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全国96%の自治体で水道料金が上がる──飲食店の水道代、今のうちに見直すべき5つのこと

水道管の老朽化で全国96%の水道事業体が値上げを必要とする事態に。平均8割の値上げが必要という試算も。新潟市では2025年に29%値上げ、埼玉の一部では40%増。水を大量に使う飲食店は直撃される。個人飲食店が今すぐできる節水対策と、水道代を原価に正しく反映する方法を解説。

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目次

「水道代、なんか高くない?」

東京都内で定食屋を経営して10年の店主が、ある月の水道料金の明細を見て首をかしげた。

先月より5,000円高い。

「使い方は変えてないのに……?」

変わったのは使い方じゃない。水道料金そのものだ。

2025年から、全国各地で水道料金の値上げが相次いでいる。新潟市は平均29%値上げ。埼玉県の一部では40%増。関東だけで37の自治体が値上げを実施した。

そしてこれは始まりに過ぎない。


なぜ水道料金が上がるのか

理由はシンプルだ。日本中の水道管が寿命を迎えている。

数字で見る水道管の現状

項目数値
日本の水道管総延長約74万km(地球18周分)
法定耐用年数(40年)超の管路率約22%(2022年度)
年間の更新ペース全体の約0.65%
全管路を更新するのにかかる時間約150年

1970〜80年代に一気に整備された水道管が、今いっせいに寿命を迎えている。でも更新するお金がない。

財務省の試算:「平均8割値上げが必要」

財務省の研究所の試算によると、水道管の更新費用を水道料金だけで賄うなら、全国平均で約8割(80%)の値上げが必要だとされている。

全国の水道事業体の**96%**が、将来的に値上げが避けられない状況だ。


飲食店は「水の大口消費者」

一般家庭の月間水道使用量は約20㎥。飲食店は業態にもよるが、その3〜10倍の水を使う。

業態別の水道代目安

業態月間水道代の目安
カフェ・喫茶店1.5〜3万円
居酒屋2〜4万円
定食屋・食堂2〜5万円
ラーメン店3〜7万円
寿司店(鮮魚の洗い)3〜6万円
中華料理店3〜8万円

30%値上げされたらいくら増える?

現在の水道代30%値上げ後月間の増加額年間の増加額
2万円2.6万円+6,000円+72,000円
3万円3.9万円+9,000円+108,000円
5万円6.5万円+15,000円+180,000円

月商300万円の店で水道代が年18万円増えるということは、利益から年18万円が消えるということだ。


今すぐできる5つの節水対策

「水道代が上がるのは仕方ない」と思うかもしれない。でも使う量は減らせる。

対策①:節水コマを取り付ける

蛇口の内部に取り付ける小さな部品で、水の流量を30〜50%カットできる。

  • 費用:1個100〜300円。自治体によっては無料配布している
  • 取り付け:蛇口を回して外し、中にコマを入れるだけ(5分)
  • 効果:蛇口1本あたり月500〜1,000円の節約

店内のすべての蛇口に付けるだけで、月に数千円の削減になる。

対策②:流水解凍をやめる

冷凍食材を流水で解凍していないだろうか?

流水解凍は、1時間で約100リットルの水を使う。

毎日1時間の流水解凍をしている店なら、月に約3,000リットル(3㎥)の水を解凍だけで使っている計算だ。

代替案:

  • 冷蔵庫解凍:前日に冷蔵庫に移すだけ。水はゼロ
  • 氷水解凍:ボウルに氷水を入れて浸す。流水の1/10以下

対策③:食洗機を導入する

手洗いと食洗機の水使用量の差は歴然だ。

方法1回あたりの水使用量
手洗い(流しっぱなし)約40〜60リットル
食洗機約8〜15リットル

食洗機は手洗いの1/3〜1/5の水量で済む。

初期費用は30〜120万円だが、省力化投資補助金(カタログ型)を使えば実質半額で導入できる。水道代の節約分と合わせると、2〜3年で回収できるケースが多い。

対策④:「ため洗い」を徹底する

食器の下洗いを流しっぱなしでやっていないか?

