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「口コミ書いてくれたら10%オフ」──それ、2023年10月から違法です

飲食店で『Googleレビュー書いたら割引』は景品表示法のステマ規制に違反する可能性がある。2024年にはクリニックで初の措置命令。違反すれば最大300万円の罰金。個人の飲食店が口コミを正しく増やす方法と、やってはいけないNG例を解説。

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目次

「レビュー書いてくれたらドリンク1杯サービスね」

個人経営の飲食店なら、一度はやったことがあるかもしれない。

お客さんが帰り際に「美味しかったです」と言ってくれた。「ありがとうございます、よければGoogleで口コミ書いてもらえませんか?サービスで次回ドリンク1杯つけますよ」──こういうやり取り、日常的にあると思う。

でも、この何気ない一言が法律違反になる可能性があるのを知っているだろうか。


ステマ規制とは──2023年10月から始まった「見えない広告」の取り締まり

**ステルスマーケティング(ステマ)**とは、広告なのに広告であることを隠すことだ。

飲食店の場合、こういうケースが該当する。

  • お金や割引を条件に「良い口コミ」を書かせる
  • 口コミ代行業者に依頼して偽レビューを投稿させる
  • 知人や常連に頼んで☆5のレビューを量産する

2023年10月1日から、こうした行為は景品表示法違反(不当表示)として取り締まりの対象になった。


「何がセーフで何がアウトか」──5つの具体例

ここが一番知りたいところだと思う。消費者庁が公表しているQ&Aと実際の措置命令事例から整理した。

❌ アウト:☆5を条件にした割引

「Googleで☆5のレビューを書いてくれたら、お会計10%オフにしますよ」

これはほぼ確実にアウトだ。

理由:☆5という評価内容を指定しているため、「事業者が表示内容を決定している」と判断される。実際に2024年6月、クリニックが「Googleに高評価の口コミを投稿すること」を条件にワクチン接種費用を割り引いていた行為に対して、ステマ規制下で初の措置命令が出された。

❌ アウト:口コミ代行業者への依頼

ネットで見つけた「口コミ代行サービス」に月3万円で☆5レビューを10件書いてもらう

これも完全にアウト。しかもGoogleのガイドライン違反でもあるため、Googleビジネスプロフィールのアカウント停止(マップから店が消える)というダブルパンチを食らうリスクがある。

❌ アウト:「PR」表記なしのインフルエンサー投稿

地元のグルメインスタグラマーに食事を無料提供し、「美味しかった」と投稿してもらう(PR表記なし)

無料で食事を提供して投稿を依頼した場合、広告であることの明記(「#PR」「#広告」など)が必要だ。表記がなければステマ規制に違反する。

⚠️ グレー:評価を指定しない口コミ割引

「Googleで口コミ書いてくれたら次回ドリンクサービス。内容はなんでもOKです」

消費者庁のQ&Aでは、「割引程度の対価であって、表示内容の決定に関与していない場合は、違反とは言えない」とされている。

ただし、これにも注意点がある。

  • 「良い口コミを書いて」と口頭で添える → アウトの可能性
  • 結果的にネガティブな口コミは割引対象外にする → アウトの可能性
  • 「正直な感想でOK」と明確に伝え、ネガティブな口コミにも割引を適用する → セーフ寄り

グレーゾーンである以上、やらないのが最も安全だ。

✅ セーフ:報酬なしで口コミをお願いする

「もしよろしければ、Googleで感想を書いていただけると嬉しいです」

報酬も割引もなく、評価も指定しない。これは完全にセーフだ。


違反するとどうなるのか──3段階のペナルティ

段階内容影響
① 措置命令違反行為の差止め・再発防止策の実施企業名と違反内容が公表される
② 課徴金売上の3%を課徴金として納付年間売上2,000万円なら最大60万円
③ 刑事罰(命令違反の場合)2年以下の懲役 or 300万円以下の罰金法人は3億円以下の罰金

「個人の飲食店なんか狙われないでしょ」と思うかもしれない。

たしかに2026年3月時点で飲食店への措置命令はまだない。でも、Googleは独自にサクラレビューの検出を強化している。不自然な口コミの急増を検知すると、Googleビジネスプロフィールが一時停止される(=Googleマップから店が消える)。

