ブログ

売上は月200万あるのに、月末に通帳を見ると10万円しかない──飲食店の「お金が残らない」問題

売上はあるのにお金が残らない。個人飲食店オーナーの最大の悩み。原因は「売上=利益」ではないこと、そしてキャッシュレス決済の入金タイムラグ。運転資金は月の固定費の3〜6ヶ月分が目安。手元資金がショートする前にやるべき資金繰り管理の方法と、いざという時の融資先を解説。

飲食店運転資金資金繰りキャッシュフロー手元資金個人店融資2026年
目次

通帳残高が10万円を切った夜

月商200万円。昼も夜もそこそこ忙しい。

でも月末に通帳を見ると、残高10万円。

「あれ? 200万円売り上げたはずなのに……」

来月の家賃25万円、仕入れの支払い70万円、アルバイトの給料30万円。合計125万円の支払いが迫っている。

手元に10万円。115万円足りない。

これは珍しい話ではない。個人飲食店の「黒字倒産」はここから始まる。


なぜ売上があるのにお金がないのか?

原因1: 売上 ≠ 手元のお金

月商200万円の内訳を見てみよう。

項目金額割合
食材費60万円30%
人件費50万円25%
家賃25万円12.5%
光熱費12万円6%
リース料5万円2.5%
保険・雑費8万円4%
固定費合計160万円80%
手元に残る利益40万円20%

200万円売り上げても、手元に残るのは40万円。ここから税金と社会保険料が引かれる。

原因2: キャッシュレス決済のタイムラグ

売上の40%がキャッシュレス決済だとする。200万円 × 40% = 80万円が「まだ入金されていない売上」

決済サービス入金サイクル
Square翌営業日
Airペイ月6回
PayPay月2回(翌月10日・25日)
食べログPay月2回
クレジットカード(一般)月末締め翌月末払い

最悪のケースでは、今月の売上の入金が来月末。 その間、仕入れの支払いと家賃は待ってくれない。

原因3: 仕入れと支払いのズレ

月末に大量に仕入れた食材の支払いが翌月10日に来る。でも、その食材を使って売上になるのは翌月中。お金が出るタイミングと入るタイミングがズレている。


運転資金の目安──「固定費の何ヶ月分」を持つべきか

経営状況必要な運転資金計算例(固定費150万円/月)
開業1年目固定費の6ヶ月分900万円
2年目以降(安定期)固定費の3〜4ヶ月分450〜600万円
閑散期あり固定費の4〜5ヶ月分600〜750万円
キャッシュレス比率50%超上記+1ヶ月分上乗せ+150万円

最低ラインは「固定費の3ヶ月分」。 これを下回ったら、資金調達を検討すべきサイン。


資金繰り表を作る──15分でできる

難しいExcelは不要。以下のシンプルな表を毎月1回更新するだけで、3ヶ月先の資金ショートを予測できる。

項目今月来月再来月
月初の手元資金100万円??
+ 現金売上120万円
+ キャッシュレス入金70万円
+ その他入金0円
入金合計190万円
= 合計290万円
− 仕入れ支払い65万円
− 人件費50万円
− 家賃25万円
− 光熱費12万円
− その他支払い13万円
支出合計165万円
月末の手元資金125万円

来月の「月初の手元資金」に125万円を入れ、同じように計算する。 3ヶ月先まで計算すれば、いつ資金がショートしそうかがわかる。

ショートしそうな月がわかれば、その2ヶ月前に動ける。 これが資金繰り管理の核心。


キャッシュレスの入金タイムラグを縮める

対策効果
Squareに切り替え翌営業日入金。タイムラグほぼゼロ
入金サイクルが多いサービスを選ぶ月2回→月6回で資金回転が改善
早期入金オプションを使う手数料0.5〜1%で即日入金できるサービスあり
現金比率を維持完全キャッシュレスにせず、現金売上で日々の支払いをカバー

決済サービスの入金サイクルを比較して選ぶだけで、手元資金の状況が大幅に改善する。


資金が足りなくなったときの調達先

調達先金利特徴
日本政策金融公庫年1〜3%飲食店への融資実績豊富。無担保枠あり
マル経融資(経営改善貸付)年1.2%前後商工会議所経由。無担保・無保証人。最大2,000万円
信用金庫年2〜4%地域密着。小規模事業者にも融通が利く
信用保証協会付き融資年1.5〜3%保証料がかかるが、融資を受けやすい
消費者金融・カードローン年15〜18%絶対に使ってはいけない

