくい店が多い、ということです。
現場の痛み(コミュニティ調査)
飲食店ドットコム Foodist の調査では、 食材費高騰で最も影響が大きい食材として**55.7%が「米」**を選びました。
さらに、90.8%が前年同月より仕入れ総額が上昇、 そのうち66.7%は11%以上の上昇と回答しています。
自由回答でも、 「品質は落としたくないが、会計が上がると来店頻度が下がるのが怖い」 という悩みが目立ちます。
用語を1つだけ
銘柄変更 は、
いつもの米の種類を、別の銘柄へ切り替えることです。
難しい会計の話ではありません。 仕入れ単価と1杯あたり使用量を合わせるだけです。
5分でできる原価計算
1g単価 = 仕入れ価格 ÷ 内容量(g)
1杯あたり差額 = (現在米の1g単価 - 候補米の1g単価) × 1杯の生米g
月間改善額 = 1杯あたり差額 × 月間販売杯数
例(定食店)
- 現在米: 10kg 8,200円
- 候補米: 10kg 7,100円
- 1杯の生米使用量: 70g
- 月間販売杯数: 3,800杯
現在米の1g単価 = 8,200 ÷ 10,000 = 0.82円
候補米の1g単価 = 7,100 ÷ 10,000 = 0.71円
1杯あたり差額 = (0.82 - 0.71) × 70 = 7.7円
月間改善額 = 7.7 × 3,800 = 29,260円
1杯で見ると小さく見えますが、 月で見ると約3万円の差になります。
客離れを防ぐ3ステップ
1) 全面変更しない
まずは、ランチ主力1〜2メニューだけで試します。 「全部いっぺんに」は、失敗したときの戻しコストが重くなります。
2) 炊き方を固定する
- 浸水時間
- 水加減
- 保温時間
この3つを固定します。 米を替えたのか、炊き方がブレたのかを分けて見るためです。
3) 14日で数字を確認する
- クレーム件数
- ご飯残し率(残飯量)
- 粗利額
この3つを見て、続行か再調整かを決めます。
告知は短くで十分
いつもありがとうございます。
原材料価格の上昇に伴い、品質を維持するため
ご飯の使用銘柄を見直しました。
今後も味の安定と改善を続けます。
長文より、 「理由・何を変えたか・方針」の3点が伝わる方が安心されます。
今週やること
- 現在米と候補米の1g単価を出す
- 1杯あたり差額を計算する
- 主力1〜2メニューで2週間テストする
- クレーム件数と残し率を毎日メモする
- 14日後に続行/再調整を決める
まとめ
米銘柄変更は、 「味」か「原価」かの二択ではありません。
小さく試して、数字で判断して、短く伝える。 この順番なら、原価を守りながら常連さんへの負担も減らせます。