これは措置命令よりも先に、もっと手軽に、もっと頻繁に起きる。


口コミを「正しく」増やす5つの方法

① 会計時に声をかける

「ご感想をGoogleに書いていただけると嬉しいです」

たったこれだけだ。報酬はいらない。評価も指定しない。「書いてくれたら嬉しい」──この一言だけで、10人に1人は書いてくれる。

② QRコードを設置する

口コミ投稿ページのURLをQRコードにして、テーブルやレジ横に置く。「食べながらスマホ見てる瞬間」に投稿してもらえるように、テーブルの上がベストだ。

Googleビジネスプロフィールの管理画面から、口コミ投稿用の短縮URLを取得できる。

③ すべての口コミに返信する

良い口コミにも、悪い口コミにも、1〜2日以内に返信する。

返信を見た他のお客さんが「この店はちゃんと読んでくれるんだ」と思い、自分も書こうという気持ちになる。返信の「見える化」は、口コミを増やす最も効果的な方法の一つだ。

④ 低評価にこそ丁寧に対応する

☆1や☆2の口コミが入ると、つい感情的になる。でも、ここが腕の見せどころだ。

良い返信の例:

「この度はご不便をおかけし申し訳ございません。ご指摘いただいた〇〇については、スタッフと共有し改善に取り組んでまいります。またのご来店をお待ちしております。」

反論や言い訳ではなく、事実の受け止め → 改善の意志 → 再来店の歓迎。この3ステップだ。

低評価に丁寧に返信している店は、むしろ信頼度が上がる。完璧な☆5ばかりの店より、☆3や☆4の口コミに誠実に向き合っている店のほうが、新規のお客さんは安心して来店する。

⑤ 「投稿したくなる体験」をつくる

最終的には、口コミを頼まなくても書きたくなる店が最強だ。

  • 盛り付けが「映える」(写真を撮りたくなる)
  • 接客で「感動」がある(名前を覚えてくれる、好みを覚えてくれる)
  • 「ここ穴場だよ」と人に教えたくなる

原価計算も、この「投稿したくなる体験」に直結する。見た目のインパクトがあるメニューは原価率が少し高くなることもあるが、口コミ経由の新規集客を考えれば、十分に元が取れる。


今週やること

  1. 今やっている口コミ施策を振り返る(割引や報酬で口コミを集めていないか?)
  2. QRコードを作ってテーブルに置く(Googleビジネスプロフィールの管理画面から作れる)
  3. 過去の口コミで未返信のものがあれば、今日中に返信する

「口コミが少ないから、お金で増やそう」──その気持ちはわかる。

でも、ステマで増やした口コミは、バレたときにすべてを失う。マップから消えた店に、お客さんは来ない。

正しく、地道に。それが結局、一番の近道だ。


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よくある質問

『口コミ書いてくれたら割引』は違法ですか?

条件によります。『☆5をつけてくれたら10%オフ』のように評価内容を指定する場合は、景品表示法のステマ規制に違反する可能性が高いです。一方、『口コミを書いてくれたら割引(内容は自由)』の場合、消費者庁のQ&Aでは『割引程度の対価で表示内容の決定に関与していない場合は違反とは言えない』とされています。ただし、グレーゾーンであることに変わりはなく、消費者庁の解釈が変わる可能性もあるため、口コミの評価内容を条件にしないことが最も安全です。

ステマ規制に違反するとどんな罰則がありますか?

まず消費者庁から措置命令が出されます。措置命令とは、違反行為の差止めや再発防止策の実施、消費者への周知などを命じるものです。措置命令に従わない場合は刑事罰となり、2年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下の罰金)が科される可能性があります。さらに2024年10月からは課徴金制度も強化され、売上の3%が課徴金として課される場合があります。

個人飲食店でも摘発されることはありますか?

2026年3月時点で個人飲食店への措置命令事例はまだありませんが、規制は事業者の規模に関係なく適用されます。2024年6月には医療法人への初の措置命令が出されており、今後は飲食店を含む他業種への取り締まりが拡大する見通しです。Googleも独自にサクラレビューの検出を強化しており、不自然な口コミが集中すると、Googleビジネスプロフィールの一時停止(マップから消える)というペナルティを受ける可能性もあります。

口コミを正しく増やすにはどうすればいいですか?

最も効果的なのは『お帰りの際に口コミをお願いする』ことです。評価は指定せず、正直な感想を書いてもらいます。QRコードをテーブルやレジ横に置くと投稿のハードルが下がります。口コミへの返信も重要で、すべての口コミに1〜2日以内に返信すると、他のお客さんの投稿意欲も高まります。良い口コミだけでなく、低評価の口コミにも誠実に返信することで信頼性が上がり、結果としてMEO(Googleマップの検索順位)も改善します。

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