ルール:蛇口は「すすぎ」のときだけ開ける。

下洗いはシンクに水を張って行い、最後のすすぎだけ流水を使う。これだけで洗い場の水使用量が30〜40%減る。

対策⑤:トイレの節水

客用トイレの水も無視できない。

  • 節水型トイレへの交換(1回あたりの洗浄水量が13リットル→6リットルに)
  • タンクに節水リングを入れるだけでも効果あり

水道代を原価に正しく反映する

水道代は「見えにくいコスト」だ。食材費ほど意識されないが、確実に利益を削っている。

水道代の原価配賦の考え方

方法計算式特徴
売上比率法月間水道代 ÷ 月間売上最もシンプル。1.0〜3.0%が目安
食数比率法月間水道代 ÷ 月間提供食数1食あたりの水道コストがわかる

例:月間水道代4万円、月間提供食数2,000食の場合——

1食あたりの水道コスト = 40,000円 ÷ 2,000食 = 20円/食

値上げで水道代が5.2万円になると——

1食あたりの水道コスト = 52,000円 ÷ 2,000食 = 26円/食

1食あたり6円の増加。年間で14万4,000円の利益減少


値上げのスケジュールを確認する方法

自分の店がある自治体の水道料金が今後どうなるか、確認する方法は2つ。

① 自治体の水道局ホームページ

「○○市 水道料金 改定」で検索すると、多くの自治体が値上げのスケジュールと金額を公開している。

② 水道料金の検針票

検針票に「料金改定のお知らせ」が同封されていることがある。見逃さないこと。


今週やること

  • 今月の水道料金の明細を確認し、前年同月と比較する
  • 自治体の水道局サイトで、値上げ予定があるか調べる
  • 蛇口の数を数えて、節水コマの必要数を把握する(自治体で無料配布がないかも確認)
  • 流水解凍をしている食材があれば、冷蔵庫解凍に切り替えられないか検討する
  • 「1食あたりの水道コスト」を一度計算してみる

水道料金の値上げは、食材の値上げと違って「仕入れ先を変える」ことができない。

使う量を減らすか、原価に正しく反映するか。やれることは限られている。だからこそ、今のうちに手を打つことが大事だ。


水道代を含む光熱費の原価配賦には、KitchenCostが使えます。月間の水道代を入力するだけで、1食あたりの水道コストが自動計算されます。

よくある質問

水道料金が全国的に上がるのは本当ですか?

はい。財務省の財政制度等審議会の資料によると、全国の水道事業体の96%が将来的に料金値上げを必要としています。財務省の研究所の試算では、水道管の更新費用を水道料金だけで賄う場合、平均で8割の値上げが必要とされています。すでに2025年から各地で値上げが始まっており、新潟市では29%、埼玉県の一部では40%の値上げが実施されています。今後10〜20年かけて段階的に上がっていく見込みです。

飲食店の水道代は月いくらくらいですか?

業態と規模によって大きく異なりますが、個人経営の飲食店の目安は月1.5〜5万円程度です。ラーメン店や製麺所など大量の水を使う業態は月5〜10万円超になることもあります。水道代は売上比で1〜3%程度が一般的ですが、値上げが進むとこの比率が上昇し、利益を圧迫します。月商300万円の店で水道代が月4万円なら売上比1.3%ですが、40%値上げで5.6万円になると売上比1.9%に上がります。

飲食店でできる節水対策は何がありますか?

効果が大きい順に、①食洗機の導入(手洗いの1/3〜1/5の水量)、②節水コマの取り付け(蛇口あたり30〜50%削減、無料配布の自治体も多い)、③食器の下洗い方法の改善(流しっぱなしにせずため洗い)、④解凍を流水から冷蔵庫解凍に切り替える(流水解凍は1時間で約100リットル使用)、⑤トイレの節水型への交換。特に①と④は個人店でも効果が大きく、合わせて月の水道代を20〜30%削減できる可能性があります。

水道代の値上げ分をメニュー価格に反映すべきですか?

直接反映するよりも、まず節水対策で吸収できないかを検討してください。それでも利益が圧迫される場合は、原価率全体の見直しの一環として価格改定を検討します。水道代だけを理由に値上げすると顧客の納得感が低いため、食材費・光熱費・人件費を含めた『トータルコスト上昇』として説明する方が受け入れられやすいです。

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