消費者金融だけは絶対に手を出さないこと。 年利15〜18%は、100万円借りたら1年で15〜18万円の利息。これが経営を圧迫し、返済のための借入(多重債務)に陥る。

融資を受けるタイミング

資金がショートする「前」に動く。

  • ❌ 通帳残高が10万円になってから慌てて銀行に行く → 審査に落ちやすい
  • ✅ 3ヶ月先の資金繰り表を見て、ショートしそうなら今すぐ相談 → 余裕を持って審査を受けられる

融資の審査には2週間〜1ヶ月かかる。ギリギリでは間に合わない。


お金が残る店にするための5つの習慣

1. 毎週金曜に通帳残高を確認する

月1回ではなく、週1回。「今いくらあるか」を常に把握する。

2. 資金繰り表を毎月更新する

上の表を月初に15分で更新。3ヶ月先までの予測を常に持つ。

3. 固定費を年1回見直す

家賃交渉、保険の見直し、電力会社の切り替え、使っていないサブスクの解約。固定費が月5万円減れば年間60万円の効果。

4. 仕入れの支払いサイトを意識する

「月末締め翌月末払い」と「都度払い」では、手元資金の余裕がまったく違う。掛け仕入れ(後払い)を使えるなら使う。

5. 利益と手元資金を区別する

「今月は利益が出た」と「手元に現金がある」は別の話。利益が出ていても、入金が来月なら今月は苦しい。見るべきは通帳残高。


今すぐやること

  • 通帳残高を確認する(今いくらあるか?)
  • 月の固定費を合計する(家賃+人件費+光熱費+リース+保険+雑費)
  • 手元資金が固定費の3ヶ月分あるか確認する
  • なければ、日本政策金融公庫または商工会議所に相談する
  • キャッシュレス決済の入金サイクルを確認し、改善できるか検討する

「売上200万円なのに手元に10万円しかない」は、資金繰りの問題。 売上を増やすことだけでなく、お金の流れを管理することが飲食店経営の生命線だ。


KitchenCostは、飲食店の原価計算アプリです。「いくら仕入れて、いくら売れて、いくら残るか」を見える化すれば、資金繰りの予測精度も上がります。

よくある質問

飲食店の運転資金はいくら必要ですか?

月の固定費の3〜6ヶ月分が目安です。月の固定費(家賃+人件費+リース料+光熱費+保険料など)が150万円なら、手元に450〜900万円の運転資金が必要です。開業時は売上が安定しないため6ヶ月分を推奨。2年目以降で売上が安定していれば3ヶ月分でも回りますが、キャッシュレス決済の入金タイムラグ(月末締め翌月末払いなど)を考慮すると、余裕を持って4ヶ月分以上が安心です。

売上があるのにお金が足りないのはなぜですか?

主な原因は3つ。①キャッシュレス決済の入金タイムラグ:売上の30〜50%がキャッシュレスの場合、入金は2週間〜1ヶ月後。売上はあるが手元に現金がない状態になる。②仕入れのタイミング:食材は先に仕入れて後で売る。月末に仕入れた食材の支払いが翌月に重なると、一時的に資金がショートする。③固定費の存在:売上がゼロでも家賃・リース料・保険料は発生する。閑散期に売上が落ちても固定費は変わらないため、手元資金が一気に減る。

資金繰りが苦しくなったらどこに相談すべきですか?

まず日本政策金融公庫に相談しましょう。個人飲食店への融資実績が豊富で、金利も比較的低い(年利1〜3%程度)。次に信用金庫。地域密着型で小規模事業者にも融通が利きます。商工会議所のマル経融資(経営改善貸付)も有力で、無担保・無保証人で最大2,000万円を低金利で借りられます。消費者金融やカードローンは金利が15〜18%と高すぎるので絶対に避けること。資金がショートする1〜2ヶ月前に動くのがポイントで、ギリギリになると審査に落ちやすくなります。

キャッシュレス決済の入金タイムラグを改善する方法はありますか?

3つの方法があります。①入金サイクルが短い決済サービスを選ぶ:Squareは翌営業日入金、Airペイは月6回入金など、サービスによって入金頻度が異なる。②早期入金サービスを利用する:手数料(0.5〜1%程度)を払うことで通常より早く入金してもらえるオプションがある決済サービスも。③現金比率を一定割合維持する:完全キャッシュレスにせず、現金払いも受け付けておくことで日々の手元資金を確保する。最も効果的なのは①で、決済サービスの乗り換えだけで入金タイミングが1〜3週間早まるケースがあります。

今すぐ原価を計算してみましょう

材料単価を入力するだけで、レシピ原価・利益率・販売価格を自動計算します。